災害を娯楽とした映画の話 [映画]
こんにちは。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日なので、
診療所は休診です。
朝からいつものように駒沢公園まで走りに行く途中で、
ちょっと嫌なものを見ました。
自動販売機の商品の入れ替えを、
オジサンがしていたのですが、
ペットボトルの水だけは、
自販機に入れずに、
自分のバックに詰めて、
持ち帰っていたのです。
ああ、なるほど、
このようにして消えて行く水もあるのだな、
と思いましたが、
決して利己的ではない理由が、
そのオジサンにもあるのかも知れません。
公園で寝そべって、
草の感触を背中に感じながら、
腹筋をしながら鳥の声を聞き、
青い空を眺めていると、
放射能くらいあったって、
それも悪くないかな、
と思えます。
問題は鳥も鳴かず、
草も生えず、
空もその青さを消すような、
そうした事態を何が何でも食い止めることです。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこんな時代に観る映画の話です。
「日本沈没」の話は先週しましたが、
この映画の唯一の疵は、
当時もう既に稼動していた原発のことが、
全く触れられないことです。
この映画の公開は1974年ですから、
もう既に福島原発は稼動していたのです。
日本が沈没するほどの事態になれば、
当然大変なことになる筈ですが、
そのことには一切映画は触れません。
多分これは原発のない日本の話なのです。
ジェーン・フォンダの出た、
「チャイナ・シンドローム」という映画は、
スリーマイル島原発事故に取材したもので、
僕も封切りで観ました。
1979年の公開で、
この年は僕は結構映画を観捲っていました。
「太陽を盗んだ男」でしょ。
「復讐するは我にあり」でしょ。
洋画は「ディア・ハンター」に、
「旅芸人の記録」にヴィスコンティの「イノセント」、
ウディ・アレンの「インテリア」に、
ドライヤーの「奇跡」なんて、
ちっとも分からない映画もあったけれど、
キネ旬のベストテンは、
概ね制覇していました。
でも、「チャイナ・シンドローム」は、
当時は詰まらなかったですね。
別に大爆発する訳でもなく、
これといった見せ場がないんだもん。
今観ると…
ただただ恐怖の連続で、
こんな恐怖映画はない。
黒沢明の「生きものの記録」はね、
監督の作品ではマイナーなもので、
あまり人気もないのだけれど、
これも今観ると平静ではいられない。
大声を上げて外に駆け出したいような気分になる。
鉄工所経営の老人が、
放射能が怖い、と南米に移住しようとして、
家族から反対され、
精神に変調を来たして行く話なんだ。
「ゴジラ」と「キングコング対ゴジラ」は、
娯楽とは何か、ということを教えてくれるような作品。
ゴジラとは要するに「動く原発君」のことなんだね。
放射能を口から撒き散らしながら、
ビルや家をなぎ倒すんだから、
今の状況とドンピシャリだよね。
ゴジラが日本に本当に上陸したら、
どうなるのだろう、
何処に逃げれば良いのだろう、
と当時はドキドキしたのだけれど、
今まさにそうした事態になっている。
「ゴジラ」はモノクロだし、
かなりブラックな感じ。
「キングコング対ゴジラ」はかなり陽性で、
高島忠夫がコミカルな演技で主役を張っている。
でも戦争体験がベースにあるせいか、
意外にリアルなんだよね。
自衛隊の取材に来ている新聞記者が、
「そろそろ東京も危ねえなあ。お前何処に逃げる?」
「俺はいいよ。日本に安全な場所なんて、
ないからね」
「俺はカミサンが煩くてさ。大阪に疎開よ」
うろ覚えだけれど、
こんな台詞も出て来る。
とても笑えない。
それでは今日はこのくらいで。
今日は何か映画を観ます。
どうか、どうか、
今日こそは良いニュースがありますように。
石原がお送りしました。
六号通り診療所の石原です。
今日は日曜日なので、
診療所は休診です。
朝からいつものように駒沢公園まで走りに行く途中で、
ちょっと嫌なものを見ました。
自動販売機の商品の入れ替えを、
オジサンがしていたのですが、
ペットボトルの水だけは、
自販機に入れずに、
自分のバックに詰めて、
持ち帰っていたのです。
ああ、なるほど、
このようにして消えて行く水もあるのだな、
と思いましたが、
決して利己的ではない理由が、
そのオジサンにもあるのかも知れません。
公園で寝そべって、
草の感触を背中に感じながら、
腹筋をしながら鳥の声を聞き、
青い空を眺めていると、
放射能くらいあったって、
それも悪くないかな、
と思えます。
問題は鳥も鳴かず、
草も生えず、
空もその青さを消すような、
そうした事態を何が何でも食い止めることです。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこんな時代に観る映画の話です。
「日本沈没」の話は先週しましたが、
この映画の唯一の疵は、
当時もう既に稼動していた原発のことが、
全く触れられないことです。
この映画の公開は1974年ですから、
もう既に福島原発は稼動していたのです。
日本が沈没するほどの事態になれば、
当然大変なことになる筈ですが、
そのことには一切映画は触れません。
多分これは原発のない日本の話なのです。
ジェーン・フォンダの出た、
「チャイナ・シンドローム」という映画は、
スリーマイル島原発事故に取材したもので、
僕も封切りで観ました。
1979年の公開で、
この年は僕は結構映画を観捲っていました。
「太陽を盗んだ男」でしょ。
「復讐するは我にあり」でしょ。
洋画は「ディア・ハンター」に、
「旅芸人の記録」にヴィスコンティの「イノセント」、
ウディ・アレンの「インテリア」に、
ドライヤーの「奇跡」なんて、
ちっとも分からない映画もあったけれど、
キネ旬のベストテンは、
概ね制覇していました。
でも、「チャイナ・シンドローム」は、
当時は詰まらなかったですね。
別に大爆発する訳でもなく、
これといった見せ場がないんだもん。
今観ると…
ただただ恐怖の連続で、
こんな恐怖映画はない。
黒沢明の「生きものの記録」はね、
監督の作品ではマイナーなもので、
あまり人気もないのだけれど、
これも今観ると平静ではいられない。
大声を上げて外に駆け出したいような気分になる。
鉄工所経営の老人が、
放射能が怖い、と南米に移住しようとして、
家族から反対され、
精神に変調を来たして行く話なんだ。
「ゴジラ」と「キングコング対ゴジラ」は、
娯楽とは何か、ということを教えてくれるような作品。
ゴジラとは要するに「動く原発君」のことなんだね。
放射能を口から撒き散らしながら、
ビルや家をなぎ倒すんだから、
今の状況とドンピシャリだよね。
ゴジラが日本に本当に上陸したら、
どうなるのだろう、
何処に逃げれば良いのだろう、
と当時はドキドキしたのだけれど、
今まさにそうした事態になっている。
「ゴジラ」はモノクロだし、
かなりブラックな感じ。
「キングコング対ゴジラ」はかなり陽性で、
高島忠夫がコミカルな演技で主役を張っている。
でも戦争体験がベースにあるせいか、
意外にリアルなんだよね。
自衛隊の取材に来ている新聞記者が、
「そろそろ東京も危ねえなあ。お前何処に逃げる?」
「俺はいいよ。日本に安全な場所なんて、
ないからね」
「俺はカミサンが煩くてさ。大阪に疎開よ」
うろ覚えだけれど、
こんな台詞も出て来る。
とても笑えない。
それでは今日はこのくらいで。
今日は何か映画を観ます。
どうか、どうか、
今日こそは良いニュースがありますように。
石原がお送りしました。
2011-03-27 09:03
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コメント(10)
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「太陽を盗んだ男」は確か、福島原発からプルトニウムを盗むんでやすよね。
by ぼんぼちぼちぼち (2011-03-27 11:09)
ぼんぼちぼちぼちさんへ
コメントありがとうございます。
今DVDを観直しましたが、
東海村の原子力研究所からでした。
by fujiki (2011-03-27 11:18)
ビスコンティは「ベニスに死す」にハマリました。
「ディアハンター」の頃のクリストファー・ウォーケンからは最近の三枚目役は想像がつきませんでした。「チャイナシンドローム」はジャック・レモンの鬼気迫る演技がなんだか凄く怖かったです。
でも、テレ東さん、またいつか、キンキンの吹き替えで構いませんから、「おかしな夫婦」を放送してください…現実逃避。。
by アミナカ (2011-03-27 13:34)
「ディア・ハンター」は「ベトナム人を悪に描き過ぎている」とよく言われていましたが、わたしはそういう観方はしませんでした。
それにしてもあの頃の俳優と比べると、最近の俳優のつまらないこと。
これは決して「あの頃はよかった」的感興ではなくて、「事実」だと思っています。
今夜は「ゴッドファーザー」を観返す予定です。(笑)
RUKO
by 末尾ルコ(アルベール) (2011-03-27 18:29)
原発事故以来のレスを通読しました
分かり易い説明ありがとうございます
東電、原子力安全(笑)保安院、御用学者どものテレビでの無責任な発言に腹が立ってましたから共感できました
またゴジさん(長谷川和彦監督)が好きだった所も共感できました…余りにも早い死でした
原発事故は一日も早く解決して欲しいのですが、最悪の事態を想定する必要を感じています
今後とも発信し続けて下さい
by サンダー兄さん (2011-03-27 19:23)
アミナカさんへ
コメントありがとうございます。
映画談義はいいですね。
心が和みます。
by fujiki (2011-03-27 20:17)
RUKOさんへ
僕も「ゴットファーザー」は本当に好き。
最初の方で、
裏切り者を太った子分が処刑する時、
1人で外に出て、
タチションするんだよね。
あの場面の空気感がたまらない。
ドンが撃たれてもオロオロするだけだった、
あの出来の悪い兄貴も好き。
by fujiki (2011-03-27 20:20)
サンダー兄さんさんへ
コメントありがとうございます。
ニュース見ました?
燃料棒が溶けてる!
もう何と言うか、
どうしていいか分からない。
絶望で身が凍りそうです。
by fujiki (2011-03-27 20:22)
例に上がった中では私は「ディアハンター」が好きです。
というか、あの頃のメリル・ストリープは今観ても綺麗過ぎます。
「クレイマー×クレイマー」もいいですが、「ソフィーの選択」が・・・(涙)。
彼女のように気品があって演技力も結うことの無い女優・・・
なかなか出ませんね。シャーリーズ・セロンとかいい線でしょうか。
先生のオススメの俳優さんとかいらっしゃいますか。
by stargazer (2011-03-29 00:56)
stargazerさんへ
コメントありがとうございます。
映画談義は楽しいですね。
僕は最近ではニコール・キッドマンと、
ユマ・サーマン、ミッシェル・ファイファー、
ああいう、エキセントリックな、
ちょっと挑発的な感じが好きです。
by fujiki (2011-03-29 22:51)