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ほりぶん「とらわれた夏」 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝からレセプト作業などして、
それから今PCに向かっています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
とらわれた夏.jpg
ナカゴーの鎌田順也さんと、
はえぎわの川上友里さん、
そして墨井鯨子さんという、
非常に癖のあるメンバーのユニット、
ほりぶんの第1回公演「とらわれた夏」が、
今荒川区のムーブ町屋で上演中です。

作・演出をナカゴーの怪人、鎌田さんが勤め、
書き下ろしの新作戯曲を、
墨井鯨子さんと川上友里さんに加えて、
ナイロン100℃の菊池明明さんと、
現存する数少ないアングラ大女優、
佐々木幸子さんが加わって、
メンバーを見ただけで、
如何にもアクの強そうな女優4人芝居です。

別役の家庭劇めいた静かな始まりで、
オヤオヤと思うのですが、
後半には怪獣総進撃のような、
4人の怪女優の大暴れが待っています。

鎌田さんの作品としては、
ちょっと飛躍には乏しいおとなしめの仕上がりです。

ただ、当日でも2500円の入場料には、
充分見合っておつりが来る内容だと思います。

万人向けではありませんが、
小劇場女優の心意気を感じたい方にはお勧めです。

以下ネタバレがあります。

黒い空間にテーブルと椅子だけの簡素な、
しかしナカゴーの舞台と比べれば、
それでも凝ったセットで、
別役の初期作品を思わせるような、
家族のお茶の時間から舞台は始まります。

最初に登場するのは、
鈴木明明さん演じる母親と、
墨井鯨子さんが演じるその娘で、
母親は2階にいる父親をお茶の席に呼んで来い、
と言うのですが、
娘は父親はもう出て行ってしまっていない、
と言います。

そのうちに、
娘と言っていたのは実は父親の愛人で、
父親自身は愛人と家を出て、
すぐに事故で死んでいるらしい、
ということが分かります。

父親の愛人は母親にとらわれて、
そこで母親の妄想に付き合わされていた、
ということのようです。

そこに道に迷った川上有里扮する、
盲目の年嵩の女が現れ、
水を飲ませてくれと言うのですが、
父親の名前を呼ばれた瞬間から、
盲目の女は自分が父親だと言い出し、
娘ではない娘と共に、
親子3人のフィクショナルな生活が始まります。

と、今度はそこに佐々木幸子さん演じる、
盲目の女性の嫁が訪れ、
実家のとんかつ屋から失踪した盲目の女性を、
連れ戻しに来たと話します。

そこで3人のフィクショナルな生活を続けようとする、
母親と娘(実は父の愛人)と、
とんかつ屋の嫁との間で、
盲目の女性の争奪戦が繰り広げられます。

そこまでは結構静かなタッチで物語は進みますが、
その時点から4人の女性のバトルが、
盲目の女性の取り合いという形で展開されます。

ここからは凶悪なナカゴーワールドで、
4人の女優さんが喚き、叫び、
飛び、転がり、痙攣し、殴り合い、
脇汗などと言う生易しいものではない、
体液を撒き散らしながらのバトルが、
延々と続きます。

そして、本物のとんかつまで登場しての攻防戦は、
一旦はとんかつ屋の嫁が敗北してその場を去りますが、
その後豹変した母親は、
盲目の女性を追い出し、
同時に愛人をそこに娘としてとらえていた魔法が解けるので、
愛人もその場を去り、
最後に母親が1人残されて、
咆吼して終わります。

結構複雑なお芝居になっていて、
特に前半はモロ別役芝居のパターンです。

しかし、その真面目なお芝居部分の完成度は低いので、
どうしてもダレた感じになり、
最後のバトルで面目躍如という感じになるのですが、
どうせ大暴れのクライマックスになるのであれば、
筋立てはもっとシンプルでも、
良かったのではないか、
と思いました。

鎌田順也さんの芝居は、
傾向は様々で一口に語れないのですが、
個人的には昨年近藤芳正さんの企画で披露した、
口裂け女の集団とサラリーマンが闘う、
というような徹底したナンセンスの方が、
しっくりと来る感じです。

今回の作品などは意外に緻密に出来ているのですが、
演出はそうした面では緻密さに欠けるので、
前半はあまり個人的には乗れませんでした。

キャストはいずれ劣らぬ、
小劇場系力押し女優の皆さんなので、
クライマックスの大暴れは、
見応えがあります。
ただ、一番期待した佐々木幸子さんは、
調子が今一つで、力んで声もあまり通らず、
本領発揮とは言えない出来でした。
墨井鯨子さんも、
いつもより元気のない印象です。
川上友里さんの芝居は、
個人的にはあまり好きになれませんでしたが、
「盲目で自分を男と思い込んでいるおばさん」
という役柄を過不足なく演じることは極めて難しく、
その意味では頑張っていたと思います。
今こうした芝居を嫌味なく出来るのは、
池谷のぶえさんくらいでしょうか?
そんな訳で今回一番光っていたのは、
ナイロンから参戦の鈴木明明さんで、
これは怪演でかつ快演でした。

鎌田順也さんの芝居は、
唯一無二の個性があり、
その仄かなアングラテイストも非常に楽しいのですが、
今の位置に留まっているのは、
個人的にもったいない気がするので、
今後一皮剥けることを、
ファンの1人としては是非期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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