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帯状疱疹不活化ワクチンの実地臨床での有効性 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので診療は午前中で終わり、
午後は産業医面談で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
帯状疱疹不活化ワクチンの実際の有効性.jpg
Annals of Internal Medicine誌に、
2024年1月9日付で掲載された、
帯状疱疹予防ワクチンの有効性についての論文です。

帯状疱疹の予防ワクチンとして、
現状最も有効性が高いと考えられているのが、
遺伝子工学的手法を活用して作られた、
シングリックスという名称の不活化ワクチンです。

その効果は臨床試験のデータにおいては、
97%の高い予防効果が確認されています。

ただ、これは敢くまで臨床試験のデータであって、
実際にこのワクチンを一般の不特定多数の人に使用した場合に、
同じ有効性が確認されている、
という訳ではありません。

今回の研究は、
アメリカの医療保険の大規模なデータを活用して、
実地臨床でのシングリックスの帯状疱疹予防効果を、
検証しているものです。

トータルで200万人近い一般住民データを解析したところ、
シングリックス1回接種の累積の有効性は64%、
2回接種の累積の有効性は76%でした。
シングリックスを1回のみ接種した場合、
1年以内の有効率は70%でしたが、
2年目には45%に低下し、
3年目は48%、
3年目以降では52%と算出されました。

2回接種を施行した場合、
接種後1年以内の有効率は79%、
2年目の有効率は75%、
3年目と4年間は73%でした。

このように、
帯状疱疹予防ワクチンの有効性は、
臨床試験のデータよりは低いものの、
高いレベルで保たれていました。
その一方でワクチンを1回のみ接種すると、
その有効性は1年でかなり低下していて、
このワクチンは2回接種を必ず行うことが、
必要であることが確認されたと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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