SSブログ

「ザリガニの鳴くところ」 [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ザリガニの鳴くところ.jpg
2018年に刊行されたアメリカのベストセラー小説で、
日本でも翻訳が好評だった「ザリガニの鳴くところ」が、
映画化されて今ロードショー公開されています。

これは原作を読んでから、映画を観ました。

1969年のアメリカの湿地帯を舞台として、
家族から捨てられて湿地帯で1人暮らす少女に、
殺人の疑いが掛けられるという物語で、
生物学者でもある作者による、
湿地帯の自然の描写が素晴らしく、
ミステリーの要素はあるものの、
主人公の心理描写と自然の描写を、
楽しむという色彩が強い小説になっています。

ディケンズなどの古典的小説に近いタッチで、
じっくり読むのにふさわしい、
なかなか面白い作品でした。

映画版はほぼ忠実に原作を映像化しています。
ラストに真相が明らかになるところも、
通常もっと仰々しくやりたいと思うところですが、
これだと分からない人もいるのではないかしら、
と心配になるくらいの抑制的な表現で、
原作よりさりげない感じです。
ただ、犯罪の再構成的なものは、
映像で見せてくれてもいいのに、
というようには思いました。

原作には黒人差別的な描写があるのですが、
映画版は年代的設定は変えていないものの、
そうした表現はほぼない感じになっていて、
今は中途半端にそうした描写は入れない、
という流れであるようです。

映像化された湿地の描写は美しく、
物語も丁寧に描写されていて過不足がありません。
ただ、その分あまり特徴がなく、
優等生的で詰まらないという印象もあります。

原作を愛するスタッフ達が作り上げた、
原作の世界を補完するという感じの映画で、
映画独自の興趣には乏しいのが、
少し残念な感じはありました。
意外な結末のミステリー、的なものを期待すると、
肩透かしに遭うかも知れません。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0)