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「ホフマン物語」のオランピア [コロラトゥーラ]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日なので診療所は休診です。
windows media player をついアップデイトしたら、
media player classic が何故か消滅してしまい、
朝から、くそう、マイクロソフトめ、
と動揺してしまったので、
走りに行くのが遅れました。
夏のジャージしかないので、
さすがに寒いです。
ただ、芝生に寝転がって腹筋をしながら空を見ると、
本当に抜けるように高くて、
気分は爽快感があります。

休みの日は趣味の話題です。

今日はまたデセイ様の画像を観て頂きます。

オッフェンバッハの「ホフマン物語」は、
多くのオペレッタを残した作者の、
唯一のオペラで、彼の遺作でもあり、
初演を待つことなく亡くなったので、
決定稿のない未完の作品でもあります。

大作で、ある意味作者の集大成的な作品でありながら、
饒舌で未整理の部分を多く残し、
それがまた魅力でもある点、
プッチーニの「トゥーランドット」にも似たところがあります。

オッフェンバッハはドイツ系のユダヤ人ですが、
活躍の主な舞台はパリで、
そのため作品はフランス語です。
つまり、同じドイツの鬼才ホフマンの作品を原作としたオペラを、
異国のフランスでフランス語のオペラに仕立てたのです。

この作品はホフマン自身が主人公で、
自らの作品をオムニバス的に見せる趣向ですが、
そのうちの1つのパートに、
自動人形のオランピアが登場します。
元ネタはホフマンの「砂男」で、
そのかなり自由な翻案になっています。

オランピアは自動人形の少女で、
ホフマンが謎の眼鏡を掛けると、
その眼鏡越しに自由に動き廻ります。
出演場面は少ないのですが、
登場でコロラトゥーラのアリアを歌う場面が有名で、
コロラトゥーラソプラノの代名詞的な1曲になっています。

デセイ様は1992年以降、
パリオペラ座を皮切りに、
全世界の歌劇場を、
オランピアで廻りました。
彼女のキャリア前半の最大の当たり役の1つです。
ただ、彼女自身は数年でこの役には飽きてしまったようで、
2000年夏のフランスの野外音楽祭、
オランジュ音楽祭でのステージを最後に、
この曲は歌っていません。
これも数年ぶりの出演で、
96年以降は実際には殆ど歌っていないのです。
ではそのデセイ様最後のオランピアとなった、
オランジュ音楽祭のステージを観て頂きます。



野外なので、ちょっと雑になるのは止むを得ませんが、
それでも見事な歌唱です。
デセイ様のコケティッシュでお茶目なところが全開です。
巨大なフランス人形がバックで踊るのが、
如何にもフランスという感じです。

では次は年代ははっきりしませんが、
おそらく1993年くらいの、
ウィーン国立歌劇場(多分)の舞台を観て頂きます。
これは画質が悪いのですが、
正真正銘のライブで、
プライヴェートに撮影したもののようです。
おそらく画像の残るものの中では、
デセイ様の最高のオランピアです。



凄いでしょ。
超高音の伸びは絶好調です。
廻しも抜群に早いです。
次はごく一部ですが、
記念すべき彼女のオペラ座デビューのオランピア。
スター誕生は1992年の4月のことです。
デセイ様28歳。
その演出は映画監督のロマン・ポランスキーです。



これは実はリハーサルの映像が残っているのです。
それがこちら。



僕はポランスキーも勿論大好きで、
デセイ様とポランスキーに、
接点があったことが非常に嬉しく、
奇跡的な思いがするのですが、
残念ながらその演出は大したことはなく、
画像を観ても、
デセイ様とはあまり波長は合っていないようです。
ただ、僕の妄想の中では、
この2人の天才は常に語りあい、
真の藝術がその幻想の中に成立しているのです。

最後はちょっと珍品ですが、
1996年スカラ座のオランピア。
これはね、デセイ様が妊娠9ヶ月で歌ったものです。
びっくりですよ。



大きなお腹で倒れ掛かられて、
ホフマン役のニール・シコフが、
明らかに困っています。
声の質感には違いがあって、
妊娠中の声というのも、
ちょっと不思議な思いがします。

今日はデセイ様のオランピアを、
まとめて観て頂きました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 4

永遠の通りすがり

オペラも「ホフマン物語」もわかりませんが、ホフマンの作品は、かなり昔に『黄金の壺』を岩波文庫で読みました。
惹きつけられて、あっという間に読み終わってしまったのを憶えています。

手持ちの薬がなくなってしまいました。お正月休み前に一度伺いたいと思いますが、チャンスはあと2日しかありませんね。
うーん。寒さにめげず、頑張って行くようにします。
by 永遠の通りすがり (2010-12-26 11:55) 

末尾ルコ(アルベール)

> この2人の天才は常に語りあい、
  真の藝術がその幻想の中に成立しているのです。

・・・・・感動します!

わたしもポランスキーは大好きです。
好みの作品をすぐに3本挙げるとなると、「反撥」「テナント」「テス」でしょうか。

                                  RUKO


by 末尾ルコ(アルベール) (2010-12-26 12:05) 

fujiki

永遠の通りすがりさんへ
了解しました。
お待ちしています。
by fujiki (2010-12-27 08:06) 

fujiki

RUKO さんへ
コメントありがとうございます。
「テス」以前くらいの作品は全て好きですが、
昔は「マクベス」がベストで、
今は「チャイナタウン」が一番かも知れません。
「テナント」は「ローズマリーの赤ちゃん」を、
パワーアップしたような感じで、
壮絶でしたね。
by fujiki (2010-12-27 08:11) 

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