カルシウムチャネルとインフルエンザ感染 [医療のトピック]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のCell Host & Microbe誌に掲載された、
A型インフルエンザウイルスの感染に、
カルシウム拮抗薬という降圧剤のターゲットである、
細胞膜の電位依存性カルシウムチャネルが、
強く関係しているという、
興味深い知見を実証した論文です。
北海道大学の藤岡容一朗先生らの研究です。
A型インフルエンザウイルスの感染の最初のステップは、
その表面にあるHA抗原という部分が、
細胞の表面にあるシアル酸という構造に、
結合することによって起こります。
ただ、人間の細胞表面には、
多くの種類のシアル酸があり、
どのような性質のシアル酸が、
インフルエンザウイルスのターゲットとして利用されるのかは、
これまであまり明確に分かっていませんでした。
上記論文の著者らの研究グループは、これまでに、
インフルエンザウイルスの感染に、
細胞内のカルシウム濃度の上昇が必要である、
という知見を報告しています。
通常細胞内のカルシウム濃度の上昇は、
細胞膜にある電位依存性カルシウムチャネルを介して起こります。
そこで今回の研究では、
ウイルスの感染モデルとして使用される培養細胞において、
カルシウムチャネルの働きをブロックする作用のある、
カルシウム拮抗薬のジルチアゼムを使用したところ、
充分量のジルチアゼムにより、
A型インフルエンザウイルスの感染は阻害されました。
そして、この電位依存性カルシウムチャネルに結合しているシアル酸に、
A型インフルエンザウイルスは結合して、
そこからカルシウムイオンが細胞内に流入することが確認されたのです。
このインフルエンザ感染における、
カルシウムチャネルの役割は、
培養細胞のみならず、
ネズミの実験でも確認されました。
このように、まだ動物実験レベルの知見ですが、
A型インフルエンザウイルスの感染においては、
電位依存性カルシウムチャネルと結合しているシアル酸に、
まずウイルスが結合することにより、
細胞内にカルシウムが流入し、
それがウイルスの感染に必須であることが今回確認されたのです。
単純にカルシウム拮抗薬を使用していると、
インフルエンザに感染しにくいとは言えませんが、
カルシウムチャネルの開放がインフルエンザ感染に必要だ、
という知見は大変興味深く、
これが感染の最初のステップであると考えると、
それを阻害するようなメカニズムの薬剤が、
今後開発される可能性が示された、
というようには言っても良いように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。
それでは今日の話題です。
今日はこちら。
2018年のCell Host & Microbe誌に掲載された、
A型インフルエンザウイルスの感染に、
カルシウム拮抗薬という降圧剤のターゲットである、
細胞膜の電位依存性カルシウムチャネルが、
強く関係しているという、
興味深い知見を実証した論文です。
北海道大学の藤岡容一朗先生らの研究です。
A型インフルエンザウイルスの感染の最初のステップは、
その表面にあるHA抗原という部分が、
細胞の表面にあるシアル酸という構造に、
結合することによって起こります。
ただ、人間の細胞表面には、
多くの種類のシアル酸があり、
どのような性質のシアル酸が、
インフルエンザウイルスのターゲットとして利用されるのかは、
これまであまり明確に分かっていませんでした。
上記論文の著者らの研究グループは、これまでに、
インフルエンザウイルスの感染に、
細胞内のカルシウム濃度の上昇が必要である、
という知見を報告しています。
通常細胞内のカルシウム濃度の上昇は、
細胞膜にある電位依存性カルシウムチャネルを介して起こります。
そこで今回の研究では、
ウイルスの感染モデルとして使用される培養細胞において、
カルシウムチャネルの働きをブロックする作用のある、
カルシウム拮抗薬のジルチアゼムを使用したところ、
充分量のジルチアゼムにより、
A型インフルエンザウイルスの感染は阻害されました。
そして、この電位依存性カルシウムチャネルに結合しているシアル酸に、
A型インフルエンザウイルスは結合して、
そこからカルシウムイオンが細胞内に流入することが確認されたのです。
このインフルエンザ感染における、
カルシウムチャネルの役割は、
培養細胞のみならず、
ネズミの実験でも確認されました。
このように、まだ動物実験レベルの知見ですが、
A型インフルエンザウイルスの感染においては、
電位依存性カルシウムチャネルと結合しているシアル酸に、
まずウイルスが結合することにより、
細胞内にカルシウムが流入し、
それがウイルスの感染に必須であることが今回確認されたのです。
単純にカルシウム拮抗薬を使用していると、
インフルエンザに感染しにくいとは言えませんが、
カルシウムチャネルの開放がインフルエンザ感染に必要だ、
という知見は大変興味深く、
これが感染の最初のステップであると考えると、
それを阻害するようなメカニズムの薬剤が、
今後開発される可能性が示された、
というようには言っても良いように思います。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。