月影番外地その5「どどめ雪」(福原充則) [演劇]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
本日は所要のため、
午後の診療は休診とさせて頂きます。
ご了承下さい。
午前中は石原が外来を担当します。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
先日高田聖子さんが主宰の月影番外地のシリーズとして、
福原充則さんの新作「どどめ雪」が、
峯村リエさんや利重剛さんの魅力的なキャストと、
木野花さんの演出で下北沢ザ・スズナリで上演されました。
これは牛久を舞台とした「細雪」のパロディで、
オリジナルの4人姉妹を、
峯村リエさん、高田聖子さん、内田慈さん、藤田記子さんという、
いずれ劣らぬ芸達者が演じ、
高田聖子さんの夫に利重剛さん、
内田慈さんの婚約者に田村健太郎さん、
という布陣です。
物語はオリジナルと同じように、
内田さんの結婚を巡る騒動から始まり、
天変地異などもあり、
多くの理不尽な不幸が家族を襲うのですが、
最後にはちょっとした奇跡が用意され、
家族はそれでも文句は言いながら、
運命に抗いつつ、たくましく生きてゆきます。
オリジナルの「細雪」とは異なり、
アーヴィングやガルシア・マルケスに似た、
所謂「マジック・リアリズム」の物語で、
現実ではありえないような事件が起こり、
主人公の高田さんにはちょっとした超能力が備わっています。
クライマックスでは事故で死んだ峯村さんが甦ります。
ただ、現実の牛久を非現実世界に反転させる手際は、
あまりレベルの高いものとは言えず、
主人公の超能力も、
平凡で面白みのないものなので、
あまりワクワクするような感じで、
主人公達の人生を見守る、
という気分にはなりません。
福原さんの作品としては、
正直凡庸で、
意外な展開や、
生き生きとした人物描写には乏しい、
という感じがします。
更には木野花さんの演出が、
鵜山仁さんを思わせるような渋くて地味な感じのもので、
地味な物語が更に地味な感じになって、
正直かなり退屈を感じました。
セットも色彩が乏しく、
素通しの骨組みだけのような舞台に、
背後の茶色い壁には、
古新聞のようなものがペタペタ貼り付けてあるだけです。
こうしたイメージ重視の地味な芝居であるからこそ、
舞台にはある種の華やかさが必要ではないでしょうか?
牛久の大仏も、
何等かの形で登場をして欲しかったな、
と思いました。
キャストは皆ベテランで演技も成熟しているので、
それなりに楽しく観ることは出来るのですが、
高田聖子さんが地味なおばさんを演じるというのも、
どうもあまり面白いという気持ちになれなくて、
暗く全体が沈んだ舞台の中で、
もう少し光る部分や瑞々しい部分が、
何処かにあると良いな、と思いました。
峯村リエさんは僕が大好きな女優さんですが、
たとえばケラさんの舞台では、
彼女が上手く嵌るようなポジションが用意され、
他に若い女優さんなども華やかに出演されるので、
そのバランスが取れているのですが、
今回の芝居では峯村さんタイプの女優さんが、
4人並んでしまったという感じになり、
互いが潰しあうような舞台になったのは、
非常に残念に思いました。
木野花さんの演出は昔から堅実なのですが、
台本の良さと悪さが、
そのまま舞台に出てしまうような感じがあり、
今回は作品の地味さと暗さが、
そのまま演出されて増幅されてしまった、
という感じがありました。
そんな訳で今回は乗れない観劇であったのですが、
また次には期待をしたいと思います。
出来れば高田さんには、
関西ノリらしい派手な世界を期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
北品川藤クリニックの石原です。
本日は所要のため、
午後の診療は休診とさせて頂きます。
ご了承下さい。
午前中は石原が外来を担当します。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
先日高田聖子さんが主宰の月影番外地のシリーズとして、
福原充則さんの新作「どどめ雪」が、
峯村リエさんや利重剛さんの魅力的なキャストと、
木野花さんの演出で下北沢ザ・スズナリで上演されました。
これは牛久を舞台とした「細雪」のパロディで、
オリジナルの4人姉妹を、
峯村リエさん、高田聖子さん、内田慈さん、藤田記子さんという、
いずれ劣らぬ芸達者が演じ、
高田聖子さんの夫に利重剛さん、
内田慈さんの婚約者に田村健太郎さん、
という布陣です。
物語はオリジナルと同じように、
内田さんの結婚を巡る騒動から始まり、
天変地異などもあり、
多くの理不尽な不幸が家族を襲うのですが、
最後にはちょっとした奇跡が用意され、
家族はそれでも文句は言いながら、
運命に抗いつつ、たくましく生きてゆきます。
オリジナルの「細雪」とは異なり、
アーヴィングやガルシア・マルケスに似た、
所謂「マジック・リアリズム」の物語で、
現実ではありえないような事件が起こり、
主人公の高田さんにはちょっとした超能力が備わっています。
クライマックスでは事故で死んだ峯村さんが甦ります。
ただ、現実の牛久を非現実世界に反転させる手際は、
あまりレベルの高いものとは言えず、
主人公の超能力も、
平凡で面白みのないものなので、
あまりワクワクするような感じで、
主人公達の人生を見守る、
という気分にはなりません。
福原さんの作品としては、
正直凡庸で、
意外な展開や、
生き生きとした人物描写には乏しい、
という感じがします。
更には木野花さんの演出が、
鵜山仁さんを思わせるような渋くて地味な感じのもので、
地味な物語が更に地味な感じになって、
正直かなり退屈を感じました。
セットも色彩が乏しく、
素通しの骨組みだけのような舞台に、
背後の茶色い壁には、
古新聞のようなものがペタペタ貼り付けてあるだけです。
こうしたイメージ重視の地味な芝居であるからこそ、
舞台にはある種の華やかさが必要ではないでしょうか?
牛久の大仏も、
何等かの形で登場をして欲しかったな、
と思いました。
キャストは皆ベテランで演技も成熟しているので、
それなりに楽しく観ることは出来るのですが、
高田聖子さんが地味なおばさんを演じるというのも、
どうもあまり面白いという気持ちになれなくて、
暗く全体が沈んだ舞台の中で、
もう少し光る部分や瑞々しい部分が、
何処かにあると良いな、と思いました。
峯村リエさんは僕が大好きな女優さんですが、
たとえばケラさんの舞台では、
彼女が上手く嵌るようなポジションが用意され、
他に若い女優さんなども華やかに出演されるので、
そのバランスが取れているのですが、
今回の芝居では峯村さんタイプの女優さんが、
4人並んでしまったという感じになり、
互いが潰しあうような舞台になったのは、
非常に残念に思いました。
木野花さんの演出は昔から堅実なのですが、
台本の良さと悪さが、
そのまま舞台に出てしまうような感じがあり、
今回は作品の地味さと暗さが、
そのまま演出されて増幅されてしまった、
という感じがありました。
そんな訳で今回は乗れない観劇であったのですが、
また次には期待をしたいと思います。
出来れば高田さんには、
関西ノリらしい派手な世界を期待したいと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ
- 作者: 石原藤樹
- 出版社/メーカー: 総合医学社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: 単行本
2016-12-24 06:01
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