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運動する時間帯とメタボへの有効性との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
運動する時間とその効果.jpg
Diabetologia誌に2022年11月1日ウェブ掲載された、
運動する時間とそのメタボに対する有効性を、
比較検証した論文です。

現代人は内臓脂肪が増加するいわゆるメタボが多く、
その原因の1つはデスクワークのため、
座っている時間が多く運動不足になるため、
というように説明されています。

実際これまでの臨床研究や観察研究において、
1日のうち座っているだけの時間が長いと、
糖尿病などの生活習慣病が増加し、
時々立って活動するような時間を取ると、
その予防になることを示唆するデータが報告されています。
身体に中等度以上の負荷を掛ける運動習慣が、
肝臓に蓄積された脂肪を減らし、
インスリン感受性(インスリンの効き易さ)を改善する、
という報告もあります。

ただ、運動する時間によって、
その有効性に差があるかどうか、という点については、
これまであまり明確なことが分かっていませんでした。

そこで今回の研究ではオランダにおいて、
年齢が45から65歳で体格の指標であるBMIが、
27以上という、海外の地域によっては過体重以上、
日本においては軽度の肥満以上に相当する、
775名を対象として、
身体活動や座位時間を測定可能な機器を4日間装着し、
中等度以上の身体活動(運動)を、
どのような時間帯に行ったかと、
肝臓の脂肪量とインスリン抵抗性との関連を検証しています。

その結果、
運動する時間が1日の中で平均している場合と比較して、
運動を12時から18時の間に集中して行うと、
インスリン抵抗性は18%(95%CI: -33から-2%)改善し、
運動を18時以降に集中して行うと、
インスリン抵抗性は25%(95%CI: -49から-4%)有意に改善していました。
一方で座位をずっと続けていても、
時々姿勢を変えたりのインターバルを作っても、
インスリン抵抗性や肝臓の脂肪量に、
明確な違いは認められませんでした。

これは長期間経過をみたようなデータではないので、
その時点での評価に過ぎないという難点はありますが、
朝より夜に運動する方がメタボの改善に結び付く、
というちょっと意外な結果が得られたことは興味深く、
今後のより踏み込んだ検証に期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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