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糖尿病と五十肩との関係 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
終日レセプトの事務作業の予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
糖尿病と50肩との関係.jpg
BMJ Open誌に2023年1月4日ウェブ掲載された、
糖尿病と五十肩との関連についての論文です。

英語ではFrozen Shoulderと表現される五十肩は、
肩が痛み腕が上げ辛い症状が起こる肩関節周囲炎のことで、
痛みが強いとそのために眠れなくなることもあります。

50代から60代に多いことからその名前がありますが、
40代以前に生じることもあります。
その正確な原因は不明ですが、
肩関節周辺の骨や軟骨、腱などが老化して炎症を起こすことが、
原因ではないかと想定され、
そうした説明がされています。

ただ、たとえば甲状腺機能低下症や心血管疾患と、
五十肩のリスクとの間に関連があるとする報告もあり、
老化以外のメカニズムが影響している可能性も指摘されています。

そして、近年五十肩との関連が指摘されているのが糖尿病です。

糖尿病で五十肩が多いという報告は複数ありますが、
糖尿病が原因であるのか、そうでないか、という点については、
あまり明確なことが分かっていません。

今回の研究はこれまでの臨床データをまとめて解析した、
システマティックレビューとメタ解析の論文ですが、
この問題の再検証を行っているものです。

これまでの6つの症例対照研究に含まれる、
トータル5388名の臨床データをまとめて解析したところ、
糖尿病がない場合と比較して、糖尿病があると、
五十肩のリスクは3.69倍(95%CI:2.99から4.56)有意に増加していました。
より精度の高いコホート研究は2つ存在していて、
そのうちの1つではリスクは1.32倍(95%CI:1.22から1.42)、
もう1つでは1.67倍(95%CI:1.46から1.91)と、
症例対照研究と比較すると違いはありますが、
矢張り糖尿病で高い傾向は認められました。

このように、
糖尿病の患者さんでは、
五十肩が多いという傾向は間違いがないのですが、
データにはかなりばらつきがあり、
そのメカニズムを含めて、
因果関係などがあるかどうかについては、
まだ明確なことは言えないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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