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「○○○」解体私案 [身辺雑記]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療は休みですが、
朝、老人ホームから呼び出しがあり、
90代の方の看取りをして、
今戻って来たところです。

これも詳細はお話出来ませんが、
比較的急性の経過の肺炎で、
ご家族の希望もあり、
病院での治療は避け、
施設内で出来る対応のみして、
後は自然の経過を見守りました。

38度台の急な発熱から、
半日くらいの経過で呼吸状態が悪化しました。
その時点で肺の音はきれいで、
咽喉の辺りにゼーゼーする音が聞こえたので、
咽喉の辺りが炎症で狭くなっている可能性を考え、
食事は中止として、ステロイドと抗生物質の点滴を、
施行しました。

治療で回復される可能性を期待したのですが、
残念ながら今朝呼吸が停止されました。

ここで矢張り問題になるのは、
新型インフルエンザを含めた、
インフルエンザ肺炎の関与です。

時期を変えて2回、
インフルエンザの簡易検査は行ないましたが、
いずれも陰性でした。
ただ、これまでの死亡事例の報告を見ても、
簡易検査は陰性で、
死亡された後の遺伝子検査で、
初めて新型インフルエンザの感染が確認された、
というケースは複数あり、
必ずしも陰性だからと言って、
新型の感染が否定されたことを意味しません。

現状こうした事例では、
行政は新型の遺伝子検査をしてはくれないので、
それを証明する方法はないのです。

僕が現時点で危惧していることは、
実際にはこうした事例が水面下では多数存在し、
それが新型インフルエンザの感染による、
急性ウイルス肺炎の事例だとしても、
集団感染の事例でもない限り、
表には出ないのではないか、ということです。

通常高齢者の発熱の場合、
数日は経過を診ることが多いのですが、
現状でもし急な発熱と、
呼吸状態の悪化が疑われる事例があれば、
速やかに病院を受診する、という方針を、
看護師と確認しました。
新型インフルエンザによる高齢者の急変の事例は、
肺炎が原因となることが殆どであり、
レントゲンを早めに撮り、
肺炎の診断を早めに付けることが、
経過を診る上で重要だと思うからです。

これは仮定の話ですが、
肺内で増殖し易くなるような、
ウイルスの変異が起こった場合、
増殖の主座が肺と下気道になるため、
鼻や咽喉で感染の有無を診る、
現在の簡易検査では、
検出され難いのでは、
という可能性は存在するのです。

こうした時、健康保険とは無関係に、
簡単に遺伝子検査などの特殊検査を、
依頼出来るような施設が存在すれば、
どんなにか助けになるだろう、
というのが僕の常日頃考えていることです。

検査会社は多くありますが、
あくまで健康保険の範囲内の検査を、
引き受けてくれるだけで、
保険外の検査は、やってはくれないか、
仮にやってくれても、法外な検査料を、
請求されるのが現状です。

つまり末端の医療機関のニーズに、
適うようなサービスをしてはくれないのです。

僕の発想は、病院や診療所、
検査機関や行政などの枠を離れて、
実地医療のお助け機関が、
存在したらどうだろうか、ということです。

救急医療に特化した医者と、
検査技師がタッグを組み、
末端の医療機関で、
手に負えない事態があり、
患者さんが困っているような時、
主治医の依頼を受けて、
そのサポートに駆けつけるのです。

ちょっとうまいたとえではないかも知れませんが、
医療版のJAFのようなものです。

地区毎に支部を持ち、
たとえば、新型インフルエンザのような、
新しい感染症が発生すれば、
行政に成り代わって、
逸早く遺伝子検査を依頼により施行します。
健康保険の枠には捉われず、
患者さんにとって必要な検査をのみ、
最新の検査を含めて、
速やかに施行します。
また患者さんの急変時にも、
依頼を受ければ現場に駆けつけて、
主治医のサポートをし、
より専門的な手技も行ないます。

勿論私費です。
そして、患者さんにはご負担は頂きません。

そんな都合の良いことが出来るだろうか?
お金は一体何処から出るのだ?

と、疑問に思われる方がいるかも知れません。

でも、出来るんですよ。

現在の「○○○」という組織を解体し、
そのままお助け機関に再編するのです。

「○○○」は各地区毎にありますから、
そこをそのままお助け機関の支部にするのです。
現在のような形態の組織ではなく、
医療を支える、選任のプロのスタッフのみの組織にします。
今までの「○○○」の業務は全て止めます。
お金は「○○○」の予算をそのまま当てます。
僕のような診療所でも、
1ヶ月に数万円のお金を払い続けているのです。
それを全部その目的のみのために、
注ぎ込むのです。

行政や健康保険の束縛から離れ、
本当に困っている患者さんとその主治医のサポートを、
その仕事の全てにするのです。

今の医療を本当の意味で悪くしているのは、
実は「皆保険制度」です。
勿論多くのメリットがあったのですが、
現時点ではとても当初の目的は達成出来ず、
今後収支的に成り立つ見込みはなく、
ただ「行政が全ての医療を支配する」ということのみが、
持続しているからです。

「皆保険制度」をどうにかして守る、
という観点に立つべきではなく、
まず皆さん1人1人が、
自分が本当に求めている医療の水準が何なのかを考え、
それを達成するための方法に、
知恵を絞るべきなのです。

そのためには健康保険とは無関係に、
医療の原点を示すような組織が、
行政の規制に縛られることのないような形態で、
存在するべきなのではないかと、
僕は思います。

皆さんはどうお考えになりますか?

何となく疲れ過ぎて興奮しているようです。

ちょっと不穏当な記述があったかも知れませんが、
ご容赦下さい。

今日は午後ヘンデルの「リナルド」を聴きに行きます。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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コメント 4

まみしゃん

ちょっと論点がずれてるかもしれないですが・・・

何日か前の新聞で「かかりつけ医」をもちたくても持てない人が増えていると言う記事を興味深く読みました。

私は「スーパー主治医」と呼ばせて頂いている内分泌専門医のドクターのところに、何かあると駆け込みます。
予約外でも、多少の待ち時間を覚悟すれば診ていただけます。

複数の病気を持ち、それぞれの専門医の治療を受けると何をいちばんに優先すべきか、素人の患者にはわかりません。

総合病院や大学病院の持つ意味を考えれば、風邪症状で受診しようと思う人は少ないでしょうし、予約なしで何時間も待ってその科の疾患でなければまた次の日に予約なしで違う科を受診ということになります。

新型インフルエンザの発生以来、報道される情報だけがすべてでない気がします。

たとえば遺伝子検査にしても、自分で検査費を負担してでも検査を受けたいという患者さんもいるのではないでしょうか?

患者さんがまず受診するのは、近くのかかりつけ医や個人病院ではないですか?

救急車を呼ぶほど重症化した時では、遅いではないですか・・・

石原先生のように、真摯に患者さんと向かい合ってくださるお医者様がお医者さまではないでしょうか・・・

どうぞ、いい音楽を聴いて少しでもお疲れがとれますようお祈りしています♪
by まみしゃん (2009-12-06 13:43) 

fujiki

まみしゃんさんへ
コメントありがとうございます。
まみしゃんさんは、信頼出来る主治医がいて、
良かったですね。
本来は日本もかかりつけ医制のような形が、
あるべきなのかも知れませんが、
現実にはかなりハードルは高そうです。
「リナルド」はまあまあでした。
by fujiki (2009-12-07 05:42) 

a-silk

看取りをされたのですか。お疲れ様でした。

med かな?

by a-silk (2009-12-07 06:52) 

まみしゃん

石原先生、お疲れ様です!

医療の現場では専門性が求められるのかも知れませんが、石原先生のようにトータルで診て下さるお医者さまの存在は、患者の側にとってはとても大切だと思うのです。

病院に行くために、体力と気力を使い果たしているようでは「健康」が遠のいていくようです。
by まみしゃん (2009-12-07 13:36) 

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