浄水器はあなた自身だ、ということ

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日はちょっと別の記事を書いたのですが、
内容が過激だったので、
看護師さんに、
「先生、冷静になって下さい」
と言われてしまいました。

充分冷静なつもりではあったのですが、
無用に恐怖感を煽るような趣旨はありませんので、
アドバイスに従い削除しました。

コメントやniceを頂いた皆さん、
消えてしまい申し訳ありません。

えーと、差し替えの記事は、
もう少し無難な内容と思うのですが、
もしまだ過激なようならご指摘下さい。

それでは始めます。

国の乳児の基準値を超える、
放射性ヨードが一時的に検出された、
という報道があり、
その後都内からペットボトルの水や、
ミネラルウォーターが消失するなど、
混乱が続いています。

浄水器で放射線を少し防ぐことが出来るだろうか、
と浄水器への問い合わせが急増し、
活性炭などで吸着すれば良いのでは、
という、
オバアサンの知恵のようなことを、
言われる方もいます。

水の中での放射性ヨードの、
存在の形式は微妙ですが、
概ね水の含む陽イオンと、
結合した形で存在しているものと思われます。
その一部はイオン化しているでしょう。
従って、ヨード自体はフィルターに引っ掛けたり、
化学反応させて沈殿させたりすることは、
確かに可能ではあるでしょうが、
そうすると、
今度はそのフィルターや沈殿物は、
より濃縮された、
高濃度の放射性ヨードを、
当然含有することになります。

それを一体あなたは何処に捨てるつもりですか？

あなたとあなたのご家族さえ、
放射能の内部被曝から守りたい、
という趣旨であれば、
家庭ゴミと一緒に捨てれば、
それで済むかも知れません。
しかし、それは近所に高濃度の放射線を、
撒き散らす行為でもある訳です。

僕はそうしたことを考えるのであれば、
むしろ水を希釈して、
リスクを分散した方が良いと思います。

水道水をそのままは使わず、
一旦は溜めます。
溜めた翌日には、
水道水の検査結果が発表されるでしょうから、
それが低いレベルであれば、
前日の水はそのまま使い、
高いレベルであれば、
それは捨てます。

やや高めであれば、
低めのものと混ぜて使えば、
そのリスクは分散されて小さなものになります。
検査結果がしっかり発表されない状態であれば、
数日分を希釈して、
それを使用するようにすれば、
矢張りリスクは分散されます。

ただ、僕はそうしたことを考えているあなたに、
出来ればちょっと視点を変えて頂きたいのです。

放射線は人間だけに影響を与えているのでしょうか？

それは違いますよね。

「沈黙の春」ではないけれど、
放射能に汚染された土地は、
土地自体が死んでしまう。

放射能の影響を受けるのは、
人間以外の多くの動物であり、
植物であり、
微生物であり、
そしてその土地自身なんだ。

あなたは自分の身体と、
自分のご家族の身体を心配するあまり、
その本質的なことを忘れてはいないだろうか？

ちょっと「人間様」の視点を離れて、
自然環境の側から考えてみましょう。

あなたが水と一緒に、
そこに含まれた放射性ヨードを飲むと、
そのうちの2割が甲状腺に取り込まれ
（実際は全て2割ではないですが、
計算上はそうなっています）
それ以外の8割は尿や便から体外に出て行きます。

つまり、これはあなたがフィルターとなって、
2割の放射線を減らした、ということになります。

あなたはあなたの身体で、
環境への放射線の拡散を、
水を飲むことによって2割減らしたのだ。

あなた自身が地球にとっての浄水器だ。

その甲状腺と言う名前のフィルターは、
確かに交換が利かないけれど、
人間の耐用年数は頑張ってせいぜい100年なのだから、
今言われているレベルの放射線であれば、
基本的には全然問題はない。

生物とは結局そうした存在なのだ。

身体に有害なものを吸収して、
それを無毒化することによって、
自然環境というもっと大きなものを守ろうとしている。

勿論小さなお子さんは守らなければならない。
フィルターは大人より影響を受け易く、
その耐用年数は大人よりずっと長くなければならないからだ。

問題は環境それ自体を守ることだ。

もっと発想を変えよう。

あなたは放射能を忌避するべきではない。
あなただけが逃げたところで、
何の解決にもならない。
この土地を守ること、
この環境を守ることこそ最も重要なことなのだ。
あなたが飲まなくても、
その水は地球を汚染するのだから。

それに比べれば、
人間様の悩みなど小さなものだ。

繰り返しになるけれど、
今一番重要なことは、
原発事故自体を終息させることだ。

メッセージはその一点に集中するべきで、
多少の放射線が飛んで来ることなど、
気に掛けることすら馬鹿馬鹿しい。
水を濾すことなど、
考えるべきではない。
放射線がこれ以上拡散することは、
地球にとっての危機なのだ。
地球の全ての生き物が、
被害を受ける事態なのだ。

放射能を止めろ！

メッセージはその一点だけでいい。

それでは今日はこのくらいで。

どうか今日は良いニュースがありますように。

石原がお送りしました。

コメント 7

おはようございます。
今回は、削除された記事と違って、どうも皆さんコメントしにくいようですね。

出ちゃってましたねー、プルトニウム。
よくまあ１週間も隠せるもんだ。
でも「健康に影響ない」んだそうですよ。
どの口が言うか。

昨日削除された記事、良かったですよ。
今日だったら反応も悪くないんじゃないかしら。
さすがにもう、信じるなんて難しいですもの。
by midori (2011-03-29 06:23) 

midori さんへ
おはようございます。
お気遣いありがとうございます。
ちょっと救われました。
by fujiki (2011-03-29 08:36) 

先生のブログですから、何を書こうと先生の自由です。
読者は先生が選んで下さい。
ただ、昨日の先生に同調できない人がたくさんいただけです。
by 看護師 (2011-03-29 16:53) 

いつもの冷静で確固たる客観性を持って主感を話されている先生らしくないですね。。。

私個人としては先生の仰る事、大いに共感できる部分が大きいです。

しかし先生のブログは医療関係者ばかりが読まれているのではないのですよ。

文章を読んでいると、文章読解が苦手な私でもいつもの先生の精神状態でないと感じてしまいます。

方向性がここのところ一方向に偏りすぎていますね。。。

すこし方向転換して、違った内容の記事を書いてみて下さいませ。

いつも楽しみに読ませて頂いている一読者より。。。
by iyashi (2011-03-29 21:08) 

看護師さんへ
ご指摘ありがとうございます。
看護師さんには、
いつもお世話になることが多く、
僕は頭が上がりません。
by fujiki (2011-03-29 23:04) 

iyashi さんへ
コメントありがとうございます。
少し頭を冷やしてみます。
by fujiki (2011-03-29 23:08) 

はじめまして
先生のブログいつも楽しく拝見しております

今回の記事削除しちゃったんですね。残念です
私はまったくその通り！って思いました
長期化されるような言い方や東電の無責任っぽい記者会見にもうんざりです
一刻も早く収束してもらわないと本当に困ります

これからもいろいろなお話　期待しています
by saki (2011-03-30 11:46)