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歩行時の息切れの原因は?(スウェーデンの疫学研究) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
産業医活動などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
息切れの原因は?.jpg
Respiratory Research誌に、
2024年3月16日付で掲載された、
中年期の年齢層の息切れの原因を調べた論文です。

歩くと息が切れる、
他の人と同じように歩こうとすると苦しくなる、
というような症状は、
中年以降の年齢では10から25%に見られる、
というほど頻度の高い症状です。

ただ、その原因は様々で、
肺気腫や喘息のような呼吸器疾患の場合もありますし、
心臓が原因のこともあります。
また調べても原因が分からないこともあります。

それでは実際に「歩行時の息切れ」が見られた時、
その個々の原因は、
どのくらいの頻度で見られるものなのでしょうか?

今回の研究はスウェーデンにおいて、
心肺疾患についての疫学研究のデータを活用して、
歩行時の息切れの原因検索を施行しているものです。

対象は年齢が50から64歳の25948名で、
同年代の人と同じような速度で歩こうとすると、
息切れが生じる、というような症状もしくは、
より重い息切れの症状があったのは、
そのうちの3.7%でした。
検査により判明した病名との関連を検討すると、
息切れに最も関連していたのは、
過体重及び肥満が全体の63%(59.6から66.0)、
ストレスが60%(31.6から76.8)、
呼吸器疾患が29%(20.1から37.1)、
抑うつ状態が22%(17.1から26.6)、
心臓病が9.5%(6.3から12.7)でした。
(PAF95%CI)

このように、
歩行時の息切れ症状は、
肥満や過体重を伴う場合には、
それによって生じている可能性が高く、
通常病気として想定される、
呼吸器疾患や心臓疾患の関与は、
それほど大きなものではありませんでした。

勿論鑑別診断としては、
呼吸機能や心機能などの検索は行われるべきですが、
息切れの多くは、
むしろ肥満やストレスが関連しているという、
今回の調査結果は非常に興味深く、
今後日本でも同様の検証が行われることを期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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