アンナ・ネトレプコ スペシャル・コンサート in JAPAN 2017 [コロラトゥーラ]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ロシア出身のソプラノで、
今世界で最も売れっ子のオペラ歌手の1人である、
アンナ・ネトレプコが昨年に続いて来日し、
オペラアリアのリサイタルを行いました。
昨年2010年以来の来日を果たし、
さすが世界のプリマドンナ、という歌唱を聞かせてくれましたが、
今年もなかなか聴き応えのあるコンサートでした。
ただ、アンコールもなく、
やや省エネ気味の舞台ではありました。
昨年の方が良かったことは確かです。
ネトレプコは2000年代の初めころに頭角を表したソプラノ歌手で、
美貌の歌姫で貫禄充分なところは、
ゲオルギューの再来という感じがありました。
ただ、演技の大きさでも、
歌唱の技術的な面でも、
ゲオルギューを遥かに凌いでいると思います。
そのレパートリーは、
コロラトゥーラからベルカントまで幅広く、
力押しも出来る一方で、
そう上手くはないのですが、
コロラトゥーラのような装飾歌唱もそこそここなし、
何より演技の大きさが魅力です。
日本にはマリインスキー・オペラに同行したのが、
確か始まりで、
小澤征爾のオペラ塾でムゼッタを歌い、
2005年にはロシア歌曲主体のリサイタルを開きました。
このリサイタルは聴いていますが、
可憐な容姿と繊細な歌い廻しが素敵で、
アンコールで歌ったルチアの第一アリア(2幕)は、
確かな技術も感じさせました。
2006年にはメトロポリタンオペラの来日公演で、
「ドン・ジョバンニ」のドンナ・アンナを歌っています。
これは非常に豪華なメンバーの公演でしたが、
もう既に堂々たる貫禄のドンナ・アンナで、
観客の人気を最も集めていました。
この時は本当に目の覚めるような美しさでした。
オペラの歌唱として、
極めて印象的だったのは、
2010年の英国ロイヤルオペラの来日公演で、
ネトレプコはマスネの「マノン」のタイトルロールを歌い、
抜群の歌唱と演技を見せると共に、
ドタキャンして来日しなかったゲオルギューの代役として、
1日のみ「椿姫」の舞台に立ちました。
この時は「マノン」が最高で、
思わず2回足を運びました。
特に3幕で男たちを引き連れて女王然として登場し、
装飾技巧を散りばめたアリアを歌うくだりなどは、
これぞプリマドンナという、
惚れ惚れとするような姿であり演技であり歌唱でした。
1日のみ代役で歌った「椿姫」は、
高音に失敗したりして、
準備不足の否めない出来でしたが、
それでもおそらく日本では唯一の機会となるであろう、
ネトレプコのヴィオレッタを堪能しました。
この時のお姿は、
正直以前よりかなりあちこちにお肉が付き、
ぽっちゃりとされていました。
そして、2011年にメトロポリタンでの来日が予定されていたのですが、
震災の影響でキャンセルとなり、
その後もなかなか来日の機会はありませんでした。
もう駄目なのかしらと思っていると、
一昨年12月に再婚したテノール歌手、
ユシフ・エイヴァゾフさんのお披露目旅行の意味合いがあったのでしょうし、
中国公演のおまけなのかも知れませんが、
旦那さんとのデュオコンサートとしての、
来日公演が昨年実現しました。
これは待っただけのことはある素晴らしいコンサートでした。
今回はそれに引き続いての来日で、
旦那さん以外にバリトンを同行していて、
「イル・トロヴァトーレ」の1幕3重唱をラストに歌うのが、
今回のメインでした。
正直昨年のコンサートと比較すると、
ネトレプコ自身の曲目は少ないですし、
アンコールもなかったので、
少し欲求不満は残る部分はありました。
ただ、スケジュールを見ると世界中を、
過密にコンサートで飛び回っているので、
省エネになるのは仕方のないことなのかも知れません。
昨年は肉体はかなりのボリューム感でビックリしたのですが、
今回は多分昨年より5キロくらいは絞れている感じでした。
それより気になったのは、
ヴェルディのマクベス夫人や「アイーダ」のタイトルロール、
「トゥーランドット」のタイトルロールと、
力押しのドラマチック・ソプラノの歌唱が主体で、
繊細さや細かいコロラトゥーラなどの技巧は、
陰をひそめている感じがあったことです。
「仮面舞踏会」や「イル・トロヴァトーレ」での歌唱も、
装飾歌唱などはかなり大雑把で正確さには欠けていました。
中ではロシア物の「皇帝の花嫁」の狂乱の場が、
これだけは繊細な歌唱で面白かったのですが、
突出した感じはありませんでした。
これから何処に向おうとしているのか、
ちょっと疑問に思うような感じもあったのです。
いずれにしてもその風格と演技力、
声の振幅の大きさとスケール感など、
これぞ世界のプリマドンナという表現力自体は圧巻で、
これからもしばらくは、
世界のトップに君臨し続けることは確実と思われたのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は祝日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日はこちら。
ロシア出身のソプラノで、
今世界で最も売れっ子のオペラ歌手の1人である、
アンナ・ネトレプコが昨年に続いて来日し、
オペラアリアのリサイタルを行いました。
昨年2010年以来の来日を果たし、
さすが世界のプリマドンナ、という歌唱を聞かせてくれましたが、
今年もなかなか聴き応えのあるコンサートでした。
ただ、アンコールもなく、
やや省エネ気味の舞台ではありました。
昨年の方が良かったことは確かです。
ネトレプコは2000年代の初めころに頭角を表したソプラノ歌手で、
美貌の歌姫で貫禄充分なところは、
ゲオルギューの再来という感じがありました。
ただ、演技の大きさでも、
歌唱の技術的な面でも、
ゲオルギューを遥かに凌いでいると思います。
そのレパートリーは、
コロラトゥーラからベルカントまで幅広く、
力押しも出来る一方で、
そう上手くはないのですが、
コロラトゥーラのような装飾歌唱もそこそここなし、
何より演技の大きさが魅力です。
日本にはマリインスキー・オペラに同行したのが、
確か始まりで、
小澤征爾のオペラ塾でムゼッタを歌い、
2005年にはロシア歌曲主体のリサイタルを開きました。
このリサイタルは聴いていますが、
可憐な容姿と繊細な歌い廻しが素敵で、
アンコールで歌ったルチアの第一アリア(2幕)は、
確かな技術も感じさせました。
2006年にはメトロポリタンオペラの来日公演で、
「ドン・ジョバンニ」のドンナ・アンナを歌っています。
これは非常に豪華なメンバーの公演でしたが、
もう既に堂々たる貫禄のドンナ・アンナで、
観客の人気を最も集めていました。
この時は本当に目の覚めるような美しさでした。
オペラの歌唱として、
極めて印象的だったのは、
2010年の英国ロイヤルオペラの来日公演で、
ネトレプコはマスネの「マノン」のタイトルロールを歌い、
抜群の歌唱と演技を見せると共に、
ドタキャンして来日しなかったゲオルギューの代役として、
1日のみ「椿姫」の舞台に立ちました。
この時は「マノン」が最高で、
思わず2回足を運びました。
特に3幕で男たちを引き連れて女王然として登場し、
装飾技巧を散りばめたアリアを歌うくだりなどは、
これぞプリマドンナという、
惚れ惚れとするような姿であり演技であり歌唱でした。
1日のみ代役で歌った「椿姫」は、
高音に失敗したりして、
準備不足の否めない出来でしたが、
それでもおそらく日本では唯一の機会となるであろう、
ネトレプコのヴィオレッタを堪能しました。
この時のお姿は、
正直以前よりかなりあちこちにお肉が付き、
ぽっちゃりとされていました。
そして、2011年にメトロポリタンでの来日が予定されていたのですが、
震災の影響でキャンセルとなり、
その後もなかなか来日の機会はありませんでした。
もう駄目なのかしらと思っていると、
一昨年12月に再婚したテノール歌手、
ユシフ・エイヴァゾフさんのお披露目旅行の意味合いがあったのでしょうし、
中国公演のおまけなのかも知れませんが、
旦那さんとのデュオコンサートとしての、
来日公演が昨年実現しました。
これは待っただけのことはある素晴らしいコンサートでした。
今回はそれに引き続いての来日で、
旦那さん以外にバリトンを同行していて、
「イル・トロヴァトーレ」の1幕3重唱をラストに歌うのが、
今回のメインでした。
正直昨年のコンサートと比較すると、
ネトレプコ自身の曲目は少ないですし、
アンコールもなかったので、
少し欲求不満は残る部分はありました。
ただ、スケジュールを見ると世界中を、
過密にコンサートで飛び回っているので、
省エネになるのは仕方のないことなのかも知れません。
昨年は肉体はかなりのボリューム感でビックリしたのですが、
今回は多分昨年より5キロくらいは絞れている感じでした。
それより気になったのは、
ヴェルディのマクベス夫人や「アイーダ」のタイトルロール、
「トゥーランドット」のタイトルロールと、
力押しのドラマチック・ソプラノの歌唱が主体で、
繊細さや細かいコロラトゥーラなどの技巧は、
陰をひそめている感じがあったことです。
「仮面舞踏会」や「イル・トロヴァトーレ」での歌唱も、
装飾歌唱などはかなり大雑把で正確さには欠けていました。
中ではロシア物の「皇帝の花嫁」の狂乱の場が、
これだけは繊細な歌唱で面白かったのですが、
突出した感じはありませんでした。
これから何処に向おうとしているのか、
ちょっと疑問に思うような感じもあったのです。
いずれにしてもその風格と演技力、
声の振幅の大きさとスケール感など、
これぞ世界のプリマドンナという表現力自体は圧巻で、
これからもしばらくは、
世界のトップに君臨し続けることは確実と思われたのです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。