「メランコリック」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
低予算のインディーズ映画で、
2018年の東京国際映画祭で監督賞(日本映画スプラッシュ部門)を獲得し、
昨年の「カメラを止めるな!」の再来と注目された、
「メランコリック」をアップリンク渋谷で鑑賞しました。
これはまあ如何にも低予算という感じの映画ですが、
絵作り自体はなかなか堂々としていて、
シネスコの横長画面の使い方も上手いと思います。
つまり、低予算ですが劇場公開用映画として、
一定の水準に達しています。
役者さんは如何にもアマチュアという感じの方のみで、
主役級の2人は作り手も兼ねているので、
インディーズホラーの傑作「死霊のはらわた」を、
彷彿とさせるようなところがあります。
ただ、あの作品のように、
稚拙ではあっても従来の同ジャンルの映画を、
吹き飛ばすようなインパクトがあるかと言うと、
そこまでのレベルではないように感じました。
「カメラを止めるな!」も役者さんのレベルや演出に関しては、
正直アマチュアレベルだったのですが、
観客の予想の遥かに上を行くような、
作り込みの鮮やかさで度肝を抜きました。
それを比較対象として考えると、
この映画にも意外な展開や他にないようなこだわり、
インディーズならではの破天荒さはあるのですが、
それが観客の想像を大きく超えていたり、
度肝を抜くというレベルには達していなかった、
というように思います。
「カメラを止めるな!」は小劇場演劇の趣向を、
映画に撮り込んだところに新しさがあったのですが、
この映画は敢くまで、
「映画好きが作ったマニアックな映画」
という枠を超えていない点に限界があったように感じました。
内容的には東大は出たけれど、
定職にも付かないでブラブラしている、
昔の高等遊民といった感じの無気力な若者が、
たまたま銭湯のバイトに入ったところから、
本来無縁な筈のバイオレンスでノワール的な世界に、
足を踏み入れることになります。
その銭湯は暴力団の殺しの後始末に使われていたのです。
深夜の銭湯が全く別の場所に変貌する、
という趣向はなかなか面白く、
実際の銭湯を使ったリアルな感じもグットです。
ただ、役者さんは皆素人レベルなので、
闇の世界の恐ろしさのようなものは、
あまり伝わって来ないのが弱いところです。
また、営業時間の銭湯の平和的な情景も、
もっと描かれないと面白くないと思うのですが、
この映画は低予算なのでエキストラが使えず、
撮影も銭湯が営業していない時間のみで行われているので、
そうした賑やかな感じに乏しいのも、
作品を単調にしていたように思いました。
ラストは通常の発想だと、
夢オチにしてしまいがちなところですが、
現実でありながら強引にハッピーエンド(それも束の間の)
にしているのは、
これは矢張り今の映画だな、
という気分は感じました。
総じてマニア向けの作品で、
一般の観客にお勧め出来るような水準ではありませんでした。
宝探し的なご興味の方にのみお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
低予算のインディーズ映画で、
2018年の東京国際映画祭で監督賞(日本映画スプラッシュ部門)を獲得し、
昨年の「カメラを止めるな!」の再来と注目された、
「メランコリック」をアップリンク渋谷で鑑賞しました。
これはまあ如何にも低予算という感じの映画ですが、
絵作り自体はなかなか堂々としていて、
シネスコの横長画面の使い方も上手いと思います。
つまり、低予算ですが劇場公開用映画として、
一定の水準に達しています。
役者さんは如何にもアマチュアという感じの方のみで、
主役級の2人は作り手も兼ねているので、
インディーズホラーの傑作「死霊のはらわた」を、
彷彿とさせるようなところがあります。
ただ、あの作品のように、
稚拙ではあっても従来の同ジャンルの映画を、
吹き飛ばすようなインパクトがあるかと言うと、
そこまでのレベルではないように感じました。
「カメラを止めるな!」も役者さんのレベルや演出に関しては、
正直アマチュアレベルだったのですが、
観客の予想の遥かに上を行くような、
作り込みの鮮やかさで度肝を抜きました。
それを比較対象として考えると、
この映画にも意外な展開や他にないようなこだわり、
インディーズならではの破天荒さはあるのですが、
それが観客の想像を大きく超えていたり、
度肝を抜くというレベルには達していなかった、
というように思います。
「カメラを止めるな!」は小劇場演劇の趣向を、
映画に撮り込んだところに新しさがあったのですが、
この映画は敢くまで、
「映画好きが作ったマニアックな映画」
という枠を超えていない点に限界があったように感じました。
内容的には東大は出たけれど、
定職にも付かないでブラブラしている、
昔の高等遊民といった感じの無気力な若者が、
たまたま銭湯のバイトに入ったところから、
本来無縁な筈のバイオレンスでノワール的な世界に、
足を踏み入れることになります。
その銭湯は暴力団の殺しの後始末に使われていたのです。
深夜の銭湯が全く別の場所に変貌する、
という趣向はなかなか面白く、
実際の銭湯を使ったリアルな感じもグットです。
ただ、役者さんは皆素人レベルなので、
闇の世界の恐ろしさのようなものは、
あまり伝わって来ないのが弱いところです。
また、営業時間の銭湯の平和的な情景も、
もっと描かれないと面白くないと思うのですが、
この映画は低予算なのでエキストラが使えず、
撮影も銭湯が営業していない時間のみで行われているので、
そうした賑やかな感じに乏しいのも、
作品を単調にしていたように思いました。
ラストは通常の発想だと、
夢オチにしてしまいがちなところですが、
現実でありながら強引にハッピーエンド(それも束の間の)
にしているのは、
これは矢張り今の映画だな、
という気分は感じました。
総じてマニア向けの作品で、
一般の観客にお勧め出来るような水準ではありませんでした。
宝探し的なご興味の方にのみお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
2019-10-13 08:23
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