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チャンピックスとニコチンパッチ併用療法の禁煙効果について [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から紹介状など書いて、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日はこちら。
チャンピックスとニコチンパッチの併用.jpg
今年のJAMA誌に掲載された、
禁煙治療の治療薬を2種類組み合わせた、
併用療法の効果についての論文です。

現行、日本で使用が可能な禁煙治療の治療薬は、
ニコチンのパッチとガム、
そしてバレニクリン(商品名チャンピックス)という飲み薬です。

ニコチンのパッチとガムは、
要するにニコチンを補充して、
それを徐々に減量することにより、
禁煙によるニコチン離脱の症状を緩和しよう、
というものです。

チャンピックスは脳のニコチン受容体を刺激して、
ニコチン様作用を現わし、
ニコチン製剤と同じように、
離脱症状を緩和すると共に、
タバコを美味しいと感じる部分に蓋をして、
薬を飲んでタバコを吸っても、
あまり美味しいと感じないようにしよう、
という2つの作用を持つ薬です。

チャンピックスは、ニコチンの代わりに、
脳のニコチン受容体にくっつき、
脳内報酬系と言われる回路を刺激します。
その回路の先にある神経終末からは、
ドーパミンという神経伝達物質が放出され、
それがタバコの依存の大きな原因になっている、
と考えられているのです。
この回路は、ニコチンのみならず、
多くの物質の依存にも関わっている、
と考えられています。

チャンピックスがニコチンの代わりに脳の受容体にくっつくと、
ニコチンの40~60%程度の量の、
ドーパミンが放出されるという実験結果があります。
(これは動物実験によるもので、
人間の脳で立証されたものではありません)
これが禁煙の時の離脱症状を和らげることに繋がります。
ただ、これだけでは、
今までのニコチンの製剤とそう違いはありません。

チャンピックスのもう1つの面白さは、
脳の受容体に薬がくっつくことによって、
そこにニコチンがくっつくのを妨害するということです。
つまり、この薬を飲んでいる状態でタバコを吸っても、
飲まない時ほどのドーパミンは放出されないので、
吸った時の満足感が乏しくなり、
あまりタバコを美味しいと感じなくなるのです。
これも動物実験ですが、
ラットのニコチン依存による衝動を、
40%低下させた、とのデータがあります。

その禁煙に対する効果は、
パッチやガムと比較すると、
チャンピックスの方が勝っている、
というのがこれまでの臨床研究の結果です。

ただ、それでもチャンピックス単剤での禁煙の達成率は、
まだ満足の行くレベルとは言えないので、
もっと有効性の高い禁煙治療はないのか、
ということが次の課題として浮上しています。

そこで1つの試みとして行なわれているのが、
チャンピックスをニコチンパッチと併用する、
という禁煙治療の考え方です。

これはそう精度の高いデータではありませんが、
併用療法により禁煙の達成率が向上した、
という報告が存在しています。

単純に考えると、
両方ともニコチンの離脱症状を緩和する、
という点では同じ作用なのですから、
一緒に使ってもあまり上乗せ効果はないような気がします。

ただ、両者の薬剤の作用点は、
必ずしも同じではないので、
併用することにより、
より強い効果が期待出来るのでは、
という考え方がある訳です。
また、通常のニコチンパッチの初期量や、
チャンピックスの通常量で、
離脱症状がコントロール困難なようなケースでも、
併用療法によりその緩和が可能なのではないか、
という考え方もあるのです。

今回の研究はより厳密な方法で、
チャンピックス単独と、
チャンピックスにニコチンパッチを併用した場合の、
それぞれの治療の成功率を比較したものです。

対象者は南アフリカの7施設で登録された、
トータル446名の持病のない喫煙者で、
それをくじ引きでほぼ半数ずつの2つの群に分け、
対象者にも主治医にも分からないように、
一方はチャンピックスとニコチンパッチの併用療法を、
もう一方はチャンピックスと偽のパッチを使用して、
禁煙の成功率と治療の安全性を比較しています。
最終的に解析が可能だったのは435名です。

対象者の平均年齢は両群とも46歳で、
平均で25年以上の喫煙歴がありますが、
平均の喫煙本数は15から16本なので、
それほどヘビースモーカーが主体、
という試験ではありません。

併用療法の方法は、
まず禁煙開始の2週間前から、
ニコチンを15ミリグラム含有する、
ニコチンパッチを貼ることを開始します。
この量はパッチとしては初期量より少ない量です。
そして、禁煙の1週間前より、
段階的にチャンピックスを開始します。
これは現行日本で保険適応されているやり方と、
全く同じです。
チャンピックスは開始後12週間通常量で継続し、
ニコチンパッチもそのままの量を12週間継続します。
そして、チャンピックスは半量1日2回を4日、
その後半量1日1回を3日続けてから、
終了とします。

これはチャンピックスの日本の使用法と比較すると、
通常量の使用期間が1週間長く、
その後1週間掛けて減量の上中止する、
という点が異なっています。

その結果…

禁煙開始12週間の時点での禁煙継続率は、
チャンピックス単独では40.9%だったのに対して、
併用療法では55.4%と有意に高く、
24週の時点での禁煙の継続率も単独で32.6%に対して、
併用で49.0%と有意に高くなっています。
これは通常の解析の結果です。
(Per-Protocol Analysis)

そして、
不充分で洩れのあるデータを穴埋めした、
多重代入法という手法を用いて算出された、
24週の時点で禁煙していた対象者の比率は、
単独の禁煙維持率が46.7%であったのに対して、
併用では65.1%と、
これも有意に高くなっていました。
(Multiple Imputation Analysis)

有害事象については、
吐き気や不眠は併用療法で多い傾向にありましたが、
偽パッチとの有意差はありませんでした。
明確な差が付いたのは、
ニコチンパッチによるかぶれなどの皮膚症状のみでした。

偽パッチ対象者のうち2名が禁煙治療中に妊娠し、
1例は枯死卵で流産となり、
もう1例はお子さんがダウン症候群で心奇形を伴っていました。
勿論2例のみで何とも言えませんが、
特にチャンピックスの妊娠中の使用については、
厳に慎むべきだと思われます。

今回の結果はチャンピックスの治療に、
ニコチンパッチを併用することにより、
一定の上乗せ効果が確認された、
というものです。

ただ、これまでの同種の試験と比較すると、
ヘビースモーカーではないにも関わらず、
禁煙の成功率がかなり低い、と言う点が気になります。

しっかりとした禁煙の指導と共に、
チャンピックスによる治療を行なえば、
本来はもう少し治療直後の成功率は、
増加してもおかしくはないと思いますし、
またそうでなければならないように思います。

従って、今後別個の独立した集団において、
同様の検討が行なわれないと、
まだ結論を出すのは早いと思いますし、
軽率に併用療法を選択するのは、
慎むべきではないかと思います。

ただ、方法論としては非常に興味深く、
チャンピックスの前にニコチンの補充を開始し、
チャンピックスも最後は段階的に減らすなど、
臨床においても示唆に富んだ論文ではないかと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。

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よろしくお願いします。

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あかね

こんにちは、私も今禁煙中です。
まずはニコチンパッチでニコチン依存を減らしながらやめました。
そしてニコチンガムに切り替え、どうしても吸いたい時に噛むようにしました。
今、一日2粒食べています。
そして脱ニコチンするために、チャンピックスを買いました。
チャンピックスは吸いながら禁煙できるとの触れ込みですが、結構頑固なスモーカーの渡しはどうしても自然に止められるとは思えなかったのです。
そこで、今回のようなニコチンパッチ、ガムとチャンピックスの併用を考えました。
答え合わせのように、この記事を見つけました。
成功率が上がるんですね。嬉しかったです。
まだ油断できる状態ではありませんが、禁煙最後まで頑張ろうと思います。
by あかね (2016-01-21 16:31) 

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