「友罪」(2018年映画版) [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
薬丸岳さんが2013年に発表した小説を、
瀬々敬久監督が自作の台本でメガホンを取り、
瑛太さんや生田斗真さんを始めとする贅沢なキャストが顔を揃えた映画化が、
今ロードショー公開されています。
原作は酒鬼薔薇事件をモチーフとした、
14歳で殺人事件を起こした犯人が、
自分の友人であったらそれを受け入れることが出来るのか、
という難題に真っ向から取り組んだ小説で、
ちょっと子供じみた気恥ずかしくなるような部分もあるのですが、
全体に非常に熱量の大きな、
とても面白い小説です。
ただ、この映画版は、
非常に明快で誰にでも理解可能な原作を、
随分と内容をひねって、
良く言えば感性豊かに、
悪く言えば独りよがりに再構成した台本と演出が、
個人的にはどうも疑問で、
何より原作のストレートな魅力が、
全く消えてしまっているのがとても残念に感じました。
原作は生田斗真さん演じる益田の視点で、
その多くが展開されていて、
その心理の動きが一番の魅力と言っても良いのですが、
この映画版はその部分がぼんやりとしか描かれていません。
設定自体も原作はもっと小さな町工場なのですが、
映画では結構大きな工場となっていて、
原作では工場のベテランの作業員として登場する山内を、
タクシードライバーに変えて佐藤浩市さんが演じ、
原作では工場の事務員である美代子も、
別の会社の電話オペレイターに変えて夏帆さんが演じて、
夏帆さんと生田斗真さんと佐藤浩市さんの話が、
独立に群像劇のように進行する、
という変更を行っています。
富田靖子さん演じる犯罪を犯した少年の更生に当たる女性の設定も、
かなり改変されています。
佐藤浩市さんのパートは、
原作には概略的な描写があるだけなので、
ほぼ映画のオリジナルです。
ただ、夏帆さんと瑛太さんとの出会いが偶然になっていたり、
無理矢理原作を変えているので、
随所に不自然さが増していますし、
富田靖子さんと瑛太さんの関係や再会のいきさつなども、
説明がされないので無意味に分かりにくくなっています。
生田斗真さんの心理が描かれないので、
ラストもイメージ先行で、
あまり納得のゆくようなものになっていないのも、
非常に残念な感じです。
キャストは瑛太さんが非常に素晴らしい熱演ですが、
演出や構成が独りよがりなものなので、
ただの「瑛太ワンマンショー」のようになってしまい、
作品世界の中で安定感を持って存在していない結果になったのは、
これも監督の罪は重いと言わざるを得ません。
ただ、猟奇事件の内容も原作より穏当なものに変わっていることから、
原作を変えざるを得ないような、
外部の者には窺い知れない事情のようなものがあったのかも知れません。
夏帆さんの役は、
脱がなければ意味がないのに誤魔化していて、
これもとても残念な印象でした。
そんな訳で原作とキャストは大いに期待を持たせたのですが、
あまり皆さんにお勧め出来るような作品ではなく、
とても残念な鑑賞でした。
原作はとてもお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
薬丸岳さんが2013年に発表した小説を、
瀬々敬久監督が自作の台本でメガホンを取り、
瑛太さんや生田斗真さんを始めとする贅沢なキャストが顔を揃えた映画化が、
今ロードショー公開されています。
原作は酒鬼薔薇事件をモチーフとした、
14歳で殺人事件を起こした犯人が、
自分の友人であったらそれを受け入れることが出来るのか、
という難題に真っ向から取り組んだ小説で、
ちょっと子供じみた気恥ずかしくなるような部分もあるのですが、
全体に非常に熱量の大きな、
とても面白い小説です。
ただ、この映画版は、
非常に明快で誰にでも理解可能な原作を、
随分と内容をひねって、
良く言えば感性豊かに、
悪く言えば独りよがりに再構成した台本と演出が、
個人的にはどうも疑問で、
何より原作のストレートな魅力が、
全く消えてしまっているのがとても残念に感じました。
原作は生田斗真さん演じる益田の視点で、
その多くが展開されていて、
その心理の動きが一番の魅力と言っても良いのですが、
この映画版はその部分がぼんやりとしか描かれていません。
設定自体も原作はもっと小さな町工場なのですが、
映画では結構大きな工場となっていて、
原作では工場のベテランの作業員として登場する山内を、
タクシードライバーに変えて佐藤浩市さんが演じ、
原作では工場の事務員である美代子も、
別の会社の電話オペレイターに変えて夏帆さんが演じて、
夏帆さんと生田斗真さんと佐藤浩市さんの話が、
独立に群像劇のように進行する、
という変更を行っています。
富田靖子さん演じる犯罪を犯した少年の更生に当たる女性の設定も、
かなり改変されています。
佐藤浩市さんのパートは、
原作には概略的な描写があるだけなので、
ほぼ映画のオリジナルです。
ただ、夏帆さんと瑛太さんとの出会いが偶然になっていたり、
無理矢理原作を変えているので、
随所に不自然さが増していますし、
富田靖子さんと瑛太さんの関係や再会のいきさつなども、
説明がされないので無意味に分かりにくくなっています。
生田斗真さんの心理が描かれないので、
ラストもイメージ先行で、
あまり納得のゆくようなものになっていないのも、
非常に残念な感じです。
キャストは瑛太さんが非常に素晴らしい熱演ですが、
演出や構成が独りよがりなものなので、
ただの「瑛太ワンマンショー」のようになってしまい、
作品世界の中で安定感を持って存在していない結果になったのは、
これも監督の罪は重いと言わざるを得ません。
ただ、猟奇事件の内容も原作より穏当なものに変わっていることから、
原作を変えざるを得ないような、
外部の者には窺い知れない事情のようなものがあったのかも知れません。
夏帆さんの役は、
脱がなければ意味がないのに誤魔化していて、
これもとても残念な印象でした。
そんな訳で原作とキャストは大いに期待を持たせたのですが、
あまり皆さんにお勧め出来るような作品ではなく、
とても残念な鑑賞でした。
原作はとてもお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。