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パーマネントヘアカラーの発癌リスク [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は午前午後ともいつも通りの診療になります。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
パーマネントヘアカラーの発がんリスク.jpg
British Medical Journal誌に2020年9月2日ウェブ掲載された、
ヘアカラーの発癌リスクについての論文です。

永久染毛剤(パーマネントヘアカラー)は、
一度染めると色が2ヶ月持続するという利便性から、
ヘアカラーや白髪染めとして、
世界中で広く使用されています。
欧米では40歳以上の女性の50から80%、
男性の10%がこうしたへカラーを使用していると、
上記文献には記載されています。

こうしたヘアカラーの職業的な使用は、
若干ながら発癌性の指摘があります。
それでは、日常的な使用においても、
発癌リスクはあるのでしょうか?

この点はまだ明確ではありません。

そこで今回の研究では、
アメリカの看護師を対象とした大規模疫学研究のデータを活用して、
117200名の女性を36年間観察し、
パーマネントヘアカラーの個人的な利用と、
その後の癌のリスクとの関連を検証しています。

その結果、
殆どの癌の発症リスクや死亡リスクと、
パーマネントヘアカラーの個人的使用との間には、
有意な関連はありませんでした。

一方で、
パーマネントヘアカラー未使用者と比較して、
使用者の基底細胞癌のリスクは、
1.05倍(95%CI:1.02 から1.08)有意に増加していました。
また、ホルモン受容体陰性乳癌、卵巣癌のリスクと、
パーマネントヘアカラーの累積使用量との間にも、
有意な相関が認められました。
地毛がダークヘアの女性のみでは、
パーマネントヘアカラーの使用とホジキンリンパ腫に関連が認められ、
基底細胞癌リスクとの関連が最も高かったのは、
ライトカラーの女性でした。

このように、
一部の癌においては、
パーマネントヘアカラーの使用は、
若干のリスクの増加に繋がっている、
という可能性が示唆されました。

ただ、リスクは小さなもので、
それも一部の癌に限定されたものなので、
この問題は今後も慎重な検討が必要であるようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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