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ニルマトレルビルの新型コロナ後遺症予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ニルマトレルビルのコロナ後遺症への有効性.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2023年3月23日ウェブ掲載された、
新型コロナ後遺症への抗ウイルス剤の予防効果を検証した論文です。

新型コロナウイルス感染症の罹患時には、
その急性症状が回復した後に、
数か月から経過によっては数年に渡り持続する、
倦怠感や息苦しさ、眩暈や精神症状など、
幅広い症状が見られることが知られています。

この現象には多くの呼び方がありますが、
厚労省は「新型コロナウイルス感染症罹患後症状(いわゆる後遺症)」
という言い方を採用しています。

そのメカニズムにはまだ不明な点が多く、
現時点で有効な予防法や治療法は確立していません。

パキロビット(ニルマトレルビルとリトナビルの合剤)は、
日本でも緊急使用の対象として使用されている、
新型コロナウイルス感染症の経口治療薬で、
重症化リスクのある軽症から中等症の新型コロナ患者が、
症状出現後5日以内に内服することにより、
その重症化を予防するという効果の薬です。

それでは、パキロビットを使用することにより、
通常より早期にウイルスの増殖や組織の炎症が改善することにより、
新型コロナの後遺症も抑制されるのでしょうか?

今回の研究はアメリカの退役軍人の医療保険のデータを活用して、
新型コロナウイルス感染症罹患時のパキロビットの使用が、
その後の新型コロナ後遺症に与える影響を検証しているものです。

対象は新型コロナウイルスの検査陽性で、
1つ以上の重症化リスクを有する281793名で、
そのうちの35717名がパキロビットを急性期に使用していました。
そして未使用の場合と比較してパキロビットの使用は、
その後の新型コロナ後遺症のリスクを、
26%(95%CI:0.72から0.77)有意に低下させていました。

このデータのみをもって、
急性期のパキロビットの使用が、
新型コロナ後遺症を予防しているとは言えませんが、
その可能性が示唆されるデータであることは事実で、
今後より精度の高い検証によって、
その真偽が確認されることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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