SSブログ

「帰ってきたマイ・ブラザー」 [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で、
午前午後とも石原が担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
帰ってきたマイ・ブラザー.jpg
水谷豊さんの主演舞台が、
マギーさんの脚本に小林顕作さんの演出、
相棒コンビの寺脇康文さんや堤真一さん、
段田安則さん、高橋克実さん、
更には峯村リエさんと池谷のぶえさんが脇を固めるという、
小劇場的には超豪華なメンバーで今上演されています。

昔解散した実際に4人兄弟のコーラスグループが、
ひょんなことから数十年ぶりに公演を開くことになり、
その楽屋でのやり取りがお芝居として描かれて、
ラストはその公演風景で締め括られます。

これは個人的にはとても良かったです。

仲の悪いグループの公演直前の楽屋風景という、
これはもう本当にベタな設定なんですね。

それがその通り基本的には予定調和的に進みます。
最初は、とても公演など迎えられないのではないか、
という雰囲気なのですが、
色々な偶然や、蔭のマネージャーやファンの努力、
そして過去と向き合いながら葛藤する、
メンバー(今回は家族でもある)の人生を凝縮したような時間のやり取りがあって、
ラストでは公演の風景に全てが集約されてゆきます。

ここまでベタな設定ですと、
そのまま丁寧にやれば一定のレベルの舞台になるのは、
それはもう当然と言って良いのですが
その一方で特徴が出にくいという欠点はあります。

今回何が良かったかと言うと、
まず第一に上演時間の短さです。
トータルで上演時間は1時間半弱なんですね。
それでいて短すぎるという感じはありません。
オープニングからすぐ水谷さんと寺脇さんが登場して、
無意味な前振りがありませんし、
久しぶりに再会した4人兄弟が、
最初は過去のわだかまりがありながらも、
徐々に1つになって、
その日の舞台に向かうまでを、
時間経過を踏まえながら、丁寧に描いてゆきます。
1人2役の女優陣が途中に綺麗に挟まって、
単調になりがちな段取り部分を、
丁寧に補完してゆきます。
そして、いよいよ公演ということになると、
劇場がそのまま公演会場に変貌し、
観客はその世界に入り込んで、
本人と役柄とを二重写しにしながら、
その展開を見守るのです。

この短さの選択と、
凝縮されたマギーさんの台本の完成度の高さが、
この作品のまず第一の魅力です。

この作品の第二の魅力は勿論キャストです。

主役が水谷豊さんで、
マネージャー役には相棒でも共演の寺脇康文さんでしょ。
水谷さんの弟に段田さん、高橋さん、堤さんという、
それぞれ1人で充分舞台の主役を張れる面々が揃っています。
そして、アクセント的に出演する女優陣も、
おそらく今の演劇界で最も器用なコメディエンヌと言って良い、
峯村リエさんと池谷のぶえさんという豪華さです。

こうしたキャストを組むと、
ともすれば皆が顔見世的な出演になって、
「無駄に豪華」という感じになりがちなのですが、
今回は違っていました。

矢張り水谷さんがスーパースターなんですね。
そのオーラがとてつもないので、
水谷さんを活かすためには、
周りにもこのくらいのメンバーが必要なのです。

それから、矢張りこれはマギーさんの脚本が良いのですが、
1人として段取り的な役柄はなく、
それぞれがしっかり自分の役柄をこなし、
見せ場も作るという感じになっていて、
その贅沢なアンサンブルに、
こちらもちょっと豊かな気分にさせられるのです。

特筆するべきは矢張りラストで、
4人兄弟が真紅の背広でずらりと並び、
歌が始まった時の感銘というのは、
それまでの経過をしっかり見せられているだけに、
胸に迫るものがありましたし、
久しぶりに舞台を観て鳥肌が立ちました。

要するに1曲の歌が背負っているものを、
演劇として見せておいて、
それを感じながら歌を聞くことにより、
全ての思いがそこに集約されるのです。

その後はカーテンコールのダンスになるのですが、
全員が揃ってのダンスシーンは、
オールスターキャストならではの凄みのある舞台面で、
この場面のみでも、
このキャストを集めた意味は充分にあったと感じました。

そんな訳で、
とてもベタな芝居ですが、
それを超豪華なキャストと手練れのスタッフで、
1時間半の結晶体のような舞台に仕上げた傑作で、
是非是非劇場に足をお運び頂きたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(1)  コメント(0) 

nice! 1

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。