ワーグナー「ラインの黄金」(新国立劇場2015/2016シーズンオープニング) [オペラ]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前中から2時までは石田医師が、
2時以降は石原が外来診療に当たる予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
新国立劇場のシーズンオープニングとして、
ワーグナーのニーベルングの指環の第一作、
「ラインの黄金」が今上演されています。
新国立劇場の「ニーベルングの指環」は、
キース・ウォーナーによるオリジナルの演出が、
神の国をアメリカに見立てたポップで壮大な演出が面白く、
僕はとても気に入っていたのですが、
1回再演された時点で、
セットは廃棄されてしまったようです。
非常に残念です。
新たな上演となる今回は、
ドイツの演出家がフィンランドの歌劇場で上演したもののレンタルで、
オリジナルではありません。
少し残念な感じはしますが、
その一方新国立劇場のオリジナルの演出は、
正直酷いものが多いので、
ヨーロッパの二線級の歌劇場と、
新国立劇場は同レベルだと思いますから、
予算の問題も考えれば、
レンタルの方が間違いがない、
ということは言えそうです。
結論から言うと、
なかなか見応え、聴き応えのある、
娯楽性に富んだ、
面白い上演だったと思います。
演出は何処かで見たような感じで、
可もなく不可もなくというところがあります。
ベルリンのクプファー版に、
蛍光灯が上下するセットは似ていますし、
衣装も部分的に似ていますが、
巨大な書割みたいなセットは、
ウォーナーの新国立版にも似ています。
妖精の衣装などは結構エロチックで良い感じな反面、
エルダの衣装は古めかしい魔女の感じなど、
統一感には欠けています。
ただ、大ぜりを使って、
地下の世界と地上と天界とを表現するのは、
分かりやすくて良いと思いますし、
舞台機構が上手く機能しています。
地下の小人の群れなどは、
人数も多くて迫力があります。
総じて、作品に書かれていることを、
そのまま実現しよう、
という姿勢が好感が持てます。
たとえば、
フライアの姿が見えなくなるまで黄金を積み上げろ、
と巨人が命じるところなど、
普通はきちんとやらないのですが、
今回の演出では、
ちゃんと黄金を積み上げて、
フライアの姿を隠しています。
雷神がラストで雲を呼ぶと、
実際に上空で白いスモークが盛大に出現します。
こうしたことも、
最近の無理矢理読み替え演出ではやらないので、
面白く感じました。
唯一、アルベリヒが変身した大蛇は、
ただの幕が下りて来るだけなので、
ガッカリさせられました。
ただ、このパートが満足の行く演出というのは、
未だかつて観たことがありません。
音楽もなかなかで、
スローなテンポの中にメリハリがあり、
歌手陣も頑張っていたと思います。
かなり通俗的な解釈なのですが、
キャストがしっかり芝居をしているので、
見ていて面白く、内容に引き込まれます。
特にアルベリヒのトーマス・ガゼリと、
風格充分のローゲのステファン・グールドは、
抜群の歌役者ぶりを見せていて、
作品のテーマを、
非常に明晰に見せていたと思います。
歌もなかなかでした。
前回の新国立リングでも歌った、
ヴォータンのラジライネンは、
堅実な歌い廻しでしたが、
大分年を取ったなあ、という感じはありました。
総じて娯楽性のある分かり易いリングで、
少し安っぽい感じはありますが、
今の新国立劇場にはフィットしていると思います。
楽しく聴けましたし、
来年以降も非常に楽しみです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前中から2時までは石田医師が、
2時以降は石原が外来診療に当たる予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
新国立劇場のシーズンオープニングとして、
ワーグナーのニーベルングの指環の第一作、
「ラインの黄金」が今上演されています。
新国立劇場の「ニーベルングの指環」は、
キース・ウォーナーによるオリジナルの演出が、
神の国をアメリカに見立てたポップで壮大な演出が面白く、
僕はとても気に入っていたのですが、
1回再演された時点で、
セットは廃棄されてしまったようです。
非常に残念です。
新たな上演となる今回は、
ドイツの演出家がフィンランドの歌劇場で上演したもののレンタルで、
オリジナルではありません。
少し残念な感じはしますが、
その一方新国立劇場のオリジナルの演出は、
正直酷いものが多いので、
ヨーロッパの二線級の歌劇場と、
新国立劇場は同レベルだと思いますから、
予算の問題も考えれば、
レンタルの方が間違いがない、
ということは言えそうです。
結論から言うと、
なかなか見応え、聴き応えのある、
娯楽性に富んだ、
面白い上演だったと思います。
演出は何処かで見たような感じで、
可もなく不可もなくというところがあります。
ベルリンのクプファー版に、
蛍光灯が上下するセットは似ていますし、
衣装も部分的に似ていますが、
巨大な書割みたいなセットは、
ウォーナーの新国立版にも似ています。
妖精の衣装などは結構エロチックで良い感じな反面、
エルダの衣装は古めかしい魔女の感じなど、
統一感には欠けています。
ただ、大ぜりを使って、
地下の世界と地上と天界とを表現するのは、
分かりやすくて良いと思いますし、
舞台機構が上手く機能しています。
地下の小人の群れなどは、
人数も多くて迫力があります。
総じて、作品に書かれていることを、
そのまま実現しよう、
という姿勢が好感が持てます。
たとえば、
フライアの姿が見えなくなるまで黄金を積み上げろ、
と巨人が命じるところなど、
普通はきちんとやらないのですが、
今回の演出では、
ちゃんと黄金を積み上げて、
フライアの姿を隠しています。
雷神がラストで雲を呼ぶと、
実際に上空で白いスモークが盛大に出現します。
こうしたことも、
最近の無理矢理読み替え演出ではやらないので、
面白く感じました。
唯一、アルベリヒが変身した大蛇は、
ただの幕が下りて来るだけなので、
ガッカリさせられました。
ただ、このパートが満足の行く演出というのは、
未だかつて観たことがありません。
音楽もなかなかで、
スローなテンポの中にメリハリがあり、
歌手陣も頑張っていたと思います。
かなり通俗的な解釈なのですが、
キャストがしっかり芝居をしているので、
見ていて面白く、内容に引き込まれます。
特にアルベリヒのトーマス・ガゼリと、
風格充分のローゲのステファン・グールドは、
抜群の歌役者ぶりを見せていて、
作品のテーマを、
非常に明晰に見せていたと思います。
歌もなかなかでした。
前回の新国立リングでも歌った、
ヴォータンのラジライネンは、
堅実な歌い廻しでしたが、
大分年を取ったなあ、という感じはありました。
総じて娯楽性のある分かり易いリングで、
少し安っぽい感じはありますが、
今の新国立劇場にはフィットしていると思います。
楽しく聴けましたし、
来年以降も非常に楽しみです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2015-10-10 07:38
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