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シベリア少女鉄道「あのっ、先輩…ちょっとお話が… …だめ!だってこんなのって…迷惑ですよね?」 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は日曜日で診療所は休診です。

昨日の夕方から体調が悪く、
今朝はかなり辛かったのですが、
何とか走りには行って来ました。

今日はこれから寝るつもりです。
明日には調子が戻ると良いのですが…

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
シベリア少女鉄道.jpg
僕の大好きなシベリア少女鉄道の新作が、
4月20日まで高円寺で上演されましsた。

シベリア少女鉄道は、
通常の演劇とは全く視点の異なる、
からくり仕掛けのような世界で、
オタク的な意匠で誤解されがちですが、
そのスタンスは寺山修司の天井桟敷に近いと思います。

良くも悪くも仕掛けが全ての世界なので、
上演中は記事にはしませんでした。

今回の新作も如何にもシベリア少女鉄道という世界です。
「あのっ、先輩…ちょっとお話が… …ダメ! だってこんなのって…迷惑ですよね!」
という長い題名自体自体が謎めいていますし、
オープニングから既に怪しげな雰囲気が漂います。

ただ、今回は座・高円寺1という劇場空間が、
シベリア少女鉄道としては、
やや大き過ぎて密度が低くなってしまったことと、
最初の仕掛けが明らかになった後のやり取りが、
緻密さに欠けて冗漫になって、
観客の退屈を誘ったきらいがありました。

非常に面白い作品ですし、
これまでにこうした発想を、
そのまま劇化した作品は皆無だと思います。
その点は評価に値しますが、
作品としては必ずしも成功とはいかなかったように思います。

以下ネタばれを含む感想です。

上演前に作・演出の土屋亮一さんが素で舞台に登場し、
今回はたまたまかつての仲間が来てくれた、
という話をします。
実際にこれまでのシベリア少女鉄道の舞台で、
活躍していた3名の男優が舞台に上がり、
本当は出たかったのに残念だ、
というような話をします。

3人の男優は客席の最前列に座り、
それから学園ドラマのような、
ステレオタイプでしょぼい本編が始まります。

始まって30分くらい経ったところで、
客席にいた男優の1人が舞台に勝手に上がり、
舞台上の芝居を邪魔しようとします。

それから次々と男優は舞台に上がり、
3人がまとまって舞台を邪魔し、
それに実際のキャストが抵抗しながら、
舞台はどうにか続いてゆきます。

その後1時間くらいしてから、
その邪魔者3人は、
舞台の背後の壁の向こうに、
次々と現キャストによって放り出されて姿を消します。

そして、舞台が邪魔者なく少し続くと、
急に劇場に重低音が鳴り響き、
一瞬暗転すると、
舞台の背後から「進撃の巨人」の巨人らしきものに変貌した、
邪魔者男優3人が姿を現わします。

その後は現キャストと巨人との対決が、
漫画やアニメの感じというよりも、
格闘ゲームのような感じで、
元のストーリー自体は同時に進行させながら展開されます。

ラストは巨人3人が退治されるのと同時に、
恋愛物としてのストーリーも完結して、
作品は終わります。

発想は面白いと思うのです。

劇団というのは生身の役者が次々と交代してゆくのが常で、
一時は花形の役者さんでも、
年齢と共にに衰えが生じると、
排除されるのも日常的にあることです。

また、劇団が大きくなる時に、
始めた時の仲間を、
その演技レベルの低さから、
切り捨てざるを得なくなることも良くあることです。

その部分に真正面から切り込み、
かつてのキャストが舞台を観に来て、
舞台を目茶苦茶にしようと大暴れする、
というような話を、
まともに上演するような劇団は、
間違いなくシベリア少女鉄道以外にはありません。

かつての寺山修司の「邪宗門」は、
舞台を謎の黒子が支配し、
最初は舞台を操りながら、
次第に舞台を蹂躙して観客も挑発し、
最後は舞台も客席も乗っ取ってしまうような作品でした。

今回の作品は根っこの部分で、
「邪宗門」に似ているのです。

ただ、前述しましたように、
舞台が大き過ぎて希薄になってしまったことと、
それぞれの仕掛けを引っ張る部分が単調なので、
観客を退屈させてしまう、
という欠点はありました。

今回はちょっと完成度の点では低くなってしまったようです。

次はもっと密度の濃い世界を期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんは良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。s
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