「セブン・シスターズ」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日はもう1本映画の話題です。
それがこちら。
イギリスなどの合作で、
ちょっとユニークなSFサスペンス映画、
「セブン・シスターズ」を観て来ました。
これはオリジナルのストーリーが、
なかなか斬新で面白いのです。
遺伝子操作によって作られた作物の副作用で、
多胎児が増えるという異常が発生し、
人口が爆発的に増加したヨーロッパで、
人口を減らすために夫婦で1人の子供しか認めない、
という政策が実行され、
2人目以降の子供が生まれると、
保護されて冷凍睡眠にすると説明されます。
そこである資産家の娘が七つ子を産んでしまうので、
資産家は7人の娘を隠して教育を行い、
月曜日から日曜日という曜日の名前を1人1人に付けて、
その曜日のみ同じ人間として外出し、
他の曜日は家から出ない、
という奇想天外な仕掛けで、
7人1役で1人の女性を、
実際には曜日毎に別の姉妹が演じる、
という人生のプランを編み出します。
姉妹は30歳になり、
それぞれに個性はありながら、
曜日毎に1つの人格を演じ続けるのですが、
ある日最も祖父に従順で完璧な人格を演じていた、
「月曜日」が姿を消します。
翌日「火曜日」がその捜索のために外出しますが、
彼女もまた姿を消し、
その裏には7人の姉妹を抹殺しようとする、
大きな陰謀があるらしいことが分かって来ます。
ね、なかなか面白そうでしょ。
舞台はヨーロッパのようですが、
一人っ子政策というのがちょっと古めかしい感じで、
僕達も昔は人口増加の恐怖におののいたのですが、
実際には人口が減少に向かうと、
高齢化の方が余程恐怖なのが分かって来て、
人間というのは賢く見えて、
そんなことも分からない愚か者であったのかと、
自分も含めて嫌になります。
ただ、それ以外の部分については、
とても面白く物語は出来ていて、
国家の陰謀のように思われた物語が、
ラストになって家族の愛憎劇に落とし込まれる辺りも、
定番ではあっても良い感じで、
クライマックスもなかなか盛り上がりますし、
ちょっとデパルマの初期作のような情感があって、
惹き付けられました。
ただ、個人的にはデパルマのように、
ロマンチックな音楽をガンガン掛けて、
スローモーションも駆使した大仰な見せ場にして欲しかったのですが、
演出は実際にはもっと抑制的でした。
でも、良かったです。
こうした発想の映画は以前にもあったと思いますが、
同じ顔をした7人の姉妹が同じ画面で活躍するというのは、
最近の映像技術があってこそのビジュアルで、
ナオミ・ラパスの1人7役がなかなか素敵で、
特撮もとても良く出来ていますし、
適度に残酷描写も交えたアクションも、
なかなかの迫力です。
脇も政府の大物にグレン・クローズ、
姉妹の偏執狂的祖父にウィレム・デフォーと役者は揃っています。
トータルにはややB級映画ですが、
とても楽しめますし、
アイデアが抜群の娯楽作に仕上がっていたと思います。
これはなかなかのお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日はもう1本映画の話題です。
それがこちら。
イギリスなどの合作で、
ちょっとユニークなSFサスペンス映画、
「セブン・シスターズ」を観て来ました。
これはオリジナルのストーリーが、
なかなか斬新で面白いのです。
遺伝子操作によって作られた作物の副作用で、
多胎児が増えるという異常が発生し、
人口が爆発的に増加したヨーロッパで、
人口を減らすために夫婦で1人の子供しか認めない、
という政策が実行され、
2人目以降の子供が生まれると、
保護されて冷凍睡眠にすると説明されます。
そこである資産家の娘が七つ子を産んでしまうので、
資産家は7人の娘を隠して教育を行い、
月曜日から日曜日という曜日の名前を1人1人に付けて、
その曜日のみ同じ人間として外出し、
他の曜日は家から出ない、
という奇想天外な仕掛けで、
7人1役で1人の女性を、
実際には曜日毎に別の姉妹が演じる、
という人生のプランを編み出します。
姉妹は30歳になり、
それぞれに個性はありながら、
曜日毎に1つの人格を演じ続けるのですが、
ある日最も祖父に従順で完璧な人格を演じていた、
「月曜日」が姿を消します。
翌日「火曜日」がその捜索のために外出しますが、
彼女もまた姿を消し、
その裏には7人の姉妹を抹殺しようとする、
大きな陰謀があるらしいことが分かって来ます。
ね、なかなか面白そうでしょ。
舞台はヨーロッパのようですが、
一人っ子政策というのがちょっと古めかしい感じで、
僕達も昔は人口増加の恐怖におののいたのですが、
実際には人口が減少に向かうと、
高齢化の方が余程恐怖なのが分かって来て、
人間というのは賢く見えて、
そんなことも分からない愚か者であったのかと、
自分も含めて嫌になります。
ただ、それ以外の部分については、
とても面白く物語は出来ていて、
国家の陰謀のように思われた物語が、
ラストになって家族の愛憎劇に落とし込まれる辺りも、
定番ではあっても良い感じで、
クライマックスもなかなか盛り上がりますし、
ちょっとデパルマの初期作のような情感があって、
惹き付けられました。
ただ、個人的にはデパルマのように、
ロマンチックな音楽をガンガン掛けて、
スローモーションも駆使した大仰な見せ場にして欲しかったのですが、
演出は実際にはもっと抑制的でした。
でも、良かったです。
こうした発想の映画は以前にもあったと思いますが、
同じ顔をした7人の姉妹が同じ画面で活躍するというのは、
最近の映像技術があってこそのビジュアルで、
ナオミ・ラパスの1人7役がなかなか素敵で、
特撮もとても良く出来ていますし、
適度に残酷描写も交えたアクションも、
なかなかの迫力です。
脇も政府の大物にグレン・クローズ、
姉妹の偏執狂的祖父にウィレム・デフォーと役者は揃っています。
トータルにはややB級映画ですが、
とても楽しめますし、
アイデアが抜群の娯楽作に仕上がっていたと思います。
これはなかなかのお薦めです。
それでは今日はこのくらいで。
皆さんも良い休日をお過ごし下さい。
石原がお送りしました。
「ブレードランナー2049」 [映画]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日は映画の記事が2本です。
まず最初がこちら。
1982年に公開されたカルトSF映画「ブレードランナー」の、
35年ぶりの続編が今ロードショー公開されています。
オリジナルの「ブレードランナー」は、
今はもうない渋谷パンテオンで公開時に観ています。
映画館は当時はガラガラでした。
ビジュアルは非常に印象的で凄いなと思いましたが、
イメージ映像のようで正直それほど乗れませんでした。
ただ、その後ビデオ化されるとジワジワと人気が上がり、
ディレクターズカット版が再公開されるなど、
むしろ時間が経つにつれてその評価は高いものとなったのです。
オリジナルの舞台となっているのは、
人類の大半が汚染された地球を逃れて宇宙に移住し、
レプリカントという人間の労働力の代用となる人造人間が、
人間に対して反乱を起こすという設定の未来で、
2019年という設定になっています。
もう来年の話ですね。
今回の続編は前作から30年後の2049年が舞台で、
従順なレプリカントが新たに製造されている世界で、
主人公はライアン・ゴズリングが演じる、
レプリカントを追跡する自身もレプリカントの捜査官です。
オリジナルのリドリー・スコットは制作総指揮に廻り、
監督はカナダの俊英ドゥニ・ビルヌーブです。
これはどんなものかと思って初日に観たのですが、
個人的にはなかなか良かったです。
アイマックスの3Dで観た映像は、
リアルさを追求した美しいもので、
一部はオリジナルとほぼ同じ風景を再現しながら、
より広い視点で、
様々な荒廃した地球の風景を見せています。
オリジナルの「ブレードランナー」も、
SF仕立てのフィルム・ノワールだったのですが、
今回の続編も前作の空気感そのままのノワールになっていて、
その点には好感が持てました。
主人公も従順なタイプのレプリカントで、
3D映像しか持たないAIの恋人と恋に落ち、
それが人間とレプリカントとの愛と対比されます。
肉体を持たないAIの女性が、
肉体を持つ娼婦と一体化することで、
主人公とセックスをする場面などは、
切なく美しく倒錯的な場面に仕上がっていました。
主人公と対決する美貌で凶悪なレプリカントを演じた、
シルビア・ホークスがとても素敵で、
悪役美女フェチの僕としては、
これだけで大分点数が上がりました。
監督のビルヌーブは、
今年公開されたSF映画の「メッセージ」も、
繊細な描写を積み上げて静かな感動に至る、
という段取りが素晴らしくて、
地味ですがとても魅力的な映画でした。
この作品でもその資質は生かされていて、
普通このような大作であれば、
もっと目を惹くようなドンパチをしたくなるところなのですが、
そうした部分は最小限に抑え、
滅び行く地球の感覚的描写と、
人間、レプリカント、そして今回はAIと、
それぞれの愛にターゲットを絞って、
繊細なドラマを紡いでいます。
評論家の批評は概ね悪いのですが、
個人的には「分かってないな」と感じました。
ただ、3時間近くの上演時間を、
悠然たるテンポで流して行きますから、
退屈に思われる方も多いとは思います。
そんな訳で万人向けの映画ではありませんが、
オリジナルのノワールの部分がお好きな方は、
満足をされるのではないかと思いますし、
「ダンケルク」と同様、
アイマックスで観る質感のある映像は、
一見の価値のあるものだと思います。
それでは次に続きます。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は日曜日でクリニックは休診です。
休みの日は趣味の話題です。
今日は映画の記事が2本です。
まず最初がこちら。
1982年に公開されたカルトSF映画「ブレードランナー」の、
35年ぶりの続編が今ロードショー公開されています。
オリジナルの「ブレードランナー」は、
今はもうない渋谷パンテオンで公開時に観ています。
映画館は当時はガラガラでした。
ビジュアルは非常に印象的で凄いなと思いましたが、
イメージ映像のようで正直それほど乗れませんでした。
ただ、その後ビデオ化されるとジワジワと人気が上がり、
ディレクターズカット版が再公開されるなど、
むしろ時間が経つにつれてその評価は高いものとなったのです。
オリジナルの舞台となっているのは、
人類の大半が汚染された地球を逃れて宇宙に移住し、
レプリカントという人間の労働力の代用となる人造人間が、
人間に対して反乱を起こすという設定の未来で、
2019年という設定になっています。
もう来年の話ですね。
今回の続編は前作から30年後の2049年が舞台で、
従順なレプリカントが新たに製造されている世界で、
主人公はライアン・ゴズリングが演じる、
レプリカントを追跡する自身もレプリカントの捜査官です。
オリジナルのリドリー・スコットは制作総指揮に廻り、
監督はカナダの俊英ドゥニ・ビルヌーブです。
これはどんなものかと思って初日に観たのですが、
個人的にはなかなか良かったです。
アイマックスの3Dで観た映像は、
リアルさを追求した美しいもので、
一部はオリジナルとほぼ同じ風景を再現しながら、
より広い視点で、
様々な荒廃した地球の風景を見せています。
オリジナルの「ブレードランナー」も、
SF仕立てのフィルム・ノワールだったのですが、
今回の続編も前作の空気感そのままのノワールになっていて、
その点には好感が持てました。
主人公も従順なタイプのレプリカントで、
3D映像しか持たないAIの恋人と恋に落ち、
それが人間とレプリカントとの愛と対比されます。
肉体を持たないAIの女性が、
肉体を持つ娼婦と一体化することで、
主人公とセックスをする場面などは、
切なく美しく倒錯的な場面に仕上がっていました。
主人公と対決する美貌で凶悪なレプリカントを演じた、
シルビア・ホークスがとても素敵で、
悪役美女フェチの僕としては、
これだけで大分点数が上がりました。
監督のビルヌーブは、
今年公開されたSF映画の「メッセージ」も、
繊細な描写を積み上げて静かな感動に至る、
という段取りが素晴らしくて、
地味ですがとても魅力的な映画でした。
この作品でもその資質は生かされていて、
普通このような大作であれば、
もっと目を惹くようなドンパチをしたくなるところなのですが、
そうした部分は最小限に抑え、
滅び行く地球の感覚的描写と、
人間、レプリカント、そして今回はAIと、
それぞれの愛にターゲットを絞って、
繊細なドラマを紡いでいます。
評論家の批評は概ね悪いのですが、
個人的には「分かってないな」と感じました。
ただ、3時間近くの上演時間を、
悠然たるテンポで流して行きますから、
退屈に思われる方も多いとは思います。
そんな訳で万人向けの映画ではありませんが、
オリジナルのノワールの部分がお好きな方は、
満足をされるのではないかと思いますし、
「ダンケルク」と同様、
アイマックスで観る質感のある映像は、
一見の価値のあるものだと思います。
それでは次に続きます。