「ハウス・ジャック・ビルト」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
デンマークの怪人ラース・フォン・トリアー監督の新作が、
今ロードショー公開されています。
色々と観たい映画があるのですが、
なかなか時間が合わずに観に行くことが出来ません。
少し時間が開いたので、
この時間で観られるものをと探したら、
こうした選択になりました。
トリアー監督は、
以前「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観て、
救いの欠片もない地獄のような物語なのに、
何故かミュージカルで脳天気な踊りと歌が入るという、
ミュージカルの理不尽で不条理な本質を、
容赦なくあらわにしたような怪作の印象が強く、
その後も一筋縄ではいかない、
ヘンな映画を作り続けています。
今回の作品も世界中で物議をかもしているという触れ込みで、
日本ではノーカット版が18禁で公開されている、
という説明になっています。
確かに2時間半を超える上映時間で、
かなり長いなあ、とい印象です。
作品としては1970年代のアメリカで、
マット・ディロン演じるシリアルキラーの生涯を、
地獄落ちした後に、
ダンテの「神曲」の地獄編になぞらえて、
導き役の古代ギリシャの詩人に、
自分の人生のあれこれを語る、
というオムニバスの形式で映像化したものです。
アメリカが舞台ですが、
デンマーク、フランスなどの合作のヨーロッパ映画で、
雰囲気も確かにヨーロッパ映画的です。
ラストまでシリアスな感じで物語は続きますが、
エピローグはCGなどを駆使した冥界の映像化で、
最後は地獄の穴の底に主人公が堕ちて終わります。
かなり背徳的でグロテスクで残酷で非倫理的ですが、
ホラーを目指したものではないので、
そうした怖さやサスペンスのような要素は希薄です。
咽喉をえぐったり乳房を切り取ったりというような残酷描写もありますが、
こうした残酷描写を売りにした映画と比べると、
かなり淡白でその点もやや拍子抜けという感じはあります。
全編70年代くらいのアメリカのアクション映画やサスペンス映画を、
なぞるような感じで展開されていて、
監督としてはアメリカ映画を存分にやりたいという気持ちと、
それをやることでアメリカという存在の暴力性と背徳性とを、
あぶりだしたいという思いがあったのかな、
というように感じました。
ただ、もしそうならもっと徹底した残酷さや背徳さが、
これまでの映画では見たことのないような地獄絵図が、
繰り広げられなければならないのですが、
この映画はそこまでは振り切れていないように感じました。
「どうだ、ひどいだろう!」
という感じは見えるのですが、
「いやいやもっとひどい映画は沢山あるじゃん」
というように思うからです。
あまりお勧めでも好きでもありませんが、
退屈はしませんし、
ヨーロッパの問題作として、
決して見て損はない映画だと思います。
大好きなユマ・サーマンが、
最初に殺される女性役で出演していて、
一撃で殺されて終わりなので、
大分お年をお召しになったなあ、
と思いましたし、
ちょっとガッカリでもありました。
これはね、最初にキル・ビルを血祭に、
ということだと思うので、
それならもっと大がかりにしてもらわないと、
せっかく出てもらった甲斐がないと思うのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
デンマークの怪人ラース・フォン・トリアー監督の新作が、
今ロードショー公開されています。
色々と観たい映画があるのですが、
なかなか時間が合わずに観に行くことが出来ません。
少し時間が開いたので、
この時間で観られるものをと探したら、
こうした選択になりました。
トリアー監督は、
以前「ダンサー・イン・ザ・ダーク」を観て、
救いの欠片もない地獄のような物語なのに、
何故かミュージカルで脳天気な踊りと歌が入るという、
ミュージカルの理不尽で不条理な本質を、
容赦なくあらわにしたような怪作の印象が強く、
その後も一筋縄ではいかない、
ヘンな映画を作り続けています。
今回の作品も世界中で物議をかもしているという触れ込みで、
日本ではノーカット版が18禁で公開されている、
という説明になっています。
確かに2時間半を超える上映時間で、
かなり長いなあ、とい印象です。
作品としては1970年代のアメリカで、
マット・ディロン演じるシリアルキラーの生涯を、
地獄落ちした後に、
ダンテの「神曲」の地獄編になぞらえて、
導き役の古代ギリシャの詩人に、
自分の人生のあれこれを語る、
というオムニバスの形式で映像化したものです。
アメリカが舞台ですが、
デンマーク、フランスなどの合作のヨーロッパ映画で、
雰囲気も確かにヨーロッパ映画的です。
ラストまでシリアスな感じで物語は続きますが、
エピローグはCGなどを駆使した冥界の映像化で、
最後は地獄の穴の底に主人公が堕ちて終わります。
かなり背徳的でグロテスクで残酷で非倫理的ですが、
ホラーを目指したものではないので、
そうした怖さやサスペンスのような要素は希薄です。
咽喉をえぐったり乳房を切り取ったりというような残酷描写もありますが、
こうした残酷描写を売りにした映画と比べると、
かなり淡白でその点もやや拍子抜けという感じはあります。
全編70年代くらいのアメリカのアクション映画やサスペンス映画を、
なぞるような感じで展開されていて、
監督としてはアメリカ映画を存分にやりたいという気持ちと、
それをやることでアメリカという存在の暴力性と背徳性とを、
あぶりだしたいという思いがあったのかな、
というように感じました。
ただ、もしそうならもっと徹底した残酷さや背徳さが、
これまでの映画では見たことのないような地獄絵図が、
繰り広げられなければならないのですが、
この映画はそこまでは振り切れていないように感じました。
「どうだ、ひどいだろう!」
という感じは見えるのですが、
「いやいやもっとひどい映画は沢山あるじゃん」
というように思うからです。
あまりお勧めでも好きでもありませんが、
退屈はしませんし、
ヨーロッパの問題作として、
決して見て損はない映画だと思います。
大好きなユマ・サーマンが、
最初に殺される女性役で出演していて、
一撃で殺されて終わりなので、
大分お年をお召しになったなあ、
と思いましたし、
ちょっとガッカリでもありました。
これはね、最初にキル・ビルを血祭に、
ということだと思うので、
それならもっと大がかりにしてもらわないと、
せっかく出てもらった甲斐がないと思うのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。