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「真実」(是枝裕和監督) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

台風直撃ということですので、
今のところ予定通りの診療は行う予定ですが、
荒天での無理なご受診はされないように、
ご注意をお願いします。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
真実.jpg
是枝裕和監督がフランス・日本合作の映画を作りました。
舞台はフランスで、言語はフランス語と英語、
キャストも全員が海外キャストです。

これまでにもフランスで評価の高かった、
大島渚監督や黒沢清監督などは、
同様のフランス映画を作りましたが、
いずれも頑張ってはいるものの、
何処か居心地の悪そうな、
何処かギクシャクしているような作品でした。

その点今回の是枝作品は、
かなり立派にフランス映画として成立していて、
それでいて是枝監督のカラーも、
しっかり出ている家族映画にもなっていました。

これはなかなか出来ることではありません。

この映画の主人公は、
大女優役のカトリーヌ・ドヌーブで、
アメリカ在住の脚本家の娘がジュリエット・ビノシュ、
その夫でテレビ俳優にイーサン・ホークと、
全体にやや疲れた感じはするものの、
かなり豪華版の世界的なキャストです。

ほぼほぼカトリーヌ・ドヌーブのための映画、
という趣きで、
ドヌーブは彼女自身を重ね併せたような大女優を演じ、
彼女が自分に都合の良いような自伝を出版したことから、
それが娘との葛藤を生み、
彼女が出演中のSFテイストの映画の撮影風景とも、
重ね合わされて行きます。

是枝監督の作品としては「海よりも深く」に似ています。

死者を含めた家族の心理劇で、
是枝作品としては内容はとても分かり易く、
ラストも「万引き家族」のような「なで切り型」ではなく、
庭を歩く復活した家族像を、
俯瞰で捉えたカットで極めて穏当に終わります。

カトリーヌ・ドヌーブは、
演技を見ていても、
自由気ままにやっているのだろうな、
という気分屋さんの素顔が透けて見えるような感じで、
多分現場では是枝監督も、
相当苦労されたのではないでしょうか?
無雑作な芝居もあるのですが、
それでもその存在感や随所に見せる深い味わいはさすがで、
これだけの芝居を引き出した、
是枝監督の手腕には素直に感心させられます。

立派な作品ではあるものの、
やや「借りて来た猫」という印象は拭えない映画で、
是枝監督の本領発揮とは言えないのですが、
他流試合でここまでの作品をものしたことはさすがで、
今後の作品にはより期待が持てそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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