ロッシーニ「セビリアの理髪師」(2016/2017新国立劇場レパートリー) [オペラ]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
昨日は色々あって、
昼近くまで寝ていました。
今日は何もなければ1日家にいるつもりです。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
12月の初めに、
新国立劇場のレバートリーとして、
ロッシーニの「セビリアの理髪師」が上演されました。
このプロダクションは、
20世紀の内戦時代のスペインに舞台を移したもので、
そのセンスはあまり好きではないのですが、
原色の回り舞台のセットがなかなか上手く出来ていて、
レパートリーとしてこれまでに何度も再演がされています。
僕もこれまでに3回くらいは観ています。
この作品には、
テノールの非常に技巧的な大アリアがあって、
1990年代くらいまでは、
難易度が高くカットされることが多かったのですが、
1990年代後半からファン・ディエゴ・フローレスという、
超高音とアジリタと呼ばれる装飾歌唱を得意とする、
スターテノール歌手が世界を席巻し、
フローレスが歌ったのが最初かどうかは分かりませんが、
この大アリアは2000年代からは復活されることが多くなりました。
日本でもボローニャ歌劇場の来日公演で、
フローレスはこの大アリアを披露して、
絶賛を浴びました。
共演はカサロヴァとレオ・ヌッチで、
僕も実際に聴きましたが、
圧倒的な名演と言って良い舞台だったと思います。
さて、この新国立劇場のレパートリー版は、
初演時の演出が大アリアなしのものであったので、
再演以降、大アリアを歌った経験のある歌手の来日もあったのですが、
実際には歌われないままに終わっていました。
それが今回初めて、
ロッシーニが得意のマキシム・ミロノフが、
アルマヴィーヴァ伯爵を歌い、
この演出で初めて、
ラストのテノールの大アリアが復活されました。
マキシム・ミロノフさんは、
以前来日したこともあるロシア出身のロッシーニ歌いですが、
その技術は確かなものなので、
今回は大変期待して劇場に足を運びました。
実際の感想としては、
フィガロのイェニス、
ベルキナのロジーナを筆頭に歌手陣は粒が揃っていて、
アンサンブルの妙味を楽しめる公演になっていました。
ただ、期待のミロノフさんは、
アジリタの技巧はまずまずなのですが、
高音で声が張れないタイプで声量もイマイチなので、
フローレスやシラグーザの胸のすくような高音のカタルシスを期待していると、
ちょっと元気のない感じが減点になっていました。
フィガロとの二重唱でも、
もっと盛り上がって良い筈なのに、
要所が締まらない感じがありました。
それでも、
矢張り大アリアがあると、
作品全体の満足度は全く違います。
今になって思うと、
あの大アリアをカットした「セビリアの理髪師」は、
一体何だったのだろう、
とそんな思いにも囚われるのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
昨日は色々あって、
昼近くまで寝ていました。
今日は何もなければ1日家にいるつもりです。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
12月の初めに、
新国立劇場のレバートリーとして、
ロッシーニの「セビリアの理髪師」が上演されました。
このプロダクションは、
20世紀の内戦時代のスペインに舞台を移したもので、
そのセンスはあまり好きではないのですが、
原色の回り舞台のセットがなかなか上手く出来ていて、
レパートリーとしてこれまでに何度も再演がされています。
僕もこれまでに3回くらいは観ています。
この作品には、
テノールの非常に技巧的な大アリアがあって、
1990年代くらいまでは、
難易度が高くカットされることが多かったのですが、
1990年代後半からファン・ディエゴ・フローレスという、
超高音とアジリタと呼ばれる装飾歌唱を得意とする、
スターテノール歌手が世界を席巻し、
フローレスが歌ったのが最初かどうかは分かりませんが、
この大アリアは2000年代からは復活されることが多くなりました。
日本でもボローニャ歌劇場の来日公演で、
フローレスはこの大アリアを披露して、
絶賛を浴びました。
共演はカサロヴァとレオ・ヌッチで、
僕も実際に聴きましたが、
圧倒的な名演と言って良い舞台だったと思います。
さて、この新国立劇場のレパートリー版は、
初演時の演出が大アリアなしのものであったので、
再演以降、大アリアを歌った経験のある歌手の来日もあったのですが、
実際には歌われないままに終わっていました。
それが今回初めて、
ロッシーニが得意のマキシム・ミロノフが、
アルマヴィーヴァ伯爵を歌い、
この演出で初めて、
ラストのテノールの大アリアが復活されました。
マキシム・ミロノフさんは、
以前来日したこともあるロシア出身のロッシーニ歌いですが、
その技術は確かなものなので、
今回は大変期待して劇場に足を運びました。
実際の感想としては、
フィガロのイェニス、
ベルキナのロジーナを筆頭に歌手陣は粒が揃っていて、
アンサンブルの妙味を楽しめる公演になっていました。
ただ、期待のミロノフさんは、
アジリタの技巧はまずまずなのですが、
高音で声が張れないタイプで声量もイマイチなので、
フローレスやシラグーザの胸のすくような高音のカタルシスを期待していると、
ちょっと元気のない感じが減点になっていました。
フィガロとの二重唱でも、
もっと盛り上がって良い筈なのに、
要所が締まらない感じがありました。
それでも、
矢張り大アリアがあると、
作品全体の満足度は全く違います。
今になって思うと、
あの大アリアをカットした「セビリアの理髪師」は、
一体何だったのだろう、
とそんな思いにも囚われるのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
下記書籍発売中です。
よろしくお願いします。
誰も教えてくれなかった くすりの始め方・やめ方: ガイドラインと文献と臨床知に学ぶ
- 作者: 石原藤樹
- 出版社/メーカー: 総合医学社
- 発売日: 2016/10/28
- メディア: 単行本
2016-12-25 14:22
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