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誕生日パーティーと新型コロナ感染リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
バースデイとコロナ感線.jpg
JAMA Internal Medicine誌に、
2021年6月21日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の感染リスクと、
誕生日との関連についての論文です。

何か、British Medical Journal誌の、
クリスマス特集のような企画論文ですが、
内容は至って大真面目であるようです。

人間の移動や大人数での交流を抑制しないと、
市中感染の段階に至った新型コロナウイルス感染症の流行を、
抑止することは出来ない、ということは、
これまでの数多くの疫学データにおいて、
実証されている事実ですが、
人間の活動の中心はそうした人間同士の交流にあるので、
実際にはそれを抑止することは非常に困難です。

本当はそれしか方法はないのだけれど、
今日の飲み会や旅行は止められないよね、
というのが多くの人の本音ではあると思いますし、
それはまっとうな考えであると思いますが、
中には「人の流れを止めなくてもコロナの抑制は可能だ!」
というような意見を大真面目であるのか、
それとも意図的に知識のない人を騙そうとしているのか、
どちらであるのかは分かりませんが、
声高に述べる専門家と称する方もいて、
勿論そんなことが出来れば誰も困らないのですが、
口当たりの良い意見には、
ついつい騙されてしまうのが人間という生き物の弱さで、
混沌とした中で結局リバウンドが起こっている、
というのが現状ではないかと思います。

さて、どういう条件をピンポイントで抑制すれば、
感染拡大を抑えられるのか、
逆に言えばどのような状況で感染拡大が起こりやすいのか、
という点を検証することは、
実効性のある感染予防策を講じる上で重要なことです。
イベントの無観客での開催や中止、
複数人の飲み会を抑制するための、
アルコールを提供する飲食店への営業制限などは、
そうした観点から行われている対策ですが、
家族を中心として少人数のイベントや交流に、
どの程度のリスクがあるのかについては、
これまであまり検証されていませんでした。

今回の検証は、
ホームパーティーなどの文化が盛んなアメリカにおいて、
家族の大人と子供の誕生日が、
その後の新型コロナウイルス感染症の患者数に、
どのような影響を与えるのかを、
アメリカの個人医療保険の大規模データを活用して検証しています。

アメリカ290万世帯のデータを解析したところ、
特に国内でも新型コロナウイルスの罹患率の多い郡では、
2週間前に家族の誕生日があると、
誕生日のない場合に比較して、
患者の発生は31%有意に増加していました。
その誕生日による患者の増加率は、
大人より子供の誕生日において際立って認められました。

このように、子供の誕生日のようなイベントで、
家族や近隣との密接な交流の機会があると、
それだけで明確に感染が増加しており、
市中感染が拡大した時期に感染拡大地域においては、
少人数の交流も極力抑制しないと、
感染の拡大を食い止めることは難しいのが実際であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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