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低糖質ダイエットの2型糖尿病への有効性(デンマークの臨床試験) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
低糖質ダイエットの糖尿病への有効性.jpg
Annals of Internal Medicine誌に、
2022年12月13日ウェブ掲載された、
低糖質ダイエットの2型糖尿病の患者さんへの有効性を検証した論文です。

僕が大学から研修医の頃に学んだ常識としては、
糖尿病食はカロリーの50から60%は糖質にする、
というのが教科書的な記載でした。
総カロリーを調整する時も、
主に糖質の量で調整を行うのです。

それがカロリーを変えずに糖質のみを制限する、
所謂糖質制限ダイエットの登場によって、
栄養指導のトレンドは大きく変わりました。

ただ、糖尿病のコントロールにおいて、
通常の糖質比率と比較して、
低糖質ダイエットにどのような有効性があるのかについては、
それほど精度の高いデータがあるという訳ではありません。

今回の研究はデンマークにおいて、
165名の2型糖尿病患者をくじ引きで2つの群に分けると、
一方は糖質を総カロリーの20%未満に制限して、50から60%を脂質にする、
というかなり厳しい低糖質ダイエットを指導し、
もう一方は糖質は総カロリーの50から60%にして、
脂質を20から30%に制限するという低脂質ダイエットを指導して、
半年間その方針を継続しています。
両群とも特にカロリーの制限は指示されていませんが。
実際の患者さんの摂取カロリーは、
概ね1600から1800キロカロリーとなっていて、
それなりにカロリーは自己的に制限されていることを示しています。

その結果、6か月の介入により、
高糖質低脂質ダイエットと比較して、
低糖質高脂質ダイエットにより、
HbA1cは-0.59%(95%CI: -0.87から-0.30)低下し、
体重は-3.8キロ(95%CI: -6.2から-1.4)低下していました。
そして、介入終了後3か月での検証では、
両者のダイエット群に有意な差はありませんでした。

このように2型糖尿病の血糖コントロールや体重管理において、
従来の食事療法よりも低糖質ダイエットが優れていることが、
比較的長期の臨床試験で確認された意義は大きく、
今後のより大規模でより長期の検証にも期待したいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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