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糖尿病性末梢神経障害とビタミンD欠乏との関連 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などで都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
ビタミンDと糖尿病性末しょう神経障害.jpg
Diabetic Research and Clinical Practice誌に、
2024年2月15日ウェブ掲載された、
糖尿病の合併症とビタミンD欠乏との関連についての論文です。

糖尿病性末梢神経障害は、
所謂糖尿病の3大合併症の1つで、
手足の先端のしびれや痛みが特徴的な初期症状で、
進行すると痛覚の鈍麻から、
下肢の壊死や切断の原因ともなります。

そのメカニズムにはまだ、不明の点が多いのが実際です。

近年糖尿病性神経障害とビタミンDの欠乏との間に、
関連があるとする報告があり、注目を集めています。

ビタミンDは健康な骨の維持に必須のビタミンですが、
それ以外に免疫系や炎症の制御など、
多岐に渡る作用が確認されていて、
その中には神経調節因子の誘導など、
神経障害を予防するような働きもあると報告されています。
この観点からは、
糖尿病で頻度が多いとされているビタミンDの欠乏が、
神経障害の一因となっている可能性が示唆されるのです。

今回の研究は中国において、
年齢が60歳以上で2型糖尿病に罹患している、
トータル257名の患者の、
ビタミンD欠乏を反映する血液中の25(OH)D3濃度を測定し、
糖尿病性末梢神経障害とビタミンD欠乏との関連を検証しています。
25(OH)D3濃度が20ng/ml未満をビタミンD欠乏と定義し、
末梢神経障害は、
大きな神経線維の異常を筋電図において、
小さな神経線維の異常を皮膚伝導率で測定し、
分けての評価を行っています。

その結果、
末梢神経障害のある患者はない患者と比較して、
血液のビタミンD濃度が有意に低下していて、
他の関連因子を補正した結果として、
ビタミンD欠乏は糖尿病性末梢神経障害のリスクを、
2.488倍(95%CI:1.274から4.858)有意に増加させていました。
神経線維の比較では、
特に大きな神経線維の障害と、
ビタミンD欠乏との間に関連が認められました。

このように、
今回の検証においても、
ビタミンD欠乏と糖尿病性末梢神経障害との間には、
一定の関連が認められました。

今後はビタミンDの補充が、
そのリスクの低減に結び付くのかなど、
より実際的な検証の進捗に期待をしたいと思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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