SSブログ

隔日のカロリー制限と運動の肥満改善効果 [医療のトピック]

こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。

今日は金曜日なのでクリニックは休診ですが、
老人ホームの診療と産業医面談などには廻る予定です。

それでは今日の話題です。
今日はこちら。
1日おきのカロリー制限の効果.jpg
2018年のBMC Public Health誌に掲載された、
1日おきのカロリー制限と運動療法とを組み併せた生活指導が、
肥満症の患者さんの予後改善に与える影響を検証した論文です。

肥満症を食事指導と運動療法で改善しよう、
というのは現代社会において間違いなく必要な医療介入ですが、
その方法の詳細をどうするべきか、
と言う点についてはまだ結論が出ていません。

カロリー制限で体重を落とすのには、
一種の飢餓状態にしなくてはいけませんが、
そうした状態が長く続けば栄養失調になってしまいますし、
何よりそうしたダイエットを持続することは、
大きなストレスになるので長期の持続は困難です。

そこで一定期間のみ飢餓状態に近いダイエットをして、
それ以外の期間は比較的自由に食べてもらう、
という介入法が生まれました。

以前ご紹介した方法では、
週に2日間のみ極端な低カロリーにする、
というものがありましたが、
今回の方法は1日おきに週に3日は、
通常のカロリーの25%程度に当たる、
400から500キロカロリーに制限し、
それ以外の週に4日は基本的には自由に飲み食いをしてもらいます。
そして運動としては、
週に3回以上、
40分の筋力トレーニングと20分の有酸素運動を、
組み合わせたプログラムを専用のジムで行います。

韓国において45名の過体重もしくは肥満
(これはアジア基準で23.0以上が過体重です)
の対象者35名を登録し、
何も介入しないコントロール群、
隔日の食事制限のみ、週3回以上の運動のみ、
食事制限と運動の両方、の4群に割り付けて、
8週間の介入を継続します。

その結果、
運動のみ、食事のみでもコントロールと比較して、
体重減少効果と代謝の改善は認められましたが、
運動と食事をミックスした場合に、
よりその有効性は明確となりました。
具体的には体重減少効果は運動より食事で顕著でしたが、
インスリン抵抗性の改善などは、
単独ではあまり認められず、
運動と食事を組み合わせた場合のみで、
低下する傾向が認められていました。

今回のデータは例数が少なく、
まだ学会発表レベルのようにも思いますが、
食事制限自体は連日するのではなく、
隔日や週に3回程度の方が、
合理的でリスクが少ないことは間違いがなく、
今後はその方向にシフトしてゆくように思います。

それでは今日はこのくらいで。

今日が皆さんにとっていい日でありますように。

石原がお送りしました。
nice!(5)  コメント(0) 

nice! 5

コメント 0

コメントを書く

お名前:[必須]
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。