「シブヤデアイマショウ」(松尾スズキ演出 大人の歌謡祭) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
松尾スズキさんが総合演出を務め、
ミュージカルナンバーの替え歌主体の歌謡ショーに、
お芝居やギャグパートを絡めた、
松尾流エンターティンメント歌謡ショーが、
今渋谷のシアターコクーンで上演されています。
何かの穴埋めの企画であるのは明らかですが、
これは文句なく楽しかったですね。
席も良かったので、
とても贅沢な気分になることが出来ました。
これね、お芝居としては、
実際と同じコクーンの芸術監督で登場する松尾さんが、
「悪の松尾」に堕落してしまうのですが、
最後は盟友の秋山菜津子さんに殺されて、
復活することによりお芝居への純な心を取り戻す、
というお話と、
能年玲奈さん(現のんさん)演じる、
お手伝いさんを孕ませた地方のおぼっちゃんの少年が、
渋谷で演劇関係の仕事をすることで、
過去の自分を精算する、
というお話が軸としてあり、
そこにミュージカルの楽曲やゲストコーナー、
演芸、歌舞伎パロディなどが、
歌謡ショーとして配置される、
という構成です。
これは松尾さんと天久聖一さんのコンビが、
良いバランスで機能したな、という感じがします。
ダークサイドに堕ちた藝術家が、
死んで復活することにより再生するという趣向も、
少年が過去の性癖に由来する悪事に苦しむというのも、
これまでの松尾さんの劇作ではお馴染みのものです。
ただ、過去作ではそれをかなり扇情的かつ露悪的に、
ある種悪趣味上等というような感じで描いていたのですが、
今はそうした表現があまり容認されない世の中なので、
今回は至って穏当な表現に終始しています。
でもそれであまり物足りない感じはなかったんですね。
松尾さんの変な動きも見られたし、
アングラ担当の宮崎吐夢さんも、
いい感じの彩を添えていました。
後は何と言っても能年玲奈(のん)さんですね。
素晴らしかったですね。
何と言うのかな、
「佇まい」がいいんですね。
他の人の歌を聴いている時の表情とか、
リズムに合わせて軽く身体を動かす感じとか、
物凄く純度の高い宝石を見ているような感じ、
巫女のようでもあって、
彼女がいるだけ舞台が浄化されるような気がします。
ラス前に松尾さん作の長台詞を言うのですが、
これがまたいいんですよね。
説得力があって感情が豊かで、
それでいて実体が定かでないような、
何か人間離れした透明感があるんですね。
こういう舞台女優はざらにはいませんね。
途中で披露された「タイムマシンにお願い」も素晴らしくて、
グイと胸を掴まれました。
能年さんは個人的には映像より舞台が良いと思います。
松岡茉優さんは映画は抜群ですが舞台は保守的な演技で今一つ。
逆に能年さんは映画は松岡さんと比べると説得力に弱さがあるのですが、
舞台の存在感は抜群です。
その彼女に「召使を孕ませたおぼっちゃん」を演じさせる、
という捻った趣向がさすが松尾さんという感じで、
非現実的なキャラクターが、
舞台上では見事に具現化されていました。
歌もなかなか良かったですね。
全部上手い訳ではないのですが、
「レ・ミゼラブル」もう1回見てもいいかな、
なんて思ってしまいましたし、
キャロル・キングの「きみの友だち」を聞いたら、
LPで「つづれおり」を聴きたくなりました。
あの辺はもう青春ど真ん中で、
それもいい思い出なんて何もなかったですからね。
思い出すだけで胸が切なくて痛いような気分になります。
ちょっと不満は、
歌舞伎の「勧進帳」のパロディがあるんですね。
妙に長くて、
結構マニアックに原典を使っているのですが、
杉原邦生さんの演出作品でした。
僕は矢張りあの人はどうも合わないな、と感じました。
クドイよね。
基本的に古典芸能のパロディというのは、
原典への理解や愛はないものが殆どで、
なまじ知識があるとこうしたクドイものになるので、
そんなものやらない方がいいのに、
といつも思っています。
そうした不満はありながらも、
トータルには非常に豪華で充実した舞台で、
とても良い気分で劇場を後にすることが出来ました。
出演者の皆さん、松尾スズキさん、
本当にありがとうございました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で午前午後とも須田医師が外来を担当する予定です。
土曜日は趣味の話題です。
今日はこちら。
松尾スズキさんが総合演出を務め、
ミュージカルナンバーの替え歌主体の歌謡ショーに、
お芝居やギャグパートを絡めた、
松尾流エンターティンメント歌謡ショーが、
今渋谷のシアターコクーンで上演されています。
何かの穴埋めの企画であるのは明らかですが、
これは文句なく楽しかったですね。
席も良かったので、
とても贅沢な気分になることが出来ました。
これね、お芝居としては、
実際と同じコクーンの芸術監督で登場する松尾さんが、
「悪の松尾」に堕落してしまうのですが、
最後は盟友の秋山菜津子さんに殺されて、
復活することによりお芝居への純な心を取り戻す、
というお話と、
能年玲奈さん(現のんさん)演じる、
お手伝いさんを孕ませた地方のおぼっちゃんの少年が、
渋谷で演劇関係の仕事をすることで、
過去の自分を精算する、
というお話が軸としてあり、
そこにミュージカルの楽曲やゲストコーナー、
演芸、歌舞伎パロディなどが、
歌謡ショーとして配置される、
という構成です。
これは松尾さんと天久聖一さんのコンビが、
良いバランスで機能したな、という感じがします。
ダークサイドに堕ちた藝術家が、
死んで復活することにより再生するという趣向も、
少年が過去の性癖に由来する悪事に苦しむというのも、
これまでの松尾さんの劇作ではお馴染みのものです。
ただ、過去作ではそれをかなり扇情的かつ露悪的に、
ある種悪趣味上等というような感じで描いていたのですが、
今はそうした表現があまり容認されない世の中なので、
今回は至って穏当な表現に終始しています。
でもそれであまり物足りない感じはなかったんですね。
松尾さんの変な動きも見られたし、
アングラ担当の宮崎吐夢さんも、
いい感じの彩を添えていました。
後は何と言っても能年玲奈(のん)さんですね。
素晴らしかったですね。
何と言うのかな、
「佇まい」がいいんですね。
他の人の歌を聴いている時の表情とか、
リズムに合わせて軽く身体を動かす感じとか、
物凄く純度の高い宝石を見ているような感じ、
巫女のようでもあって、
彼女がいるだけ舞台が浄化されるような気がします。
ラス前に松尾さん作の長台詞を言うのですが、
これがまたいいんですよね。
説得力があって感情が豊かで、
それでいて実体が定かでないような、
何か人間離れした透明感があるんですね。
こういう舞台女優はざらにはいませんね。
途中で披露された「タイムマシンにお願い」も素晴らしくて、
グイと胸を掴まれました。
能年さんは個人的には映像より舞台が良いと思います。
松岡茉優さんは映画は抜群ですが舞台は保守的な演技で今一つ。
逆に能年さんは映画は松岡さんと比べると説得力に弱さがあるのですが、
舞台の存在感は抜群です。
その彼女に「召使を孕ませたおぼっちゃん」を演じさせる、
という捻った趣向がさすが松尾さんという感じで、
非現実的なキャラクターが、
舞台上では見事に具現化されていました。
歌もなかなか良かったですね。
全部上手い訳ではないのですが、
「レ・ミゼラブル」もう1回見てもいいかな、
なんて思ってしまいましたし、
キャロル・キングの「きみの友だち」を聞いたら、
LPで「つづれおり」を聴きたくなりました。
あの辺はもう青春ど真ん中で、
それもいい思い出なんて何もなかったですからね。
思い出すだけで胸が切なくて痛いような気分になります。
ちょっと不満は、
歌舞伎の「勧進帳」のパロディがあるんですね。
妙に長くて、
結構マニアックに原典を使っているのですが、
杉原邦生さんの演出作品でした。
僕は矢張りあの人はどうも合わないな、と感じました。
クドイよね。
基本的に古典芸能のパロディというのは、
原典への理解や愛はないものが殆どで、
なまじ知識があるとこうしたクドイものになるので、
そんなものやらない方がいいのに、
といつも思っています。
そうした不満はありながらも、
トータルには非常に豪華で充実した舞台で、
とても良い気分で劇場を後にすることが出来ました。
出演者の皆さん、松尾スズキさん、
本当にありがとうございました。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2021-04-24 11:18
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