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肺炎球菌ワクチンQ&A [医療のトピック]

こんにちは。
六号通り診療所の石原です。

今日は胃カメラの日なので、
カルテの整理をして、
それから今PCに向かっています。

それでは今日の話題です。

今日は肺炎球菌ワクチンのQ&A集です。

Q1;現在6歳の子供の母親です。プレベナーはこの年齢だと1回しか接種は出来ません。ニューモバックスも2歳以上なら打てると聞きました。1回だけの接種なら、より多くの型に対応出来る、ニューモバックスの方が良いのではないでしょうか?

A1;
お答えします。
一部の医療機関では、
健康なお子さんにニューモバックスが、
接種されている事例もあるようですが、
厳密に日本での適応から言うと、
ニューモバックスは心疾患など、
肺炎球菌の感染が重症化し易い方に、
その適応は限られていて、
健康なお子さんは原則としては対象にはなりません。
また、使用経験が少ないため、
そのお子さんに対する安全性も確認はされていません。
ただ、理屈から言うと、ニューモバックスの方が、
むしろ安全性の高いワクチンなので、
T細胞の機能が成熟した年齢であれば、
その効果はむしろ短期的には、
プレベナーより期待出来るかも知れません。
ただ、これはあくまで重症感染症の予防で、
中耳炎や蓄膿などに関しては、
粘膜免疫を誘導しないので、
無効と考えた方が良さそうです。
僕の個人的な意見を言えば、
プレベナーもニューモバックスも、
5歳以上の健康なお子さんで、
1回のみ接種することの意味はあまりなく、
現行はお勧めはしません。

Q2;ニューモバックスは3~5年は有効だと聞きましたが、4回の通常のスケジュールで接種した場合、プレベナーはどのくらい有効なのでしょうか?5歳未満の年齢では髄膜炎は多いと聞きましたが、1歳で接種の終了したワクチンの効果が、4歳まで持続するのでしょうか?追加接種が必要なのではないでしょうか?

A2;
お答えします。
現状で分かっていることは、
2~3年は有効だ、ということだけです。
従って、免疫の維持のためには、
数年毎の接種が必要になる理屈です。
ただ、現行お子さんにプレベナーを使用する主な目的は、
特に2歳未満で重症化し易い、髄膜炎の予防のためです。
その目的のためには、
通常のスケジュールの接種で充分と考えられますし、
このワクチン自体、まだ発展途上のものなので、
現状は追加接種の安全性を含めた必要性は薄いと思います。

Q3;プレベナー13というより効果の高いワクチンが、来年には使えそうだと聞きました。今年プレベナーの3回の接種を済ませた母親ですが、来年の追加接種はプレベナー13にした方が良いでしょうか?また、途中でワクチンを変えることは可能なのでしょうか?

A;
お答えします。
これは非常に難しい問題で、
現状では国がどういう方針を取るのか分からないので、
何とも言えませんが、
全く同一の製法のワクチンなので、
併用すること自体のリスクは、あまりないと思います。
ただ、その効果は充分なものにはならないと考えられますので、
僕は同一の7価のワクチンを選択した方がその効果も確認出来る分、
間違いがないのではないかと思います。
ただ、勿論7価に含まれていない型の感染が、
確率的に起こり易くなることは事実です。

Q4;プレベナーは中耳炎にも効くと聞いたのですが、それは事実ですか?

A4;
お答えします。
確かに欧米では中耳炎もその適応になっています。
ただ、アメリカのデータでも、
中耳炎患者の減少は6~7%に留まっていて、
むしろインフルエンザ菌やワクチンに含まれている型以外の、
中耳炎の発症は増えています。
仮に耐性化した肺炎球菌が原因で、
何度も中耳炎を繰り返すお子さんがいれば、
その型のワクチンが最も有効な治療となる筈です。
しかし、事例によっては却って他の菌による中耳炎を起こり易くして、
逆効果のケースも考えられます。
従って、現時点で中耳炎の予防のみの目的で、
プレベナー(特に7価)を使用することは、
僕は適切ではないと思います。

以上、肺炎球菌ワクチンのQ&A集でした。

それでは今日はこのくらいで。

今日がみなさんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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コメント 2

midori

あ。診療所のパソコン順調のようですね、良かった。
by midori (2010-11-16 08:49) 

fujiki

midori さんへ
ありがとうございます。
買い換えたので、今の所順調です。
by fujiki (2010-11-16 19:15) 

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