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マクファーソン「海をゆく者」(2014年上演版) [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。
体調が引き続き悪く、
今日は午後まで寝ていました。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
海をゆく者.jpg
アイルランドの劇作家が2006年に発表し、
イギリスで初演後にブロードウェイでも上演された戯曲を、
2009年に栗山民也の演出で日本初演、
今回が同一キャストでの再演となりました。

僕は初演は観ていないので、
今回が初見です。

戯曲の内容は今時こんな感じなの…
という気もするのですが、
アイルランドの田舎町の風情など、
日本人にはピンと来ない現代性が潜んでいるのかも知れません。

予備知識は何もなく観たので、
最初の1時間くらいは、
こんな調子で3時間続くのか、
と覚醒レベルが低下気味になったのですが、
小日向文世演じる謎の男の正体が分かって、
物語が走り出すと俄然面白くなり、
後半はその演技の競演と、
底の深い物語の面白さに、
一気にテンションが上がりました。

後半の意外な展開などは、
三谷幸喜さんの良い時の芝居に、
似た感じもありました。
こういうものを観ると、
三谷さんの劇世界も、
意外に世界でも受ける要素を含んでいるように思いました。

小田島印の新作海外翻訳芝居は、
滅多には面白くならないのですが、
この作品は掛け値なしの成功で、
よくも揃えたりのいぶし銀のキャストの、
演技の饗宴は本当に楽しめました。

栗山民也さんの演出は、
堅実なのは良いのですが、
あまりにモノトーンで暗いのが難点で、
今回も前半の食い付きの悪さは、
演出にその一因があるように思いました。

海外の芝居は前半の人物紹介の感じが、
日本の感覚とは違うことが多いので、
そこで乗れないことが多く、
この辺りはいつもイライラするのですが、
今回も平田満演じる弟と、
吉田鋼太郎演じる兄との関係や、
兄が急に盲目になったので、
久しぶりに実家に介護のために戻って来た、
という設定が分かり難いので、
作品の世界にスッと入り込めないのが難点で、
その辺りは演出が、
もっと工夫をするべきではないかと感じました。

ただ、それ以外はほぼケチの付けようにない快作で、
平田満の鋭利な狂気に、
技巧と体技が冴え渡るトボけた味わいの浅野和之、
豪放磊落な吉田鋼太郎の迫力、
男の照れと人情と強気が絶妙に交錯する座長大谷亮介、
そして唯一無二の存在感が抜群の小日向文世と、
豪華な演技の饗宴を心ゆくまで楽しむことが出来ました。

迷われている方があれば、
是非にとお薦めします。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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