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新型コロナウイルス感染症と部屋の湿度との関係 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
相対湿度とコロナ感染.jpg
Journal of the Royal Society Interface誌に、
2022年11月16日掲載された、
新型コロナウイルス感染症と室内の湿度との、
関係についての論文です。

空気が乾燥していると風邪をひきやすい、
というのは一般にも広く言われている考え方です。

確かに空気が乾燥していると、
喉は常に少し痛い感じになり、
風邪を引くことも多いようには思います。
厚生労働省のサイトのインフルエンザについての記述でも、
湿度を50%以上に保つことが、
インフルエンザの予防になると、
特にその出典は示されていないものの明記されています。

ただ実際には、
湿度や温度などの環境要因と、
インフルエンザなどのウイルス感染との間に、
関連のあることは事実ですが、
報告によっても違いがあり、
またその地域の気候によっても違いがあるため、
あまり確実と言えるような知見は少ないようです。

湿度は通常、
その温度の空気中に存在出来る、
水分の最大量を100%とした時の比率である、
相対湿度が通常「湿度」として述べられていますが、
それ以外に絶対湿度という指標があり、
これは1キログラムの空気中に、
絶対値としてどれだけの重さの水分が、
含まれているのかを数値化した指標です。

それでは新型コロナウイルス感染症と湿度との関連は、
どうなのでしょうか?

今回の研究は新型コロナウイルス感染症の疫学データを、
世界121か国の気象学的データと合わせて解析し、
個々の条件における室内湿度の平均値と、
感染者数や死亡率のデータと比較して解析しているものです。

その結果、
部屋の中の相対湿度が40から60%である場合と比較して、
相対湿度が40%未満であっても60%を超えていても、
新型コロナウイルス感染症の罹患者数や死亡数は、
共に増加することが確認されました。

新型コロナウイルスの感染と重症化を予防するには、
室内の湿度を適切に維持することが、
重要と考えて良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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