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新型コロナとインフルエンザの同時感染の重症化リスク [科学検証]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

今日は休みですが医学の話題です。
今日はこちら。
COVID-19とインフルエンザの同時感染.jpg
Lancet誌に2022年4月16日掲載された解説記事ですが、
新型コロナウイルス感染症と他の風邪ウイルスとの、
同時感染のリスクについての論文です。

新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時感染が、
単独感染よりリスク増加に繋がるのでは、という意見があります。

それは事実でしょうか?

クリニックでは、
新型コロナとインフルエンザの同時検出のキットを活用していますが、
両方の陽性反応が同時に見られたケースは、
これまで1例のみで、
症状的には発熱など通常のインフルエンザや新型コロナの単独感染と、
特に変わりはありませんでした。

先日テレビをチラ見していたら、
新型コロナウイルス感染症とインフルエンザの同時感染では、
重症化のリスクが高まるというデータが説明されていて、
その出典がランセットと書かれていました。

そんな論文あったかしらと、
あまり読んだ覚えがなかったので、
改めて検索してみたところ、
どうやら上記の解説記事にあるデータが、
その出典であるようです。

これはイギリスで入院治療をした新型コロナウイルス感染症患者、
トータル212466名で他の感冒ウイルスとの同時感染の有無を検証したもので、
そのうちの6965例で他の呼吸器感染症の原因ウイルスが検査されており、
8.4%に当たる583例で同時感染が認められました。
内訳は227例が季節性インフルエンザウイルス、
220例が咳を伴う症状のRSウイルス、
136例が下痢や扁桃炎などを起こすアデノウイルスでした。

そこで影響する因子を補正して検証したところ、
アデノウイルスやRSウイルスの同時感染では、
新型コロナのみの単独感染と比較して、
重症化のリスクには有意な差はありませんでしたが、
インフルエンザウイルスとの同時感染では、
人工呼吸器を装着するリスクが4.34倍(95%CI:2.00から8.49)、
入院中に死亡するリスクが2.35倍(95%CI:1.07から5.12)、
それぞれ有意に増加していました。

その結果を表にしたものがこちらになります。
COVID-19とインフルエンザの同時感染の表.jpg

これは敢くまで入院治療を要した、
比較的重症の事例に限ったデータである点には、
注意が必要ですが、
新型コロナとインフルエンザの同時感染では、
重症化や死亡のリスクが増加する可能性があることを留意して、
慎重な対応が必要であると考えた方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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