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コーヒーの胆石発作予防効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日でクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
コーヒーと胆石症.jpg
2019年のJournal of Internal Medicine誌に掲載された、
コーヒーと胆石症との関連についての論文です。

コーヒーに心血管疾患予防などの、
健康効果のあることは、
これまでにも何度もご紹介した通りです。

ただ、そうした報告の多くは、
メカニズムが明確ではない疫学データが殆どです。

そのうちの1つとして、
胆石発作の予防効果のあることが、
複数の研究者により報告されています。

推測としては、
コーヒーの成分に、
胆嚢の動きを活発にして、
胆汁の排泄を促すような働きがあり、
それが胆石症の症状を軽減しているのではないか、
というような考え方があります。
ただ、明確に立証されたものではありません。

コーヒーを飲む人に多い生活習慣が、
胆石発作の予防に結び付いている、
という考え方もあります。
その場合は直接コーヒーが胆石症軽減の原因ではない、
ということになる訳です。

果たしてどちらが正しいのでしょうか?

今回の研究はデンマークにおいて、
まず一般住民104493名を対象とし、
中間値で8年の経過観察を行なって、
コーヒーの摂取量と胆石発作の発症リスクとの関連を、
再度検証しています。

その結果、
コーヒーを多く飲むほど、
胆石症の発症リスクは低下していました。

そのリスク低下は、
コーヒーを1日3杯以上で統計的に有意となり、
1日6杯以上では、
23%(95%CI: 0.61から0.96)有意に低下していました。

ここまではこれまでの疫学データに合致する結果です。

次にメンデル無作為化解析という手法を用いて、
これがコーヒーの直接の効果によるものか、
それとも間接的な影響によるものかを検証しています。
カフェインの代謝に関わる遺伝子変異があると、
それだけコーヒーの摂取量が多いことが知られています。
これを利用して、
遺伝子の変異と胆石発作の発症リスクとの関連を検証します。
遺伝子変異自体は全くの偶然で生じると考えられるので、
これで同じような関連があれば、
直接の関係であると推測が可能なのです。

その結果、
コーヒーの摂取量に関わる遺伝子変異と、
胆石発作のリスクとの間には負の相関があり、
今回の検証からは、
コーヒーが胆石発作のリスク軽減に、
直接的に関連している可能性が示唆されました。

メンデル無作為化解析という手法は、
最近多くの論文で活用されていますが、
内容はやや疑問を感じるようなものもあります。

今回の結果もこれだけでコーヒーの直接効果とは、
決めつけられないように思いますが、
胆石発作の予防効果が確認されたことは興味深く、
今後もコーヒーの健康影響については、
話題は尽きないようです。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
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