SSブログ

新型コロナウイルス感染症の再感染のリスクについて [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
COVID-19再感染のリスク.jpg
Nature Medicine誌に2022年11月10日掲載された、
新型コロナウイルス感染症の再感染が、
身体に与える影響を検証した論文です。

今クリニック周辺でも第8波と言って良い、
新型コロナウイルスの感染拡大が顕著になっています。

その中には全くの初感染という患者さんもいますが、
半数以上は、
これまでに1回以上新型コロナウイルスに感染している、
再感染の患者さんで、
中には3回以上感染しているような方もいます。

新型コロナウイルス感染症の特徴の1つとして、
後遺症と呼ばれるような長期の免疫状態の異常や呼吸器症状、
全身の血栓症などの合併症が見られることが報告されています。

こうした症状が遷延している状態で、
再度新たな変異株による感染を受けることで、
身体により深刻なダメージが生じる、
という可能性はないのでしょうか?

今回の検証ではアメリカの退役軍人の医療保険データを活用して、
新型コロナウイルスの初感染時と再感染時の予後を、
比較検証しています。
初感染のみの443588例と複数回の感染者40947例を、
感染歴のない5334729例と比較した大規模なデータです。

その結果、初感染と比較して、
複数回の感染時には、
総死亡のリスクは2.17倍(95%CI:1.93から2.45)、
入院のリスクは3.32倍(95%CI:3.13から3.51)、
それぞれ有意に増加していました。
また後遺症のリスクも初感染と比較して再感染では、
2.10倍(95%CI:2.04から2.16)と有意に増加していて、
そのリスク増加はワクチン接種とは無関係に認められました。
後遺症のリスクは感染後急性期に増加していましたが、
感染から6か月の時点でも残存していました。

このように初感染と比較して、
再感染では急性期の重症度も増加し、
後遺症の発症するリスクも高くなることが、
今回の大規模な解析で明確に確認されました。

新型コロナウイルス感染症に関しては、
初感染の予防と共に、
再感染の予防がより重要であると、
そう考えて対応することが必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(3)  コメント(0)