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トマトの中高年における降圧効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
トマトの降圧効果.jpg
European Journal of Preventive Cardiology誌に、
2023年11月24日付で掲載された、
トマトの健康効果についての論文です。

トマトは世界中で最も広く食べられている野菜の1つで、
そのままでも、付け合わせやソースの材料としても、
その使用は多岐に渡っています。

トマトは組成的には大部分は水分ですが、
カルシウムや亜鉛などの微量元素や、
A、Cなどのビタミン類などを多く含み、
その赤さの主成分であるカロテノイドのリコピンは、
強い抗酸化作用を持ち、
動脈硬化の進行予防などにその効果が期待されています。
またリコピンは血圧を上げるホルモンの産生を、
抑制するような働きも報告されていて、
このことからは、
血圧の高い中高年の方などの健康管理に、
適した野菜であることが示唆されます。

それでは、毎日トマトを摂ることにより、
どの程度の血圧への影響があるのでしょうか?

今回の研究はスペインにおいて、
動脈硬化性疾患のリスクの高い、
55歳から80歳の男性と60歳から80歳の女性、
トータル7056名の一般住民を3年間観察した、
健康調査のデータを活用して、
毎日のトマトの摂取量と血圧との関連を検証しています。
登録の時点でそのうちの82.5%高血圧がありました。

観察の結果、
登録時に高血圧のない人での解析では
トマトを1日110グラムを超えて摂取
(トマト1個は通常150から200グラム)
していた人は、
1日44グラム未満と摂取の少ない人と比較して、
高血圧の発症リスクが36%(95%CI:0.51から0.89)、
有意に低下していました。

高血圧の患者さんにおいては、
トマトの摂取量と血圧値との間に、
それほどクリアな関係は認められませんでしたが、
トマトの摂取量が1日44から82グラムの人では、
44グラム未満の人と比較して、
拡張期血圧が0.65mmHg有意に低下していました。

このように、トマトだけで血圧が安心、
というほどの効果はなさそうですが、
血圧が少し高めの人は、
1日半個以上のトマトを食べることで、
一定の予防効果が期待出来、
動脈硬化の進行も予防される可能性があるとすれば、
健康法の基準は充分満たしていると言って良いように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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