ワーグナー「神々の黄昏」(2017年新国立劇場レパートリー) [オペラ]
こんにちは。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
新国立劇場の2017/2018シーズンのオープニングとして、
ワーグナーの「神々の黄昏」が幕を開けました。
この作品は楽劇「ニーベルングの指輪」の完結編で、
「ニュールンベルグのマイスタージンガー」、
「トリスタンとイゾルデ」と並んで、
ワーグナーのオペラの中でも最も長大な作品です。
新制作ですが、
フィンランド国立歌劇場の以前の演出の借り物です。
この演出で「ニーベルングの指輪」が1作ずつ上演され、
今回めでたく完結となりました。
演出自体は何処か色々な有名演出の寄せ集め、
と言う感じの強いものでしたが、
「ラインの黄金」と「ワルキューレ」に関しては、
原作の描写を極力活かしたきめ細やかさが、
サポートスタッフの力もあるのだと思いますが、
非常に好印象でした。
ただ、「ジークフリート」は、
大蛇と対決したりと、
真面目に演出するのが難しい面もあり、
かなりそれまでの2作品と比較すると、
オヤオヤという感じの雑な出来栄えでした。
そして、残念ながら今回も、
超大作の締め括りとしては、
あまり緻密な出来栄えとは言い難いものでした。
「神々の黄昏」は僕にとっては、
何と言っても英雄ジークフリートの死の場面が、
音楽と共に忘れがたく、
忘れ薬の威力が消え、
ブリュンヒルデと出逢った瞬間を、
思い出した刹那の戦慄が、
これはもう全てのオペラの中でも、
屈指の名場面であり、
藝術そのものの代名詞のようにすら感じているのですが、
今回はややその感動は弱めで、
ジークフリートを刺したハーゲンの恰好良さの方が、
印象の残るような舞台でした。
ラストの部分は今回のような処理をすると、
自分で感情に任せてジークフリートの弱点を喋っておきながら、
最後には偉そうに神様にまでお説教を垂れるブリュンヒルデが、
何かイラつきますし、
叫んでいるおばさんに手も足も出ずに、
指輪を盗られてしまうハーゲンも、
とても間抜けで納得がいきません。
今回の舞台はベーゼンドルファーの好演もあって、
ハーゲンがとても印象的で魅力的な悪役に描かれているので、
最後に間抜けになるのがどうもおかしいのです。
群衆の動かし方なども、
音楽の切れ目で全員が様式的に移動したりするので、
却ってわずらわしくセンスのなさを感じました。
ワーグナーはいつも、
アクションを伴うような場面が下手糞なので、
この作品の最後も、
あまり細かく動きを付けようとしたり、
段取りを観客に分からせようとしない方が、
却って音楽に集中出来るので、
良いように感じました。
今回のものは説明のし過ぎで、
しかも音楽との連携にセンスのないものなので、
アラばかりが目立って、
音楽の力を削いでいたように感じました。
そんな訳でとても演出は駄目だったのですが、
オケは読売交響楽団で良かったですし、
キャストもジークフリートのステファン・グールドと、
ハーゲンのベーゼンドルファーが良く、
衰えたとは言え、
マイヤーがヴァルトラウテに出演という豪華なおまけもあって、
なかなか聴き応えはある上演でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
北品川藤クリニックの石原です。
今日は土曜日で、
午前午後とも石原が外来を担当する予定です。
今日は土曜日なので趣味の話題です。
今日はこちら。
新国立劇場の2017/2018シーズンのオープニングとして、
ワーグナーの「神々の黄昏」が幕を開けました。
この作品は楽劇「ニーベルングの指輪」の完結編で、
「ニュールンベルグのマイスタージンガー」、
「トリスタンとイゾルデ」と並んで、
ワーグナーのオペラの中でも最も長大な作品です。
新制作ですが、
フィンランド国立歌劇場の以前の演出の借り物です。
この演出で「ニーベルングの指輪」が1作ずつ上演され、
今回めでたく完結となりました。
演出自体は何処か色々な有名演出の寄せ集め、
と言う感じの強いものでしたが、
「ラインの黄金」と「ワルキューレ」に関しては、
原作の描写を極力活かしたきめ細やかさが、
サポートスタッフの力もあるのだと思いますが、
非常に好印象でした。
ただ、「ジークフリート」は、
大蛇と対決したりと、
真面目に演出するのが難しい面もあり、
かなりそれまでの2作品と比較すると、
オヤオヤという感じの雑な出来栄えでした。
そして、残念ながら今回も、
超大作の締め括りとしては、
あまり緻密な出来栄えとは言い難いものでした。
「神々の黄昏」は僕にとっては、
何と言っても英雄ジークフリートの死の場面が、
音楽と共に忘れがたく、
忘れ薬の威力が消え、
ブリュンヒルデと出逢った瞬間を、
思い出した刹那の戦慄が、
これはもう全てのオペラの中でも、
屈指の名場面であり、
藝術そのものの代名詞のようにすら感じているのですが、
今回はややその感動は弱めで、
ジークフリートを刺したハーゲンの恰好良さの方が、
印象の残るような舞台でした。
ラストの部分は今回のような処理をすると、
自分で感情に任せてジークフリートの弱点を喋っておきながら、
最後には偉そうに神様にまでお説教を垂れるブリュンヒルデが、
何かイラつきますし、
叫んでいるおばさんに手も足も出ずに、
指輪を盗られてしまうハーゲンも、
とても間抜けで納得がいきません。
今回の舞台はベーゼンドルファーの好演もあって、
ハーゲンがとても印象的で魅力的な悪役に描かれているので、
最後に間抜けになるのがどうもおかしいのです。
群衆の動かし方なども、
音楽の切れ目で全員が様式的に移動したりするので、
却ってわずらわしくセンスのなさを感じました。
ワーグナーはいつも、
アクションを伴うような場面が下手糞なので、
この作品の最後も、
あまり細かく動きを付けようとしたり、
段取りを観客に分からせようとしない方が、
却って音楽に集中出来るので、
良いように感じました。
今回のものは説明のし過ぎで、
しかも音楽との連携にセンスのないものなので、
アラばかりが目立って、
音楽の力を削いでいたように感じました。
そんな訳でとても演出は駄目だったのですが、
オケは読売交響楽団で良かったですし、
キャストもジークフリートのステファン・グールドと、
ハーゲンのベーゼンドルファーが良く、
衰えたとは言え、
マイヤーがヴァルトラウテに出演という豪華なおまけもあって、
なかなか聴き応えはある上演でした。
それでは今日はこのくらいで。
今日が皆さんにとっていい日でありますように。
石原がお送りしました。
2017-10-07 08:24
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