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2015年の演劇を振り返る [演劇]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

大晦日、皆さん如何お過ごしでしょうか?

今日は今年の演劇を振り返ります。

今年は以下の公演に足を運びました。

1.革命アイドル暴走ちゃん「うぇるかむ★2015~革命の夜明け~」
2.劇団鹿殺し「ランドスライドワールド」
3.親族代表「親族旅行記」
4.シソンヌライブ[trois]
5.ほりぶん「とらわれた夏」
6.トム・プロジェクト・プロデュース「スイートホーム」
7.劇団道学先生「あつ苦しい兄弟 港のふたり編」
8.ゴキブリコンビナート「ゴキブリハートカクテル」
9.東京芸術劇場RooTS Vol.02「狂人なおもて往生をとぐ」
10.世田谷パブリックシアター プロデュース「マーキュリー・ファー」
11.NODA MAP「エッグ」
12.PARCO PRODUCE「いやおうなしに」
13.シス・カンパニー「三人姉妹」
14.カタルシツ「地下室の手記」
15.ポップンマッシュルームチキン野郎「独りぼっちのブルース・レッドフィールド」
16.TRASHMASTERS「砂の骨」
17.M&Oplaysプロデュース「結びの庭」
18.こまつ座&世田谷パブリックシアター公演「藪原検校」
19.木ノ下歌舞伎「黒塚」
20.アガリスクエンターテイメント「紅白旗合戦」
21.アマヤドリ「悪い冗談」
22.PARCO PRESENTS「趣味の部屋」
23.燐光群「クイズ・ショウ」
24.劇団ヴォードビルショー「田茂神家の一族」
25.坂上忍「或る、致し方ない罪に対するやるせない復讐のはじまり」
26.月刊「根本宗子」バー公演「ご無沙汰してます」(チームA公演)
27.鴻上尚史「ベター・ハーフ」
28.シベリア少女鉄道「この流れバスター」(オリジナルver.)
29.シベリア少女鉄道「この流れバスター」(フレッシュver.)
30.シアターコクーン・オンレパートリー「禁断の裸体」
31.劇団チョコレートケーキ「追憶のアリラン」
32.拙者ムニエル「わくわくステーション」
33.突撃金魚「ゆうれいを踏んだ」
34.月刊「根本宗子」第10号「もっと超越した所へ。」
35.イキウメ「聖地X」
36.唐組・第55回公演「透明人間」
37.カムカムミニキーナ「スワン・ダイブ」
38.岩井秀人×快快「再生」
39.山海塾「海の賑わい 陸の静寂ーめぐり」(新作)
40.第5回ブス会「女のみち2012 再演」
41.ままごと「わが星」
42.城山羊の会「仲直りするために果物を」
43.ねもしゅーせいこ「夏果て幸せの果て」
44.シス・カンパニー公演「草枕」
45.トム・プロジェクト プロデュース「エンドロール」
46.日本総合悲劇協会「不倫探偵~最後の過ち~」
47.TEAM JACKPOT 第10回公演「Mother」
48.新宿梁山泊第55回公演「二都物語」
49.マームとジプシー「Cocoon」
50.さまぁ~ずライブ10
51.イルネス製作所
52.こまつ座「父と暮らせば」
53.「7人ぐらいの兵士」
54.パルコ・プロデュース公演「マクベス」(佐々木蔵之介1人芝居)
55.野田秀樹「障子の国のティンカーベル」(鞠谷友子)
56.ベッド&メイキングス「墓場、女子高生」
57.ミナモザ「彼らの敵」
58.男子はだまってなさいよ!⑩「男子!レッツラゴン」
59.劇団☆新感線「五右衛門vs轟天」
60.日本の30代「ジャガーの眼2008」
61.NINAGAWA・マクベス
62.TRASHMASTERS「そぞろの民」
63.イキウメ「カタルシツ」
64.サディスティックサーカス
65.維新派「トワイライト」
66.カンニング竹山「放送禁止2015」
67.タクフェス「くちづけ」
68.赤堀雅秋「大逆走」
69.月刊「根本宗子」再び第7号「今、出来る、精一杯。」
70.唐組第56回公演「鯨リチャード」
71.革命アイドル暴走ちゃん「Rebirth オーストラリア凱旋ver.」
72.月刊「根本宗子」第11号「超、今、出来る、精一杯。」
73.大人計画ウーマンリブ「七年ぶりの恋人」
74.「ブルーシート」
75.第6回ブス会「お母さんが一緒」
76.シベリア少女鉄道「Are you ready? Yes,I am.」
77.マクドナー「スポケーンの左手」
78.ブロードウェイミュージカル「シカゴ」
79.KAKUTA「痕跡」
80.長塚圭史「ツインズ」
81.ナイロン100℃「消失」
82.劇団チョコレートケーキwithパンダ・ラ・コンチャン「ラインの向こう」
83.「タニノとドワーフ達によるカントールに捧げるオマージュ」
84.「残酷歌劇ライチ光クラブ」
85.つかこうへい「熱海殺人事件」(いのうえひでのり演出版)
86.パラドックス定数「東京裁判」(pit北/区域閉館公演)
以上の86本です。

それ以外に歌舞伎を今年は数本観ています。
1.新橋演舞場初春花形歌舞伎「石川五右衛門」
2.六本木歌舞伎「地球投五郎宇宙荒事」
3.明治座五月花形歌舞伎(昼の部)
4.明治座五月花形歌舞伎(夜の部)
5.スーパー歌舞伎Ⅱ「ワンピース」
6.歌舞伎座十二月大歌舞伎(夜の部)
猿之助と海老蔵が興味の中心で、
他はあまり現時点で興味がありません。
玉三郎も吉右衛門も藤十郎も、
良い時に何度も観ているので、
もうあまり観たいと思えません。
勘九郎と染五郎はナルシスティックな毒気が、
僕には拒否反応を起こします。
体操の10点満点のような演技も苦手です。

今年の私的なベスト5はこちらです。
今年は再演は抜群の作品が多かったのですが、
初演と初プロダクションのものは総じて不作であったように思います。
同じプロダクションの再演は外しての選出ですが、
かなり選ぶのには苦労しました。
①ゴキブリコンビナート「ゴキブリハートカクテル」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-02-21-1
これは体感型で周遊型のアングラ演劇の大傑作で、
これほど徹底した迷路の密室劇は、
アングラ全盛期にもなかったと思います。
「見なくても良い」と言わんばかりの受付は最低ですが、
それに耐えて体験する値打ちはあります。
以前の作品も観たかったと、
それだけは後悔の日々です。
サディスティックサーカスで披露された、
インチキミュージカルも最高でした。
本当はこうしたマニアにしか向かない作品を、
1位に据えるのは抵抗があるのですが、
今年は凡庸な作品が多かったので仕方がありません。

②月刊「根本宗子」第10号「もっと超越した所へ」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-05-16
今年最も活躍したと言って良い根本宗子さんですが、
作品の質にはかなりムラがありました。
その中ではこの新作が、
緻密でエネルギッシュな作劇で、
特にラストのダブルクライマックスには、
これまでにない突き抜けたところを感じました。
来年も予定は目白押しですが、
もう少し1作1作を大切にして欲しいと思いました。

③維新派「トワイライト」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-09-23-1
大掛かりな借景で、
唯一無二の野外劇を上演し続けている維新派ですが、
今年は奈良の曽爾村で、
いつもながらの美しい舞台を披露してくれました。
屋台村での上演前のイベントや食事も、
維新派ならではの楽しみです。
ただ、一時より大仕掛けは減り、
シンプルになった舞台は、
やや物足りない物を感じることも正直なところです。

④アガリスクエンターテイメント「紅白旗合戦」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-03-21
シチュエーションコメディを得意としている若手の劇団の新作ですが、
この作品は非常に緻密な作劇で、
特に反発していた先生と生徒を、
何とかして1つの同意に至らせようというラストの件が、
とても見事に構成されていて感銘を受けました。
惜しむらくは俳優の演技の質が安定しておらず、
一部の俳優の未熟な演技が、
しばしば観客の集中を妨げていたことを残念に感じました。
これからも活躍が楽しみです。

⑤TRASHMASTERS「そぞろの民」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-09-19-1
社会派の劇団は今沢山あるのですが、
今の世界をどう捉え、どのように舞台化するかについては、
かなり迷いのある集団が多く、
中途半端に抽象的な設定にしたりして、
何が言いたいのか分からないような作品が多かったように思います。
その中では、この「そぞろの民」は、
リアルタイムで集団安保の問題を真正面から描き、
大島渚の映画を彷彿とさせるような、
背筋の伸びるような緊張感のある舞台で好感を持ちました。
最初から最後まで現実を俎上にした議論のみしかないのです。

以上の5本も、
文句なしに推奨、という感じではありません。
その意味で今年の新作は、
僕の観た範囲では不作だったように思います。

その一方で再演については素晴らしい作品が沢山ありました。
こちらは非常に充実していて、
10年間くらい分の感動を味わったような思いもありました。
それでは極めてレベルの高い、
再演のベスト5です。

①ままごと「わが星」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-06-06
星の一生を円形の舞台でラップで綴った、
極めて完成度の高い感動に溢れた名作です。
台本、演技、演出、全てが完璧と言って過言ではありません。
全ての演劇を愛する方必見の、
ある種の奇跡と言って良い舞台で、
僕が生涯で観た演劇作品の中でも、
10本の指には確実に入ります。

②ミナモザ「彼らの敵」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-08-01
実在の人物を主人公にした社会派の舞台を得意とするミナモザですが、
この作品は面目躍如の快作で、
1人の若者の心の奥底を、
緻密な解剖のように描いて行きます。
西尾友樹さんと菊池佳南さんの演技がまた素晴らしく、
心が抉られるような稀有の舞台体験でした。

③KAKUTA「痕跡」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-12-12
現代的な幾つかの親子関係を、
一歩間違えばかなりベタなお涙頂戴のストーリーにまとめながら、
極めて誠実な仕事で、
リアルで感動的な舞台に仕上げた逸品です。

④パラドックス定数「東京裁判」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-12-29
今年最後に観た1本は、
男5人のみ、一切の演劇的な仕掛けなしで、
東京裁判という大きなテーマを、
被告の弁護人の立場のみから切り取った、
鮮やかな台詞劇の雄品です。
劇団チョコレートケーキが今年はやや拡散的で、
密度の薄い芝居になってしまったので、
彼らの芝居が一服の清涼剤のように心に残りました。

⑤ブス会「女のみち2012」
http://blog.so-net.ne.jp/rokushin/2015-05-30-1
これはちょっと変化球なのですが、
AVの撮影現場を女の視点で描いて、
とんでもないクライマックスのある怪作で、
小劇場のいかがわしさと、
ストレートな感動と快感とを併せ持つ面白い作品です。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い年の瀬をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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