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劇団鹿殺し「無休電車」 [演劇]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

朝から健診結果の整理などして、
それから今PCに向かっています。

今日は土曜日なので趣味の話題です。

今日はこちら。
劇団鹿殺し.jpg
関西出身の中堅劇団、劇団鹿殺しの、
新作公演に足を運びました。

女座長の菜月チョビさんが、
1年間のカナダ留学のため、
「充電前公演」と銘打たれています。

劇団鹿殺しはもう東京での活動も10年になりますが、
僕はあまりご縁がなくて、
何度か録画は観ましたが、
実際の観劇は今回が初めてです。

劇団名は非常におどろおどろしくて、
デタラメで暴力的でシュールな芝居をしてくれそうですが、
実際には80年代から90年代くらいの小劇場演劇の感じを、
ノスタルジックに次の世代が演じている、
といった感じの大人しい芝居です。

自作のロックサウンドに彩られた世界は、
先輩の劇団新感線を彷彿とさせますし、
小振りな女座長がちょこちょこと出て来て活躍するところは、
リリパットアーミーみたいな感じです。
役者でも中心の丸尾丸一郎さんの手になる戯曲は、
「俺は真面目に生きてるんだぜ」と言わんばかりの、
良くも悪くも優等生的な世界で、
家族への情愛がファンタジックに語られる仕掛けは、
まだ思想にコチコチになる前の、
渡辺えり子おばさんの初期作品のような味わいです。
役者のブラスバンドが銀河鉄道になる、
というくだりなどは、
かつてのオンシアター自由劇場を思い出しました。
今回はキャラメルボックスの役者さんが客演していましたが、
トータルな優等生的お行儀良さは、
関西版キャラメルボックスと言っても良いかも知れません。

最後まで楽しく観ることが出来ましたし、
悪くありませんでした。

ただ、何か一味足りないような気もします。

森山直太郎がお母さんの言う通りに、
お母さんの歌を歌っているみたいで、
過去を懐かしんでいる分、
過去に負けている感じがするのです。

80年代や90年代より、
どう考えたって今は悪い時代ですし、
切羽詰まった時代なのに、
同じことをやっても仕方がないように思うのです。

演劇はかつては最も先鋭に時代を映す文化だったと思うので、
そうしたものからは離れてしまった気がするのが、
僕には何処となくしっくり来ないのかも知れません。

非常に誠実な舞台作りは好感が持てますし、
特に音楽劇としての質は高いので、
チョビさんの1年の留学後に、
またもう一皮剥けて、
時代と切り結ぶような、
新たな世界を見せて欲しいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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