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MRI検査への金属製品持ち込みの危険について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
MRI危険調査.jpg
British Medical Journal誌に、
2023年21日付で掲載された、
MRI検査時に磁性体を持ち込むリスクについての論文です。

一応きちんと論文の体裁は整っているのですが、
この雑誌の恒例のクリスマス特集の論文で、
通常は決して掲載されることはない、
ジョークに近い話題を取り上げています。
その点はご理解の上お読み下さい。

MRI検査は磁気を利用した画像検査で、
そのため、検査器具周囲には強力な磁場が発生します。

従って磁石に吸い寄せられる性質を持つ物品を、
その加速度が生じる地点に置くと、
機器の中央部に向かって、
その物体は加速度を持って飛んで行きます。

それが他の物に当たれば、
損傷する危険がありますし、
体に激突すれば怪我や骨折などの原因ともなります。

確か医療関係者が書いたミステリーで、
それを利用して凶器を飛ばしてMRI検査場で殺害する、
というようなトリックがありましたね。

それでは、実際にどの程度の威力があるのでしょうか?

それを個別に真面目に検証したのが今回の論文です。

こちらをご覧下さい。
MRI危険調査画像.jpg
これは今回の実験の仕組みを示したものです。

MRI検査装置の中心に向かって透明チューブを設置して、
そこに磁性体を投げ込むと、
それが装置の中心に向かって飛んで行きます。
中央部には人体に模したゲルが置かれていて、
そこにどれだけめり込んだかで、
人体への危険を計測するのです。

当該医学誌のサイトを見ると、
実際の実験画像も見ることが出来ます。

その結果人体を模したゲルを穴を開けたのは、
ナイフ、スプーン、フォーク、硬貨で、
特にナイフは表面から5.5センチめり込んでいました。
勿論確実な殺傷能力はありませんが、
ミステリーのトリックとしては、
「あり」だと思える結果です。
また小さなビスケット缶は、
骨折の可能性のある衝撃を与えることが確認されました。

このように磁性体のMRI検査の持ち込みにはリスクがあり、
そのために検査前には慎重にチェックが行われているのです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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