ヒトパピローマウイルスワクチンの尖圭コンジローマ予防効果 [医療のトピック]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
今年のJAMA誌に掲載された、
ガーダシルという商品名の、
4価のヒトパピローマウイルスワクチンによる、
尖圭コンジローマという皮膚病の、
予防効果を検証した論文です。
ヒトパピローマウイルスワクチンは、
「子宮頚癌予防ワクチン」のように通称されています。
それはこのウイルスのうち、高リスク型と呼ばれるタイプの、
女性の外陰部への持続的な感染が、
子宮頚癌の原因であると考えられ、
その感染を予防することにより、
癌の発症自体が予防されるのでは、
という考え方があるからです。
しかし、思春期の女性に接種する、
という特殊性から、
痛みなどに伴う副反応が多く報告され、
その接種が事実上ほぼ中止されているのは、
皆さんご存じの通りです。
4価のヒトパピローマウイルスワクチンには、
子宮頚癌と関わりの深い16型と18型以外に、
主に外陰部癌や尖圭コンジローマという感染性の皮膚病に関わりのある、
6型と11型の抗原が含まれています。
従って、このワクチンの接種により、
尖圭コンジローマの感染予防効果も同時に期待出来ます。
その安全性以外に、
ヒトパピローマウイルスワクチンには、
幾つかの問題があります。
その1つはこのワクチンが高価なワクチンで、
3回の接種がスタンダードになっているため、
1回もしくは2回の接種で、
どの程度の効果が望めるのかが不明確だ、
という点にあります。
このワクチンの効果の判定が難しいのは、
子宮頚癌の予防という点で考えると、
ウイルスの持続感染から発癌までには、
10年以上の年月が掛かるため、
その検証自体が長い期間を要するからなのです。
しかし、尖圭コンジローマの予防という点では、
感染から半年以内には症状が出現するので、
より短い期間の観察で、
その予防効果を判断することが可能です。
そこで今回の文献では、
スウェーデンにおいて、
10万人余の10歳から24歳の女性を対象として、
ワクチンの接種の有無や接種回数と、
尖圭コンジローマの発症との関連性を検証しています。
その結果、
ワクチンの接種により、
1回のみの接種ではその後の尖圭コンジローマの発症を、
69%低下させ、
2回接種では71%、3回接種後では82%低下させました。
つまり、3回の接種により予防効果が最大となりますが、
1から2回の接種においても、
一定の予防効果は存在しています。
従って、尖圭コンジローマの予防に、
このワクチンを使用する際には、
2回の接種で終了とするのも1つの選択肢です。
このワクチンが大きな可能性を秘めていることは間違いがありません。
ただ、その安全性や適切な接種のタイミングや回数を含めて、
解決するべき問題の多くあることも確かで、
婦人科の先生のワクチンに対する期待と熱意は理解しながらも、
今後より慎重な検証が必要なこともまた、
間違いのないことだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
今年のJAMA誌に掲載された、
ガーダシルという商品名の、
4価のヒトパピローマウイルスワクチンによる、
尖圭コンジローマという皮膚病の、
予防効果を検証した論文です。
ヒトパピローマウイルスワクチンは、
「子宮頚癌予防ワクチン」のように通称されています。
それはこのウイルスのうち、高リスク型と呼ばれるタイプの、
女性の外陰部への持続的な感染が、
子宮頚癌の原因であると考えられ、
その感染を予防することにより、
癌の発症自体が予防されるのでは、
という考え方があるからです。
しかし、思春期の女性に接種する、
という特殊性から、
痛みなどに伴う副反応が多く報告され、
その接種が事実上ほぼ中止されているのは、
皆さんご存じの通りです。
4価のヒトパピローマウイルスワクチンには、
子宮頚癌と関わりの深い16型と18型以外に、
主に外陰部癌や尖圭コンジローマという感染性の皮膚病に関わりのある、
6型と11型の抗原が含まれています。
従って、このワクチンの接種により、
尖圭コンジローマの感染予防効果も同時に期待出来ます。
その安全性以外に、
ヒトパピローマウイルスワクチンには、
幾つかの問題があります。
その1つはこのワクチンが高価なワクチンで、
3回の接種がスタンダードになっているため、
1回もしくは2回の接種で、
どの程度の効果が望めるのかが不明確だ、
という点にあります。
このワクチンの効果の判定が難しいのは、
子宮頚癌の予防という点で考えると、
ウイルスの持続感染から発癌までには、
10年以上の年月が掛かるため、
その検証自体が長い期間を要するからなのです。
しかし、尖圭コンジローマの予防という点では、
感染から半年以内には症状が出現するので、
より短い期間の観察で、
その予防効果を判断することが可能です。
そこで今回の文献では、
スウェーデンにおいて、
10万人余の10歳から24歳の女性を対象として、
ワクチンの接種の有無や接種回数と、
尖圭コンジローマの発症との関連性を検証しています。
その結果、
ワクチンの接種により、
1回のみの接種ではその後の尖圭コンジローマの発症を、
69%低下させ、
2回接種では71%、3回接種後では82%低下させました。
つまり、3回の接種により予防効果が最大となりますが、
1から2回の接種においても、
一定の予防効果は存在しています。
従って、尖圭コンジローマの予防に、
このワクチンを使用する際には、
2回の接種で終了とするのも1つの選択肢です。
このワクチンが大きな可能性を秘めていることは間違いがありません。
ただ、その安全性や適切な接種のタイミングや回数を含めて、
解決するべき問題の多くあることも確かで、
婦人科の先生のワクチンに対する期待と熱意は理解しながらも、
今後より慎重な検証が必要なこともまた、
間違いのないことだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2014-02-20 08:10
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以前、あるMRの方から、この接種自体を婦人科や注射慣れしている科の先生のみならず、耳鼻科の先生ですら行えたとのこと。そういった点もまた、問題だったのではないかと思っています。
by 三岡智子 (2014-02-24 22:38)