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松田正隆「真夏の砂の上」(2022年栗山民也演出版) [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は土曜日で午前午後とも石原が外来を担当する予定です。

土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
夏の砂の上.jpg
松田正隆さんが1998年に初演し、
その後多くの劇団や演出家に取り上げられている「真夏の砂の上」が、
栗山民也さんの演出で、
世田谷パブリックシアターで上演されています。

これは所謂「静かな演劇」の代表作の1つで、
長崎を舞台に、息子を水の事故で失い、
職場も倒産して妻にも三行半を突き付けられてしまった男の、
焼けつくように暑い、
表面的には何も起こらない夏の日を描いた作品です。

今回の上演では主人公を田中圭さんが、
その妻を西田尚美さんが、
そして主人公と同居することになる姪を、
山田杏奈さんが演じています。

これはちょっと栗山さんの悪いところが出たな、
という感じがしました。

舞台は主人公の小さな家の中だけで展開されていて、
もともと小劇場の小空間が意識されている作品なんですね。

それを中劇場クラスのパブリックシアターで上演するのに、
栗山さんの演出は、
抽象的で能舞台のような壁のない空間を用意して、
かなり様式的な舞台にしてしまったのです。

これじゃ、作品の繊細なニュアンスがとても伝わりませんし、
役者はベースはリアルな芝居をしているのに、
それが中途半端に様式的で、
あまり意味もなくポジションを変えたり、
正面を向いたりするので、
どうもヘンテコリンな感じになってしまっていました。

役者さんは皆頑張っていたと思いますし、
日常の風景の中に、
灼熱の暑さと渇きを梃子にして、
時空を超えた超越的な何かの影が漂うような、
作品世界は非常に特異で魅力的なのですが、
今回はやや大味な上演となってしまったことは非常に残念でした。

演劇は難しいですね。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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