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ネズミのアレルゲンと小児喘息との関連について [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
ネズミのアレルゲン吸入と喘息.jpg
今月のJAMA Peditrics誌にウェブ掲載された、
小児喘息の経過に与える、
学校の環境中のアレルゲンとの関連についての論文です。

喘息は体質と環境が原因という言い方をされますが、
日頃生活している環境中に存在していて、
吸入している物質が、
抗原として喘息の経過に影響することが知られています。

小学生くらいのお子さんの場合、
家庭と学校が一番長く生活していて、
環境面での影響の大きな場所であることは間違いがありません。

家庭のダニや動物などの吸入系のアレルゲンの量が、
喘息の経過に影響を与えるという論文は、
これまでに幾つか出ていますが、
学校の環境中のアレルゲンの影響については、
あまり報告がありませんでした。

そこで今回の研究では、
アメリカの都市部の複数の小学校(elementary school)に通う、
4歳から13歳の小児喘息のお子さん、
トータル284名を学年が始まる前に登録し、
家庭と学校で埃のサンプルを採取してその成分を分析、
その後1年間の喘息の状態との関係を検証しています。

その結果、家庭よりも学校において、
ネズミ(マウス)のアレルゲンが高濃度で検出され、
学校でのネズミのアレルゲン濃度が高いほど、
喘息発作のリスクは増加し、
呼吸機能の1秒量という数値も低下することが確認されました。

犬や猫、ゴキブリのアレルゲンでは、
同様の関連は認められませんでした。

ネズミのアレルゲンのみにこうした関連があった、
ということの意味はなんとも言えませんが、
学校の環境が喘息の経過に影響を与えるという指摘は、
日本でも充分考慮する必要があると思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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