SSブログ

新型コロナウイルス感染症の再感染率(デンマークの疫学データ) [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は水曜日なので、
診療は午前中で終わり、
午後は別件の仕事で都内を廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
新型コロナウイルス感染症の再感染率.jpg
Lancet誌に2021年3月17日ウェブ掲載された、
新型コロナウイルス感染症の再感染率についての論文です。

先日はアメリカ海兵隊の新兵のデータをご紹介しました。
そこでは一度新型コロナウイルス感染症に感染すると、
その後の再感染は82%予防された、という結果が報告されています。

今回のデータは、
国民の69%に当たるおよそ400万人が、
新型コロナウイルス感染症のRT-PCR検査を施行されたデンマークで、
その後の再感染率を計算したものです。

第1波とされる2020年6月以前の期間に、
533381名がRT-PCR検査を受け、
そのうちの2.11%に当たる11727名が陽性となっています。
その後の第2波まで525339名は観察されていて、
第1波で陽性で第2波まで観察された11068名のうち、
0.65%に当たる72名が、
再度RT-PCR検査で陽性が確認されました。
一方で第1波で検査陰性で第2波でも検査を施行した514271名のうち、
RT-PCR検査で今度は陽性となったのは、
3.27%に当たる16819名でした。
ここから、一度感染することにより、
その3か月以降での再感染予防効果は、
80.5%(95%CI:75.4から84.5)と算出されました。

別個の解析法により、
感染のリスクを3か月以上前の感染のあるなしで、
分けて解析しても、
この再感染予防効果は、
78.8%(95%CI:74.9から82.1)と、
ほぼ同等の結果で算出されました。

ここで性別と再感染予防効果との間には、
明確な差はありませんでしたが、
年齢について見ると、
65歳以上での再感染予防効果は、
47.1%(95%CI:24.7から62.8)と、
明確に低くなっていました。
初感染からの時間で見ると、
3から6か月が79.3%で、
7か月以上が77.7%と、
若干期間と共に低下する傾向はあるものの、
明確なものではありませんでした。

これは国民総背番号制のデンマークのデータなので、
例数は圧倒的ですし、
米国海兵隊のデータとは違い、
年齢の差も解析されているのが特徴です。

結果はトータルでは海兵隊のデータと一致していて、
新型コロナウイルス感染症に感染すると、
その後しばらくの再感染は8割程度は予防され、
罹り難い状態にはなるけれど、
絶対に罹らないという訳ではない、
ということが分かります。

また、今回のデータでは65歳以上では、
再感染予防率はより低く5割弱ですから、
高齢者は一度罹っても、
2度罹ることは稀ではなく、
ワクチン接種ほどの効果もない、
という結果になっています。

このデータはしかし、
変異株のことは考慮はされていませんし、
稀に3か月を超えてRT-PCR検査が陽性を持続することがありますが、
その検証はされていないので、
再感染事例とされるものが、
全て本当に別のウイルスに感染したものなのか、
という点は実証されている訳ではありません。

ただ、いずれにしても、
このウイルスが一度罹ってそれで安心、
というようなものではないことは確かで、
一度感染された方も、
現状は感染したことのない方と同じように、
感染予防には気を付けて頂く必要がありそうです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(4)  コメント(0) 

nice! 4

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。