新型コロナウイルス感染症死亡率の国別比較 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA誌に2022年11月18日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の時期毎の死亡率を、
国別に比較した短報です。
新型コロナウイルス感染症の流行が続いていますが、
以前の行動制限のような厳しい規制は、
地域により温度差はあるものの、
世界的に行われない流れになっています。
その根拠の1つとなっているのが、
オミクロン株の流行に伴い感染は軽症化していて、
通常の風邪とそれほど違いがない状態となっている、
という知見です。
実際にはどうなのでしょうか?
今回の検証ではアメリカを主体として、
日本を含む20か国の新型コロナウイルス感染症による死亡率と、
平均的な死亡率を差し引きした超過総死亡率を、
国別に比較検証しています。
こちらをご覧ください。
各国のデルタ株流行時期とオミクロン株流行時期における、
新型コロナウイルス感染症の人口10万人当たりの死亡率を、
一覧表にしたものです。
新型コロナウイルス感染症による死亡が、
多いことで知られているアメリカでは、
トータルで10万人当たり111.6人の死亡率が算出されていますが、
感染対策に成功したとされているニュージーランドでは、
3.7人という低率になっています。
日本は10.4人で欧米の多くの国と比較すれば、
新型コロナウイルス感染症の生命予後は、
非常に良いということが分かります。
ワクチンを2回以上接種している比率との比較では、
全て一致している訳ではありませんが、
概ねワクチン接種率の高さと、
死亡率の低さとが一致している傾向が認められます。
これは単純に死亡数での比較ですが、
総死亡のリスクが新型コロナウイルス感染症の流行により、
どれだけ上乗せされたかを示す超過死亡率を一覧にしたものがこちらです。
アメリカは新型コロナウイルス感染症による超過死亡率は、
10万人当たり145.5人となっていて、
これは新型コロナウイルス感染症単独の死亡率を上回っています。
つまり、アメリカにおいては、
新型コロナウイルス感染症の流行が、
それを超える大きな影響を、
総死亡に与えているという言い方が可能です。
一方でイギリスはデルタ株の流行期には、
総死亡にも大きな影響があったのですが、
オミクロン株の流行期には一転して、
総死亡のリスクはむしろ低下している、
という結果になっています。
一方でニュージーランドはデルタ株の時期には、
感染の総死亡に与える影響はなかったものの、
オミクロン株の時期には増加に転じている、
という違いがあります。
総じてワクチンの接種や感染対策により、
現行の新型コロナウイルス感染症の死亡リスクは、
通常の感冒と同等にコントロールすることが可能と考えられますが、
一旦その均衡が崩れれば、
総死亡のリスクを大きく引き上げるような、
深刻な影響を与える可能性もはらんでいるのです。
今後も新たな変異株が出現して、
流行を繰り返していくものと想定されますが、
その性質を的確に判断しつつ、
超過死亡の増加をもたらさないような、
過不足のない感染対策を柔軟に講じることが、
大切であるのだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
JAMA誌に2022年11月18日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の時期毎の死亡率を、
国別に比較した短報です。
新型コロナウイルス感染症の流行が続いていますが、
以前の行動制限のような厳しい規制は、
地域により温度差はあるものの、
世界的に行われない流れになっています。
その根拠の1つとなっているのが、
オミクロン株の流行に伴い感染は軽症化していて、
通常の風邪とそれほど違いがない状態となっている、
という知見です。
実際にはどうなのでしょうか?
今回の検証ではアメリカを主体として、
日本を含む20か国の新型コロナウイルス感染症による死亡率と、
平均的な死亡率を差し引きした超過総死亡率を、
国別に比較検証しています。
こちらをご覧ください。
各国のデルタ株流行時期とオミクロン株流行時期における、
新型コロナウイルス感染症の人口10万人当たりの死亡率を、
一覧表にしたものです。
新型コロナウイルス感染症による死亡が、
多いことで知られているアメリカでは、
トータルで10万人当たり111.6人の死亡率が算出されていますが、
感染対策に成功したとされているニュージーランドでは、
3.7人という低率になっています。
日本は10.4人で欧米の多くの国と比較すれば、
新型コロナウイルス感染症の生命予後は、
非常に良いということが分かります。
ワクチンを2回以上接種している比率との比較では、
全て一致している訳ではありませんが、
概ねワクチン接種率の高さと、
死亡率の低さとが一致している傾向が認められます。
これは単純に死亡数での比較ですが、
総死亡のリスクが新型コロナウイルス感染症の流行により、
どれだけ上乗せされたかを示す超過死亡率を一覧にしたものがこちらです。
アメリカは新型コロナウイルス感染症による超過死亡率は、
10万人当たり145.5人となっていて、
これは新型コロナウイルス感染症単独の死亡率を上回っています。
つまり、アメリカにおいては、
新型コロナウイルス感染症の流行が、
それを超える大きな影響を、
総死亡に与えているという言い方が可能です。
一方でイギリスはデルタ株の流行期には、
総死亡にも大きな影響があったのですが、
オミクロン株の流行期には一転して、
総死亡のリスクはむしろ低下している、
という結果になっています。
一方でニュージーランドはデルタ株の時期には、
感染の総死亡に与える影響はなかったものの、
オミクロン株の時期には増加に転じている、
という違いがあります。
総じてワクチンの接種や感染対策により、
現行の新型コロナウイルス感染症の死亡リスクは、
通常の感冒と同等にコントロールすることが可能と考えられますが、
一旦その均衡が崩れれば、
総死亡のリスクを大きく引き上げるような、
深刻な影響を与える可能性もはらんでいるのです。
今後も新たな変異株が出現して、
流行を繰り返していくものと想定されますが、
その性質を的確に判断しつつ、
超過死亡の増加をもたらさないような、
過不足のない感染対策を柔軟に講じることが、
大切であるのだと思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。