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新型コロナ後遺症に対するメトホルミンの有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
メトホルミンのコロナ後遺症への有効性.jpg
SSRN.というサイトに掲載された、
まだ査読を介していない論文ですが、
新型コロナ後遺症に複数の薬剤を使用し、
その予防効果を検証した内容です。

まだ査読前の論文である点に注意が必要ですが、
非常に興味深い内容なのでご紹介させて頂きます。

新型コロナウイルス感染症の罹患時には、
その急性症状が回復した後に、
数か月から経過によっては数年に渡り持続する、
倦怠感や息苦しさ、眩暈や精神症状など、
幅広い症状が見られることが知られています。

この現象には多くの呼び方がありますが、
厚労省は「新型コロナウイルス感染症罹患後症状(いわゆる後遺症)」
という言い方を採用しています。

そのメカニズムにはまだ不明な点が多く、
現時点で有効な予防法や治療法は確立していません。

前回の記事では抗ウイルス剤の急性期の使用で、
その後の後遺症リスクを低減出来るという可能性が示されていました。

今回の研究はアメリカの複数施設において、
これまでに新型コロナに対して、
一定の有効性が示唆される報告が存在している、
メトホルミン、イベルメクチン、フルボキサミンの3種類の薬剤を、
疾患の急性期に使用し、
その後の新型コロナ後遺症に対する影響を、
偽薬の使用と比較検証しています。

対象は年齢が30から85歳で過体重か肥満があり、
新型コロナを発症してから1週間未満の1323名で、
そのうちの1125名が長期の観察の対象となっています。
そして、長期観察の結果そのうちの8.4%が後遺症と診断されています。

イベルメクチンとフルボキサミンの急性期の使用は、
その後の後遺症のリスクに有意な影響を与えませんでしたが、
急性期にメトホルミンを1日1500㎎で14日継続した群では、
新型コロナ後遺症のリスクは、
42%(95%CI:0.38から0.88)有意に低下していました。
特にメトホルミンが症状出現後4日以内に開始された事例に限ると、
そのリスク低下はより大きく、
63%(95%CI:0.15から0.95)に達していました。

これは査読前のデータのため、
その判断はまだ留保する必要がありますが、
通常臨床で使用されている一般的な薬剤の使用により、
これだけの後遺症予防効果が得られたとする結果は非常に興味深く、
今後の検証を注視したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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