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ワクチンの副反応という現実 [仕事のこと]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

今週、ちょっと深刻な事態がありました。
正直ここ数日はそのこと以外、
あまり考えることが出来ません。

診療所で季節性インフルエンザワクチンを打った方に、
神経障害の副反応が現われたのです。

ご本人の許可を得ていないので、
詳細はお話出来ませんが、
診療所でもおそらく総計では1万例は、
季節性ワクチンを打っていると思いますが、
全く初めての経験です。

ワクチンの副反応の問題を何度も取り上げて、
僕なりに慎重を期しているつもりであっただけに、
非常にショックを受けましたし、
ご当人には本当にお詫びの言葉もありません。

経過はADEM(急性散在性脳脊髄炎)に似ています。
ワクチン接種後に、ウイルス感染様の症状から、
一時的な微熱、痙攣が生じ、
自律神経症状を伴って、
1週間ほどで末梢神経の麻痺を来たしたのです。
現時点で意識障害や呼吸筋の麻痺はありませんが、
症状はまだ安定してはおらず、
慎重な経過観察が必要です。

接種自体には、特に問題はありませんでした。
バイアルは使用法を守って使い、
接種時のトラブルもありませんでした。

それでも現実に、こうしたことが起こり得るのです。

後から考えても、
ワクチンを打った、ということ以外には、
特に問題点はなく、
逆に言えば、僕の立場で、
回避する手だてもなかったのです。

診察室でその方のお話を聞いていながら、
映画の「ディア・ドクター」のように、
何度かその場から、逃走したい思いに囚われました。

僕は特定の宗教を持ちませんが、
こうした時には、何か人間ならざるものの、
意思のようなものを感じます。

ワクチンの副反応を何度も取り上げている時期に、
こうした稀な副反応に直面することは、
決して偶然とは思われないからです。

でも、何故でしょうか?

ちょっと恨みたい気分にもなります。

その方に僕なりに精一杯のアドバイスをして、
今後の対応を考え、副反応報告を提出しました。

後は後遺症なく回復されるようにと、
祈るような気持ちです。

これからまた、その方のために、
僕に何が出来るかを考えます。

確率的には1万人に1人という言い方が出来ます。

しかし、稀であれば起こっても仕方がないのでしょうか?

そんなことは決してないと僕は思います。

多分そうした経験のない医者の方が、
実際には圧倒的に多いのだと思いますが、
ワクチンという手法は確実に、
そうした稀なリスクを伴うものなのです。

僕はワクチン否定論者ではありませんし、
昨日も季節性インフルエンザのワクチンを打ち、
新型インフルエンザのワクチンを打ち、
肺炎球菌のワクチンを打ちました。
自分は殆ど実地に患者さんを診ることなく、
患者さんの責任を担うことなく、
安全な立場から、ワクチンや薬や医療の、
非難をするのを商売にしているような方とは、
基本的に立ち位置は違っているつもりです。

しかし、「国民全員に新型ワクチンを」
のようなアジテーションを、
平気でされる専門家には、
静かな怒りを覚えます。

ワクチンはリスクがゼロの行為ではなく、
メリットも勿論ありますが、
健康被害の発生も、
現在の科学では、ゼロにすることは出来ないのです。
ですから、慎重に医者と接種する方が、
話し合って決めるべきものであり、
半ば強制のようなお子さんの集団接種は、
安易に復活されるべきものではないと、
これは声を大にして言いたいと思います。

今日は1万例に1例の現実に、
今直面している僕の話でした。

この事例については、
もう少し問題が整理され、
ご本人の了解が得られた時点で、
詳細をお話したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 16

さすらいの

石原先生の良心に胸をうたれました。
患者さまのご回復ご祈念申し上げます。
by さすらいの (2009-12-05 10:01) 

みやび

石原先生、こんにちは。
都合の悪いことは内密にということが増えている世の中、
お話を聞かせて下さってありがとうございます。
きちんと問題視して下さること、うれしく思います。
その方の一日も早いご回復を願っています。
ワクチンを推奨するばかりで、本当の問題を隠しているような
現状はとても心配です。
カナダに調査団を出す前に、国内で調べること、伝えることが
があるのでは?と思います。
高齢者がワクチン接種後死亡しないように、ワクチン接種者が
副反応で苦しまないために、ワクチンにはリスクもあるということをしっかり伝えて欲しいです。
by みやび (2009-12-05 12:31) 

kusuri

こんにちは。

日々のお忙しい診療の中、みなさんのコメントひとつひとつへの丁寧なお返事や今回の副反応への対応と、先生の誠実なお人柄が、うかがえ、頭が下がります。

患者様のご回復をお祈り致します。

30日のワクチン副反応検討会の内容ですが、厚生労働省の審議会、 安全対策調査会の中に
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/11/s1130-19.html

また、4日に報道資料として、11月23日~12月3日の副反応報告がUPしています。
http://www.mhlw.go.jp/kinkyu/kenkou/influenza/houdou/2009/12/dl/infuh1204-01.pdf

ただ、新型インフルエンザ関連のページには、リンクされていません。

以前から、厚生労働省の資料は膨大なので、必要な資料がなかなか探せないのですが、今回は、公開はするが、目の届かないところに、ひっそりと公開 と言うことかもしれません。

今後、新しい情報については、厚生労働省のホーム、新着情報 右の 「過去の新着情報一覧」でチェックするのが、よさそうです。

これからも、よろしく、お願いいたします。


by kusuri (2009-12-05 16:30) 

a-silk

綱渡りをするように、毎日の注射一本〃を、良くなりますようにと
祈る思いで打つ、石原先生が見えるようです。

母の住む老健はとても、しっかりした施設で、母も日に日に良くなっています。
とても勉強になり、毎日行くのが楽しいです。

それでも、ここでも事故は起きるでしょう。100%安全はありません。

もし母の身になにか起きたとしても、母が転倒した施設の対応のようなことはしないでしょう。

母が入所して来週一カ月になります。施設スタッフと信頼関係が出来ています。

万全をつくしても、起きてしまうことです。クスリはリスクです。
誠意ある、事後対応が大切です。




by a-silk (2009-12-05 19:17) 

A・ラファエル

応援nice!です。
患者様の1日も早い回復をお祈りいたしております。

ワクチンの危険性については、動物病院ではよく聞く話ですが、
人間のお医者様からは、聞かないように思います。
by A・ラファエル (2009-12-05 21:27) 

ちびらママ

先生、こんにちは。いつもながら、先生の医療に対する真摯なお考えに敬意を表させていただきます。
診察時のお優しいお言葉など、先生の普段からのお心がけが伝わってきます。
患者様の一刻も早いご回復をお祈りいたしております。先生もどうかお気持ちを前向きになさって、早くショックから抜け出せますよう、ご祈念いたします。
by ちびらママ (2009-12-05 21:56) 

fujiki

さすらいのさんへ
コメントありがとうございます。
回復の兆しが見えて来るといいのですが…
by fujiki (2009-12-06 12:08) 

fujiki

みやびさんへ
コメントありがとうございます。
副作用や副反応で苦しまれた方には、
その方にしか分からないことが、
色々とあるのだと思います。
僕自身そのことが理解出来る訳ではありませんが、
理解しようという努力は続けたいとは思っています。
by fujiki (2009-12-06 12:15) 

fujiki

kusuri さんへ
いつも情報をありがとうございます。
高齢者の新型感染での死亡事例も、
徐々に増え、氷山の一角とも思えるだけに、
今後の新型ワクチン接種については、
本当に迷います。
ワクチンの死亡事例は、
明らかに無関係と思われるものも、
今回は複数含まれていますが、
矢張り僕には専門家の先生のように、
殆どが無関係とは思うことが出来ません。
by fujiki (2009-12-06 12:20) 

fujiki

a-silk さんへ
コメントありがとうございます。
そうですね。
本当に事後対応こそ重要だと思います。
by fujiki (2009-12-06 12:23) 

fujiki

A・ラファエルさんへ
コメントありがとうございます。
本当に回復されると良いのですが…
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2009-12-06 12:25) 

fujiki

ちびらママさんへ
コメントありがとうございます。
ご配慮感謝します。
これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2009-12-06 12:28) 

桜子

こんばんは、桜子です。
最近、時々拝見させて頂くようになりました。
勉強させて頂いております。

> 今日は1万例に1例の現実に、
> 今直面している僕の話でした。
--------------
昔は「万が一」という言葉がありましたが、最近の風潮では数十万にひとつのことも、許されません。

その人にとって、インフルエンザワクチンを接種する必要性があったのか、効果や副作用を考え合わせて検討がなされて、本人がその選択をしたのかということなどが問題になってきます。
こんなことをしていましたら1人に接種するのに30分以上かかることでしょう。
医師側の純益は税金を入れないで1000円位なのではないでしょうか。

責任ばかり負わされて、バカバカしい限りですね。

患者さんやその家族にとっては、とてもとても、たいへんなことです。

by 桜子 (2009-12-07 00:23) 

fujiki

桜子さんへ
コメントありがとうございます。

多くの医者は、副反応の可能性は、
心理的に排除しつつ、
日々の診療を行なっているのだと思います。
議論をされる「専門家」の方は、
基本的には実地で患者さんを診ることはないか、
あっても大きな組織に守られている方なので、
そうしたことは生身の人間の話ではなく、
無視出来るただの数字の話として、
議論することが可能になる訳です。
問題は今回のインフルエンザが、
少数の犠牲を無視しても、
ワクチンを強制的に接種すべき事態なのか、
ということで、
現状ではそれははなはだ疑問ではないか、
と僕は思います。

これからもよろしくお願いします。
by fujiki (2009-12-07 06:26) 

midori

先生,さぞお疲れのことでしょう.
患者さんの一日も早い回復をお祈りします.

by midori (2009-12-07 10:10) 

fujiki

midori さんへ
コメントありがとうございます。

本当に回復に向かわれるといいのですが…
by fujiki (2009-12-08 19:41) 

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