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「虎狼の血」(2018年映画版) [映画]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は日曜日でクリニックは休診です。

休みの日は趣味の話題です。

今日はこちら。
虎狼の血.jpg
柚月裕子さんの同題の警察小説を、
白石和彌監督が外連味たっぷりに映画化した、
正調の東映ヤクザ映画を観て来ました。

これは原作を先に読みました。
詰まらなくはなかったのですが、
善悪があまりにはっきりしていて、
良いヤクザと悪いヤクザというような構図が、
最初から最後まで変化しないので、
個人的にはあまり面白いとは思えませんでした。
最後の展開のみちょっと面白いのですが、
後は意外に地味な話ですよね。

映画版はどう料理するのだろうと思っていると、
ほぼほぼ原作通りのストーリー展開で、
ラストはさすがに原作の通りだと、
映像的には尻すぼみになってしまうので、
派手な抗争場面をクライマックスとして付け加えていました。
ただ、それでも物語的には弱いなあ、
という感じが抜けきれませんでした。

最初から最後まで悪いヤクザと良いヤクザという構図が、
一切変わることがありません。
裏切りとか寝がえりとか意外な展開とか、
そうしたものが何もないのは詰まらないですよね。
原作はもう少し良いヤクザの人間模様などが描かれているので、
もう少し理解はしやすいのですが、
映画はそうしたことはないので、
江口洋介がどうして良いヤクザなのかなど、
さっぱり分からない感じになっています。

これは原作がそうなので仕方がないのですが、
主人公の役所広司さん演じる大上が、
クライマックスの前に姿を消してしまうのは、
矢張り詰まらないですよね。
姿を消すにしても、
その前にもっと派手なドンパチが欲しいと思います。

演出は最初など「仁義なき戦い」そのままにしたりして、
引用上等の外連味たっぷりなのは良いと思います。
映画オリジナルの松坂桃李さんと阿部純子さんの、
昭和の匂いたっぷりのラブロマンスも、
昔の東映映画のテイストで良いですよね。
真木よう子さんが過去を語る時の、
祭りの移動撮影も良い感じです。
ただ、「アウトレイジ」と比べると、
キャラは弱いですよね。
江口洋介さんも竹野内豊さんも、
もっと個性的で唯一無二の感じが欲しかったと思います。

総じて意欲作ではありましたが、
原作のストーリー的な弱さもあって、
突き抜けた魅力を持つまでには至らなかったのは、
やや残念に感じました。

それでは今日はこのくらいで。

皆さんも良い休日をお過ごし下さい。

石原がお送りしました。
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