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ビタミンとミネラルのサプリメントの心血管疾患に対する効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
サプリメントとビタミンの効果.jpg
2018年のJournal of the American College of Cardiology誌に掲載された、
ビタミンやミネラルのサプリメントの、
心血管疾患の予防と治療に対する効果を検証した、
メタ解析の論文です。

各種ビタミンやカルシウムなどのミネラルの不足が、
心血管疾患のリスクになり、
バランスの取れた食事がその予防に結び付くことは、
多くの疫学データからほぼ実証されている事実です。

ただ、特定のビタミンやミネラル、
またそれを選択して複数のものを、
サプリメントとして摂ることが、
心血管疾患の予防や治療に有効であるのか、
と言う点については未だ一致した見解が得られていません。

ビタミンDやカルシウム、ニコチン酸については、
比較的多くの臨床研究が存在していますが、
少なくとも明確な予防や治療の効果は確認されていません。

今回の研究はこれまでのメタ解析と、
それ以降の個別の介入試験のデータをまとめて解析したもので、
現時点での信頼のおける集めうるデータの全てを、
集大成したと言って良い内容になっています。

その結果、
信頼性はそれほど高くはないものの、
心血管疾患の予防効果が有意に認められたのは、
心血管疾患トータルに対する葉酸のサプリメントの効果と、
葉酸とビタミンB群のサプリメントの脳卒中に対する効果です。

それ以外には明確な有用性の認められたものはなく、
マルチビタミン、ビタミンC、D、βカロテン、
カルシウム、そしてセレニウムのサプリメントは無効で、
抗酸化物質の合剤
(ビタミンA、C、E、βカロテン、セレニウム、亜鉛のうちの2種類以上)
とナイアシンとスタチンの同時投与については、
総死亡のリスクをむしろ増加させていました。

このようにほぼ全てのビタミンとミネラルのサプリメントは、
心血管疾患の予防や治療には無効もしくは有害で、
食事でのバランスの良い摂取を心がけることとは、
全く意味合いの違うことであると考えた方が良いようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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